米国を襲った巨大竜巻による甚大な被害。テレビ画面を通して見ているだけで、ものすごい恐怖感を感じる。数年前、自宅の近くを小型の竜巻が襲撃した。数日後に現場近くを車で通った。被害にあった一体の住宅の屋根が軒並み青いシートで覆われていた。亡くなった方はいなかったと記憶するが、それでも初めて見た竜巻の恐ろしさを身近に感じる出来事だった。米国を襲った竜巻は、あれとは比べ物にならない大規模なものだ。80人近い死亡者が確認され、依然として100人程度の住民が行方不明になっている。日本でも集中豪雨による洪水や土砂崩れが頻発している。いずれも異常気象に伴う自然災害だ。今朝のニュースには「世界気象機関(WMO)は14日、ロシア北東部シベリアの北極圏で2020年6月、極地では観測史上最も高温の38度を記録したことを確認したと発表した」とある。異常気象というよりも、地球が危機に瀕している気がする。
AFPのホームページに溶け出した氷河の上でうずくまるシロクマの写真が掲載されている。普通なら氷河に覆われて海面など見えるはずがない海域で、一匹の北極グマが漂流する氷河の塊の上でうずくまっている。目の前で何が起こっているのか、このクマはおそらく理解していないはずだ。気温が38度に達すれば、氷河だって溶けて流れ出す。異常なのは北極圏だけではない。北米やオーストラリでは異常乾燥に伴う山火事が多発、中国はしばしば豪雨に襲われている。世界最大の長江三峡ダムの決壊を心配する声が豪雨のたびに沸き起こる。ヨーロッパ、中南米も状況に変わりはない。世界中が、いや地球そのものが異常気象という危機に直面しているのだ。先ごろ開かれたCOP26の会議では、産業革命前に比べて平均気温の上昇をプラス1・5度以内に収める方針が満場一致で確認された。人類も懸命に温暖化阻止に向け努力を続けている。
世界最大の自動車メーカーであるトヨタは昨日、2030年までに電気自動車(EV)の世界販売台数を350万台とする新しい目標を発表した。これまで200万台としていた目標台数を一気に1・5倍に引き上げた。ハイブリッドで世界をリードしてきたトヨタだが、EV化には消極的だと非難されてきた。それに応えるための反撃開始宣言でもある。それはそれで評価するが、自動車のEV化より先に発電エネルギーを化石燃料から再生可能エネルギーに転換しなければ、EV化の加速も温暖化対策の意味をなさない。再生可能エネルギーの基幹は太陽光発電だ。気になるのは太陽光発電と異常気象の関係だ。異常気象の頻発は太陽光の発電効率を低下させる。反比例する両者の関係をどうするのか?人類は依然として流氷の上でうずくまるシロクマに似ている。目の前で起こっていることをまだ理解していないのではないか、ふとそんな気がした。
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