[ワシントン 15日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は14─15日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、インフレ目標が達成されたとして、パンデミック(世界的大流行)下で実施していた債券買い入れプログラムを来年3月に終了し、2022年末までに0.25%ポイントずつ3回の利上げを実施する方針を示した。

パウエル議長は会見で、米経済は急速に改善しており、資産買い入れプログラムによる支援はもはや必要なく、従来想定より早く終了させることが適切と指摘。「私の見解では、最大雇用に向け急速に進展している」と述べた。

新たな経済見通しでは、来年のインフレ率を2.6%と9月時点の2.2%から上方修正したほか、失業率は完全雇用に近い3.5%に低下すると見込んだ。

また、インフレ率を目標の2%に回帰させるために、政策金利は現行のゼロ近辺から22年末に0.90%、23年に1.6%、24年に2.1%へと継続的に引き上げる必要があるとした。

声明で、インフレ率が2%を超える中で、労働市場が完全雇用に戻るまで現行のゼロ近辺の政策金利を維持することが適切とした。

また、声明からはインフレが「一過性」との文言が削除され、代わりにインフレ率が「しばらくの間」目標の2%を超えたことを認めた。

債券買い入れプログラムについては縮小ペースを倍増させるとし、3月までに終了させる方針を示した。ただ、パウエル議長はバランスシートの縮小に着手するかどうかについてまだ決断していないとし、今後のFOMCで議論していくと述べた。

FRBは労働市場の一段の改善を利上げの条件としたものの、新たな政策見通しは大きな経済ショックがない限り、利上げが来年実施されることにほぼ疑いを持たせない内容となった。政策当局者18人全員が22年末までに少なくとも1回の利上げが適切と示唆した。

新型コロナウイルスのオミクロン変異株を巡る懸念はあるものの、FRBは来年の経済成長率見通しを4.0%と9月時点の3.8%から引き上げた。

パウエル議長は、オミクロン株が経済にどれほど高いリスクをもたらすかは不明だが、これまでの経験から人々は適応することを学んでおり、オミクロン株に直面しているとしても資産買い入れプログラムの縮小加速は適切だと強調した。

また、パンデミック(世界的大流行)が近く終息するとは考えておらず、このような環境下で通常の労働市場が何たるかを評価するのは困難だと指摘。パンデミックが抑制されれば、労働市場が「実際にどのような状態になり得るか」についてより良い見立てが可能だが、すぐには難しいと語った。

FOMCの結果を受け、米国株は緩やかに上昇し、米債利回りも上昇。ドル指数は強含んだ。

また、15日のフェデラル・ファンド(FF)金利先物市場が織り込む、来年4月までに0.25%ポイントの利上げが実施される確率は約90%となった。5月までに利上げが実施される確率は100%。3月まででは50%となった。