[ワシントン 12日 ロイター] – 米上院民主党は12日、ロシア政府によるウクライナへの敵対行為が起きた場合、プーチン大統領を含むロシアの政府や軍の高官と主要な金融機関などに大規模な制裁措置を講じる法案を発表した。

ホワイトハウスが支持するこの法案にはウクライナの安全保障を強化する条項が含まれ、「ロシア連邦の悪意ある影響力のツール」で、ロシア産天然ガスをドイツに輸送するパイプライン「ノルドストリーム2」が稼働しないよう、米国が「利用可能で適切なあらゆる手段を検討する」ことを促す。

上院外交委員会のメネンデス委員長(民主党)は「この法案は、ロシア政府によるウクライナ再侵攻の脅しを、米上院が看過しないことを断固として明確にするものだ」と声明を出した。

米紙ワシントン・ポストが最初に報じたこの法案は、銀行が他の金融機関と重要な情報を交換する際に使用するSWIFT(国際銀行間通信協会)などの堅牢な通信システムを提供するロシア国内の企業も対象としている。

メネンデス氏の報道官によると、この法案には上院民主党トップのシューマー院内総務ら20人を超える民主党員が賛同している。

ホワイトハウスの国家安全保障会議の報道官は、ロシアが侵攻に踏み切った場合、この法案によって「ロシア経済が深刻な代償を払うことになる」と指摘し、共和党のクルーズ上院議員が提唱する法案など他の法案は「ロシアのさらなる侵略に対抗することも、ウクライナを保護することもできない」と述べた。

この法案はノルドストリーム2への制裁を支持する民主党員に代替案を提供し、クルーズ氏の法案の可決を困難にする。

クルーズ氏の法案は、ロシアがウクライナに再侵攻するかどうかにかかわらず、可決後15日以内にパイプラインに制裁を加えるというもので、大統領が制裁を適用しない場合には議会が制裁の復活を投票で決めることができる。クルーズ氏はノルドストリーム2事業を中止させるためには、直ちに制裁が必要だと訴えている。

バイデン大統領はノルドストリーム2は欧州にとって悪い取引であり、ロシアの影響力を強めることになると指摘している。しかし、バイデン政権は昨年、ドイツとの関係を修復するためにノルドストリーム2事業を管理する企業への制裁を適用しなかった。