米金融当局の中でもハト派の代表格であるブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)理事が利上げに前向きな姿勢を示し、3月の利上げ開始観測がますます強まりました。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は年内に多ければ4回の利上げを実施することにも言及しましたが、データを見極める必要性も強調しました。物価指標には落ち着きも見え始めているものの、新型コロナウイルス感染拡大がどのように経済指標に影響するのかはなお不透明で、読みづらい状況が続きそうです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
タカ派姿勢
FRB副議長に指名されているブレイナード理事は指名承認公聴会で、このところの強い物価上昇圧力を確実に抑えるため、政策金利を活用していく考えを示した。ブレイナード理事は影響力のあるハト派寄り当局者の一人であり、高インフレと闘う姿勢を示したことは同理事の政策面での重要な転換点となる。3月の利上げ開始の可能性についても否定しなかった。
沈静化の兆し
2021年12月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇と、予想(0.4%上昇)を下回る伸びにとどまった。エネルギーと食品の価格低下が指数を押し下げ、コスト圧力が和らぎ始めた可能性を示唆した。コアPPIは前月比0.5%上昇と、市場予想に一致した。サービスの価格は前月比で上昇したものの、ペースは鈍化。昨年の急激なインフレが沈静化に向かう可能性が示唆された。
ドルの売り時
世界経済の回復が勢いを増す中で、ドルを売り新興国市場株や金に資産を移すべきだと、マネーマネジャーが一斉に唱え始めた。1カ月前はドルに関するポジションが2015年以降で最も強気だったが、今はドル相場がピークに達したとの見方が広がっている。K2アセット・マネジメントはドルを売り、アジア新興国の債券と欧州株を買うことを勧めている。ブランディワイン・グローバル・インベストメント・マネジメントは資源関連の通貨を買うよう推奨。ブレークリー・アドバイザリー・グループは金と銀を選好している。
利回り上昇でも
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらは、2022年末までに10年物米国債利回りが2%になると予想し、現水準からの上昇は限られるとの見通しを示した。従って、将来利益の「割引率による成長株のバリュエーションへのリスクも限られる」と分析した。金融引き締めが経済成長を損なうとの懸念は成長株よりも、シクリカルなバリュー株により大きな打撃を与えるだろうとも指摘した。
黒字予想維持
米デルタ航空は、新型コロナのオミクロン変異株の感染急拡大により空の旅の回復が少なくとも60日先送りされることなどから1-3月(第1四半期)の損益は赤字を予想するが、2022年通期では黒字にとどまるとの見方を示した。昨年10-12月(第4四半期)決算の発表文で、米国のコロナ感染者数は向こう7日でピークを付ける見通しで、当初12月と想定していた旅行需要の回復が2月後半になるとの見方を示した。
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