【ソウル、ワシントン時事】韓国軍合同参謀本部や日本政府によると、北朝鮮は30日午前7時50分(日本時間同)ごろ、内陸部の慈江道舞坪里付近から東方の日本海に向けて、中距離弾道ミサイル1発を発射した。最高高度は約2000キロで飛行距離は約800キロとみられる。高角度の「ロフテッド軌道」で発射され、約30分間飛行し、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したもようだ。中距離弾道ミサイルの発射は2017年以来。
日本政府は30日、国家安全保障会議(NSC)を首相官邸で開催。岸田文雄首相や岸信夫防衛相、林芳正外相らが情報収集・分析などに当たった。岸田首相は「国連安保理決議違反で強く非難し、抗議した」と記者団に語った。松野博一官房長官は現時点で被害状況を確認していないと説明した。
米インド太平洋軍は声明を出し、北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難した。一方で、今回の発射は米領土や同盟国などに「差し迫った脅威」を与えなかったと分析。日米韓で緊密に連携していく考えを示した。
北朝鮮は今年に入り、相次いで短距離弾道ミサイルや巡航ミサイルの試射を実施しており、今回が7回目。19日に開かれた朝鮮労働党会議では、18年4月に凍結を表明していた核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)試射の再開を示唆していた。
今回発射した中距離弾道ミサイルは、17年に試射を繰り返した「火星12」の可能性がある。米領グアムを射程に収める可能性があり、米国などとの緊張がさらに高まりそうだ。