2022年3月4日 23時53分

ロシアがウクライナに対する軍事侵攻に踏み切り、現地では今もロシア軍とウクライナ軍の戦闘が続いています。

戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる4日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)。

ユニセフ「子ども17人死亡」(3日時点)

ユニセフ=国連児童基金によりますと、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、今月3日時点で子ども17人が死亡し、30人がけがを負ったことが確認されているとしたうえで、実際にはさらに多くの子どもたちが犠牲になっている可能性があるとしています。

また、国外への避難者のうち、半数近いおよそ50万人が子どもだということで、ユニセフは一刻も早い停戦の実現と、子どもたちへのさらなる支援を訴えています。

国連 ウクライナから国外避難120万人以上(3日時点)

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシアによる軍事侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、今月3日時点で120万人以上に上っています。

このうち半数以上のおよそ65万人はポーランドに避難したということです。

このほか、
▽ハンガリーが14万人以上、
▽モルドバが10万人以上、
▽スロバキアが9万人以上、
▽ルーマニアが5万人以上などとなっています。

プーチン大統領 ベラルーシ大統領と電話で会談

ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は4日、同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領と電話で会談しました。

ウクライナでの軍事作戦の状況が話し合われたということで、プーチン大統領が、「軍事作戦の目的は計画に沿って完全に達成されるだろう」と強調したのに対し、ルカシェンコ大統領が支持を表明したということです。

また、3日に行われたロシアとウクライナとの2回目の交渉についても意見を交わしたとしていますが、内容は明らかにしていません。

一方、ロシア大統領府のペスコフ報道官は4日、アメリカ政府が、プーチン政権に近い関係者や報道官本人に資産凍結などの経済制裁を科したことについて、「プーチン大統領に対する支持をやめさせ、立場を変えさせることが目的であれば、成功するチャンスはない」と述べ、政権を揺るがすものではないと強調しました。

プーチン政権に近い「オリガルヒ」から批判も

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対してプーチン政権に近いとされる「オリガルヒ」と呼ばれる富豪の間から批判の声があがっています。

アルミニウムの生産大手を率いるデリパスカ氏は3日、自身のSNSで「平和は極めて重要だ。交渉を長引かせるなどとんでもないことだ」と投稿し、軍事侵攻を続けるプーチン政権を批判しました。

また、ウクライナ出身でロシア人の実業家、フリードマン氏は軍事侵攻を悲劇だとした上で「戦争は決して解決策にならない」として戦争反対を明確にしました。

サッカー、イングランドプレミアリーグのチェルシーのオーナー、アブラモビッチ氏は2日、クラブの売却を発表した声明の中で、売却による利益をもとに慈善団体を設立し、「ウクライナでの戦争」の犠牲者の支援活動にあたるとしています。

「オリガルヒ」は、ロシアのビジネスで財をなした富豪のことを言います。

今回、日本政府が資産凍結の制裁対象にした「オリガルヒ」は、プーチン大統領に近いとされています。

このうち、大手建設会社「モストトレスト」を所有するローテンベルク氏は、プーチン大統領と同じサンクトペテルブルク出身で、同じ柔道場に通っていたとも伝えられています。

ロシア国営のタス通信によりますと、ローテンベルク氏の会社はロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプラインのほか、2014年にロシアが一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ巨大な橋などの建設を手がけたということです。

また、国営軍事企業「ロステク」のチェメゾフCEOは、旧ソビエトの治安機関KGB=国家保安委員会で、プーチン大統領と同僚だったと伝えられています。

さらに、プリゴジン氏は、クレムリンや軍などのケータリングサービスを手がけているとして欧米メディアの間で、「プーチン氏のシェフ」とも呼ばれています。プリゴジン氏が代表を務める「インターネット・リサーチ・エージェンシー」は、アメリカの2016年の大統領選挙や2018年の中間選挙で、ソーシャルメディアなどを使い、うその情報を流して選挙に介入しようとしたとしてアメリカ政府が制裁を科しています。

また日本政府が、プリゴジン氏が代表を務めるとしている民間軍事会社「ワグナー」に対しては去年12月、ウクライナ東部やリビア、シリアなど世界各地の紛争地帯で暴力をあおり、人権を侵害しているとして、EU=ヨーロッパ連合が域内の資産凍結などの制裁を科しています。

プリゴジン氏は4日、ロシア国営通信に対して「制裁によって、われわれはより強く、より団結し、自国の生産を発展させて真の大国へと進まなければならない」と述べています。

ロシア軍の原発攻撃で国連安保理緊急会合 開催へ

ウクライナ南東部にあるヨーロッパ最大規模の原子力発電所がロシア軍に掌握されたことをめぐり、国連安全保障理事会は、アメリカやイギリスなどの要請に基づいて、対応を協議する緊急会合を4日午前、日本時間の5日午前1時半から開くことになりました。

ロシア企業 プーチン政権の軍事侵攻に否定的な立場示す

ロシアの石油大手ルクオイルは3日、声明を発表し、「ウクライナで起きている悲劇に懸念を表明する」としたうえで、「武力紛争の早期終結を望み、交渉と外交による解決を全面的に支持する」としてプーチン政権による軍事侵攻に否定的な立場を示しました。

そして、「われわれは平和や国際関係の強化に全力で取り組んでいる」と訴えています。ルクオイルは国内第2の石油会社で、ロシアで主要企業が政権に否定的な立場を正式に表明するのは異例です。ロシアの企業は欧米各国などの経済制裁によって厳しい経営を強いられているものとみられ、これまでプーチン政権を支えてきた大手企業からも公然と平和的な解決を求める声が出始めています。

NATO 緊急外相会議開催

NATOは4日、ベルギー・ブリュッセルの本部で緊急の外相会議を開き、ロシアによる軍事侵攻への対応などについて協議しています。

会議に先立ってNATOのストルテンベルグ事務総長は記者団に、「民間人への攻撃を非難する。原発への攻撃も報じられているが、これはこの戦争の無謀さ、早く終わらせることの重要性、そして、ロシア軍が撤退し、外交努力に真剣に向き合うことの重要性を示している」と述べました。

また、アメリカのブリンケン国務長官は、「紛争は望まないが仮に紛争が起きても、われわれは用意はできている。NATOの領土は守り抜く」と述べ、加盟国が1国でも攻撃を受けた場合、反撃などの対応をとる集団的自衛権の行使を定めた北大西洋条約第5条への関与は揺るぎないという姿勢を強調しました。

会議には、NATOの加盟国ではないスウェーデンとフィンランド、それにEU=ヨーロッパ連合も参加していて、ロシアの侵攻がヨーロッパの安全保障に及ぼす長期的な影響などについても意見を交わす予定です。

ストルテンベルグ事務総長は会議後に記者会見を開く予定です。

ゼレンスキー大統領「日本と認識が一致」

ウクライナのゼレンスキー大統領は、岸田総理大臣との電話会談を受けて、日本時間の4日午後7時前、みずからのツイッターに、「ロシアによる核の脅威について報告し、世界の安全保障に対する脅威の重大性をめぐって認識が一致した」と投稿しました。

そのうえで、日本のさまざまな支援と制裁措置に謝意を表明しました。

岸田首相 ゼレンスキー大統領と電話会談

岸田総理大臣は4日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話会談を行いました。ウクライナ政府からの要請を踏まえ、防弾チョッキやヘルメット、それに防寒服や非常用の食料など、自衛隊が保有する物資などを提供する方針を決めたことを伝えたものとみられます。また、ウクライナ最大規模の原発がロシア軍の攻撃を受けたことをめぐり、最新の状況などについて説明を求めたものとみられます。

中国外務省の報道官「原子力施設の安全 保安状況に重大な関心」

ウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所がロシア軍に攻撃されたことについて、中国外務省の汪文斌報道官は4日の記者会見で「ウクライナの原子力施設の安全や保安状況に重大な関心を持っている」と述べ、懸念を示しました。そのうえで引き続き事態の進展を注意深く見守っていくとして「関係国には冷静さと自制を保ち、事態がさらにエスカレートすることを防ぐとともに施設の安全を確保するよう呼びかける」と述べました。

ゼレンスキー大統領「ロシア軍を止めなければならない」

ウクライナのゼレンスキー大統領はロシア軍がザポリージャ原子力発電所を攻撃して火災が起きたあとフェイスブックに動画を投稿し「ロシア軍を止めなければならない。もし核爆発が起きればみんなおしまいだ。ヨーロッパの終わりになる。ヨーロッパの即座の行動だけがロシア軍を止められる。ヨーロッパを核で破滅させるわけにはいかない」と直ちに攻撃をやめるよう強く訴えていました。

ザポリージャ原発 “ロシア軍が占拠”

ウクライナの原子力規制当局はフェイスブックで「ザポリージャ原子力発電所がロシア軍によって占拠された」と発表しました。ロシア軍の攻撃によって発生した火災については「すでに鎮火した。死傷者についての情報は入っていない」としたうえで「原発は作業員によって通常どおり管理されていて、安全に稼働している」としています。

ヨーロッパ各国 武器など供与に踏み切る動き相次ぐ

ウクライナへの支援をめぐってはヨーロッパ各国の間で紛争中の国に武器や装備品を供与しないこれまでの立場を転換し、供与に踏み切る動きが相次いでいます。このうちドイツはこれまで紛争地域への武器の供与には慎重な立場でウクライナに対しても軍用ヘルメットなどの提供にとどめていましたが、ロシアによる軍事侵攻を受けて方針を転換し、対戦車兵器と携帯型の地対空ミサイルをウクライナに供与すると発表しています。

また同様に紛争中の国に兵器を供与しない立場を取ってきたロシアの隣国フィンランドは先月28日、ライフル2500丁や対戦車兵器などを供与すると発表したほか、その前日にはスウェーデンも1939年に当時のソビエトの侵攻を受けたフィンランドに供与して以来となる武器供与に踏み切り対戦車兵器などを送ると発表しています。

キエフ近郊に攻撃 高層マンションから煙や火

首都キエフから北西に50キロのところにある町では2日、ロシア軍の攻撃がありました。3日に公開されたドローンで撮影された映像にはロシア軍の攻撃を受けたと見られる複数の高層マンションから煙が上がり、部屋の中にはまだ火が見えます。壁は黒く焦げ、完全に崩れ落ちている部分もあります。この攻撃で何人の死傷者が出たかは分かっていません。

バイデン政権 プーチン政権に近い富豪など資産凍結

バイデン政権は3日、ロシアのプーチン政権に近い「オリガルヒ」呼ばれる富豪などを対象に経済制裁を科し、資産凍結などを行うと発表しました。

資産凍結の対象となったのは
▽モスクワにある「SMP」銀行の取締役を務めるボリス・ローテンベルク氏と
▽その兄で大手建設会社「モストトレスト」の所有者、アルカジー・ローテンベルク氏
▽ロシアの政府系金融機関「VEB」の会長で、4年前まで第1副首相を務めていたシュワロフ氏
▽国営軍事企業「ロステク」のチェメゾフCEOやその家族らで
プーチン政権に近い「オリガルヒ」と呼ばれる富豪です。

このうちローテンベルク兄弟はプーチン大統領の柔道仲間としても知られています。さらにロシア大統領府のペスコフ報道官も対象に加えられ、資産が凍結されるということです。

バイデン政権 ウクライナ対応で100億ドルの予算要求

アメリカのバイデン政権は3日、軍事や人道支援のため100億ドル、日本円にしておよそ1兆1500億円の予算を認めるよう議会に求めたと発表しました。

ホワイトハウスによりますと、内訳は
▽食料を含めた人道支援に27億5000万ドル
▽周辺国へのアメリカ軍の部隊派遣の関連費用として18億ドル
▽兵器の供与などウクライナの軍備増強に17億5000万ドル
などとなっています。

またロシアによるサイバー攻撃や偽の情報の拡散への対策、それに周辺国に大勢のウクライナ市民が避難していることから、こうした国々への経済支援にもあてられるということです。

アメリカ国防総省 ロシア国防省とのホットライン設置

アメリカ国防総省は3日、ロシア国防省との間に緊急時などに連絡を取り合えるホットラインを新たに設置したと明らかにしました。国防総省当局者は「誤算や偶発的な衝突、緊張の激化を防ぐことを目的に今月1日に衝突回避のためのラインを設置した」と説明しています。

アメリカはウクライナには軍を派遣しないとしていますが、ポーランドなど隣接するNATO=北大西洋条約機構の加盟国には部隊を送っていて、ウクライナ各地でロシア軍による激しい攻撃が続く中、国境付近で意図しない衝突が起きることなどを発端にロシアとの緊張が高まることを防ぎたい考えです。

プーチン大統領に贈った秋田犬育てた男性「情けない」

秋田県が10年前にロシアのプーチン大統領に贈った赤毛のメスの秋田犬「ゆめ」を育てた大館市の畠山正二さん(78)は、ウクライナへの軍事侵攻について「どんな理由があろうとも話し合いで解決すべきで、軍事行動を起こすことはよくないことだ。10年前に『ゆめ』を贈ったときは交流のためと考えていたが、強引なやり方でこのような事態を起こしていて情けない」と非難しました。

そのうえで「ゆめ」の名前が日本語の「夢」に由来していることから「名前に込められた思いとは違う状況が起きていて情けないと思う。『ゆめ』もこのようなことは望んでいないはずだ。これ以上被害が拡大しないように1日も早く軍事侵攻をやめてほしい」と訴えました。

愛知の高校「戦争は悲しみ以外の何も生まない」

愛知県豊橋市にある私立「桜丘高校」は先月28日にロシアのウクライナ侵攻に抗議する緊急の声明を学校のホームページを通じて発表しました。学校では第2次世界大戦中の昭和20年に空襲で数十人の生徒と教師が亡くなっていることから、これまでも平和教育に力を入れてきました。

声明では「ロシアのウクライナ侵攻に断固抗議します」としたうえで「戦争は悲しみ以外の何も生まない。攻撃をする側される側、ともにかけがえのない人生を送る人々であり戦争とはその人々からその人生を奪うものだ」「私たちは今回の侵攻を遠く離れた遠い国で起きている無関係の出来事と考えることができません。この日本でも同様なことが起こりうると思うからです。そう思うと何もせずにはいられませんでした」などとしています。

日本被団協・被爆者 共同声明“即刻侵攻やめて”

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会は、カナダ在住のサーロー節子さんなど各国に住む広島・長崎の被爆者と共同で声明を発表しました。

声明では「プーチン大統領の決断は人類を破滅に導く危険な行為だ。核兵器の使用、核戦争も辞さない態度は人間として許されない行為だ」と強く批判しています。

そして広島と長崎では原爆が投下された1945年だけでも21万人余りが犠牲になり今も原爆症などの苦しみをもたらし続けているとしたうえで「被爆者の訴え、世界市民の願いが核兵器禁止条約を生み出した。条約をいかし核戦争と核兵器をなくすことが核兵器から人類を守る唯一確かな道だ」として、ロシアに対しウクライナへの侵攻を即刻やめるよう求めています。

バイデン大統領 ゼレンスキー大統領と電話会談

アメリカのバイデン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領と3日、日本時間の4日午前、電話会談を行いました。

ホワイトハウスが会談後に発表した声明によりますと、両首脳はザポリージャ原子力発電所で起きている火災の最新状況について意見を交わしたということです。そのうえで「バイデン大統領とゼレンスキー大統領はロシアに対し軍事行動をやめ、消防などが施設に立ち入れるよう求めることで一致した」としています。

“ザポリージャ原発 ロシア軍の攻撃受け火災”

ウクライナのクレバ外相は4日、ツイッターでウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所がロシア軍の攻撃を受け火災が起きているとして「ロシア側は直ちに攻撃をやめるべきだ」と訴えました。

ウクライナ南東部、エネルホダルにある国内最大規模のザポリージャ原子力発電所は国内にある15の原子炉のうち6基が集中していて、IAEA=国際原子力機関によりますと3日、ウクライナから受けた報告としてロシア軍の戦車などが隊列を組んでバリケードを破り侵入したということです。

●「もし爆発したらチェルノブイリの10倍以上の影響が…」
ウクライナのクレバ外相は4日、ツイッターでザポリージャ原発がロシア軍の攻撃を受け火災が起きていることを明らかにしました。そのうえで「もし爆発したらチェルノブイリの10倍以上の影響が及ぶ。ロシア側は直ちに攻撃をやめるべきだ」と訴えました。

IAEAは2日までにロシアから原子力発電所の周辺を掌握したという報告を受けたことを明らかにしていて、発電所付近での武力行使を直ちにやめるよう警告しています。

国外避難 隣国のポーランドに50万人以上

ウクライナから国外に逃れた人は100万人を超え、その半数に当たる50万人以上が避難している隣国のポーランドでは連日、国境を越えて人々が押し寄せています。

バシル・シムコさん(71)は「私たちを兄弟と呼んでいた国に裏切られたようなものです。もう兄弟でもなければ兄弟になることもない」と話していました。また赤ちゃんを連れて避難してきた30歳の女性は「国を離れるという現実に直面し、将来がどうなるのか、いつ帰れるかもわかりません」と話していました。

ウクライナ最大規模の原発ある町 ロシア軍侵入し戦闘 IAEA

IAEA=国際原子力機関は3日、ウクライナで最大規模の原子力発電所がある町に多数のロシア軍の戦車が侵入し、発電所に向かう道路で戦闘が起きているとウクライナから報告を受けたことを明らかにしました。

ゼレンスキー大統領 プーチン大統領に直接会談を呼びかけ

ウクライナのゼレンスキー大統領は3日の会見でロシアのプーチン大統領に向けて「私との交渉の席につきなさい。何を怖がっているんだ」と直接会談を呼びかけたうえで「この戦争を止める唯一の方法だ」と述べました。

また「もしウクライナという国がなくなれば、次にねらわれるのはラトビア、リトアニア、エストニア、そしてモルドバ、ジョージア、ポーランドだ。ロシアはベルリンの壁にたどりつくまで勢力を拡大し続ける」と述べ、ウクライナの危機はヨーロッパ全体の危機だと訴え、軍事的な支援を強化するよう国際社会に求めました。

ジョージアとモルドバ EU加盟を申請する文書に署名

ロシアから軍事侵攻を受けたウクライナがEU=ヨーロッパ連合への加盟を申請したのに続き、14年前にロシアから軍事侵攻された黒海沿岸のジョージアとウクライナと国境を接するモルドバが3日、相次いでEUへの加盟を申請する文書に署名しました。

プーチン大統領「作戦計画どおり すべての任務が成功裏に完了」

プーチン大統領は3日に行われた安全保障会議でウクライナへの軍事侵攻について「われわれの兵士がウクライナで戦うのはこの国を非軍事化させ、国境付近で核兵器なども含めてわれわれを脅かすことがないようにするためだ」と述べ、今回の侵攻を改めて正当化しました。そのうえで「特別な軍事作戦は予定どおり、計画どおりに進んでいる。すべての任務が成功裏に完了している」と述べ、軍事作戦は順調に進んでいると強調しました。

米国防総省高官 キエフなどで激しい爆撃

アメリカ国防総省の高官は3日、ロシア軍の激しい爆撃を受けているウクライナの都市として首都キエフと第2の都市ハリコフ、それに北部のチェルニヒウを挙げました。

ロシア軍に掌握されたと一部で伝えられる南部の都市ヘルソンについては「現地では戦闘が続いており陥落したと言うのはまだ早い」と述べました。そして首都キエフに向けて南下しているロシア軍の部隊については「動きが停滞している」と指摘し、キエフから北におよそ25キロ離れた場所に引き続きとどまっているとの認識を示しました。

2回目の交渉 戦闘地域の住民の避難ルート設置方針で合意

ロシアとウクライナの停戦をめぐる2回目の交渉が3日に行われ、双方の代表団は戦闘地域の住民のための避難ルートを設置する方針で合意したと明らかにしました。ただロシア軍はウクライナ各地で攻勢を強めていて市民の犠牲が増え続ける中、今後の交渉で停戦につながるかは予断を許さない情勢です。

プーチン大統領「軍事作戦の目的はいかなる場合でも完遂」

プーチン大統領は3日、フランスのマクロン大統領と電話会談を行いました。ロシア大統領府によりますと、プーチン大統領は停戦に向けたウクライナとの交渉について「何よりも重要なことはウクライナの非軍事化と中立的な地位であり、これによってロシアに対する脅威がないようにすることだ」と述べ、ウクライナの「非軍事化」と「中立化」の要求についてあくまでも妥協しない姿勢を強調しました。

そのうえで「特別な軍事作戦の目的はいかなる場合でも完遂される。交渉を長引かせて時間を稼ごうとする試みは、ウクライナに対してさらなる要求を突きつけることになるだけだ」と述べました。

カナダ ロシアとベラルーシからの輸入品に35%の関税

カナダ政府は3日、ロシアとその同盟関係にあるベラルーシからの輸入品にそれぞれ35%の関税をかけると発表しました。新たな制裁措置としてほかの貿易相手国と同じ地位を与える最恵国待遇を取り消すことを決めたためで、カナダのフリーランド副首相は同盟国などに対して同様の対応をとるよう呼びかけています。

EU ウクライナから避難してきた人たちの支援強化で合意

EUはウクライナからEU域内に避難してきた人たちの避難生活が長引くことも想定し、就労や就学を認めるなど支援を強化することで合意しました。

具体的にはウクライナ国籍の人は原則、90日以内であればビザなしでEU域内に滞在できますが、今回の措置によって90日を超えても滞在が可能になるほか、就労や就学が認められ医療なども受けられるようになります。適用期間は1年で延長も可能だとしています。

ウクライナ北部チェルニヒウで空爆 少なくとも33人死亡

ウクライナの非常事態庁は3日、北部のチェルニヒウでロシア軍による空爆で少なくとも33人が死亡したと発表しました。現地の映像からは集合住宅とみられる建物が大きく壊れ、炎や黒い煙が出ている様子や学校の窓ガラスが割れている様子が確認できます。

IEAが10項目の提言発表

IEA=国際エネルギー機関によりますと、EUは輸入する天然ガスの45%をロシアに依存していますが、ウクライナへの軍事侵攻を受けた欧米の経済制裁でロシアからのガスの調達は困難になるという懸念が一層強まっています。このためIEAは次の冬がくるまでにロシアのガスへの依存を減らすべきだとして、今後ロシアとの新規の契約を交わさないことやロシア以外の調達先を見つけることなど10項目にわたる具体的な提言を発表しました。

提言には省エネや再生可能エネルギーの普及の加速、それに原発を最大限活用することなども盛り込んでおり、こうした取り組みでロシアからの輸入を3分の1以上減らすことができるとしています。

ヨーロッパ 天然ガスの指標価格上昇

ヨーロッパでは3日「オランダTTF」と呼ばれる天然ガスの指標価格が前日の終値から一時およそ15%高い1メガワットアワー当たり199ユーロまで値上がりしました。これはこれまでで最も高く、去年の同じ時期に比べて10倍以上の水準です。

背景にはEUにとって天然ガスの最大の調達先であるロシアが厳しい経済制裁を受け供給が滞る懸念が一段と強まったことがあります。エネルギー価格の高騰はすでに歴史的な水準にあるインフレをさらに加速させる可能性があり市民の間で不安が高まっています。

バングラデシュ船籍貨物船 砲撃受け1人死亡

バングラデシュ政府によりますと、黒海に面したウクライナ南部の港に停泊していたバングラデシュ船籍の貨物船が2日、砲撃を受け、バングラデシュ人の乗組員29人のうち1人が死亡したということです。ロシア軍とウクライナ軍の戦闘に巻き込まれたとしていますが、どちら側からの砲撃だったのかは分かっていないとしています。

一方、バングラデシュにあるロシア大使館は経緯を調査中だとしたうえで「深い哀悼の意を表する。ロシア側は船が安全に出港できるようあらゆる努力を払っている」とコメントしています。

ヘルソン州知事「州庁舎 完全に占領された」

クリミア半島に隣接するウクライナ南部のヘルソン州の知事は3日、自身のフェイスブックに「ヘルソン」と投稿しました。これについてフランスのAFP通信は「ロシアの侵攻によるウクライナの主要都市の陥落は、はじめてだ」として、ヘルソン州の州都ヘルソンが陥落したと伝えています。

ヘルソンは人口およそ30万の都市で、ロシア軍による主要な攻撃対象の1つとなっていました。

双方の停戦交渉開始 ロシアとウクライナのメディア

ロシアとウクライナのメディアによりますと、ロシアによるウクライナへの
軍事侵攻をめぐり双方の停戦に向けた交渉が始まりました。交渉はポーランドとの国境付近のベラルーシ西部で行われています。