ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。
戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる18日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナとは7時間、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ロシア外相 スロバキアの“地対空ミサイルシステム供与”に反発
スロバキアのナジ国防相が、自国が保有しているロシア製の地対空ミサイルシステム「S300」をウクライナに供与することに前向きな姿勢を示したことについて、ロシアのラブロフ外相は18日、メディアとのインタビューで、「ロシア製のシステムを第3国に対して差し出すことは契約上、認められていない」と反発しました。
そのうえで、欧米各国からウクライナへ供与される兵器は、ロシアの攻撃の対象になると警告しました。
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアや旧ソビエトで使われていた「S300」について、旧ソビエトやロシア製の兵器は、ウクライナ軍の兵士にとって扱いが慣れているとして各国に供与してほしいと要望しています。
複数のメディアなどによりますと、ロシアは20か国ほどに対してS300を売却していますが、このうちNATO=北大西洋条約機構の加盟国では、スロバキアのほかギリシャやブルガリアが購入しているということです。
米中首脳が初の電話会談へ ウクライナ侵攻後初
アメリカのバイデン大統領と中国の習近平国家主席による電話会談は、18日、日本時間の18日夜10時ごろから行われる予定です。
両首脳の会談はロシアがウクライナに軍事侵攻して以降初めてです。
会談を前にアメリカのブリンケン国務長官は記者会見で、中国がロシアへの軍事支援を検討している可能性があるという見方を示したうえで「バイデン大統領はどのようなことであれ中国がロシアの侵攻の支援につながる行動をとれば、責任を取らせるということをはっきりさせる」と述べ、首脳会談で直接、中国に警告するとしています。
これに対して、中国外務省の趙立堅報道官は18日の記者会見で「アメリカ側はうその情報をばらまき、中国側をおとしめ、圧力を加えている。極めて無責任であり、断固反対し、絶対に受け入れられない」と強く反発しました。
そのうえで「アメリカがやるべきことは、みずからの役割を顧み、情勢緩和や問題解決に向けて、実際の行動をとることだ」と述べ、アメリカ側をけん制しました。
これまで中国は軍事侵攻を続けるロシアを表だって批判せず、欧米などの経済制裁にも反対するなどロシア寄りの立場を示していて、国際社会がロシアへの批判を強める中、習主席が18日の会談でどのような姿勢を示すのかが焦点です。
ウクライナ西部リビウ 飛行機整備施設に攻撃 1人がけが
ウクライナ西部の主要都市、リビウで18日朝、日本時間の18日午後、爆発音が聞かれ、地元の市長によりますと、リビウの国際空港の近くにある飛行機を整備する施設がロシア軍による攻撃を受けたということです。
攻撃は複数のミサイルで行われ、施設の建物が被害を受けたとしています。
また、この攻撃によって、1人がけがをしたということです。
攻撃された施設の近くの空港は、リビウ市内中心部からおよそ10キロのところにあり、ロシア軍の侵攻が始まる前はドイツやイタリアなどヨーロッパ各地からの国際線も乗り入れていて、ウクライナ西部の玄関口として多くの観光客が利用していました。
WHO “ウクライナで医療機関に対する攻撃43回”
WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は17日、国連の安全保障理事会の会合に出席し、ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナでこれまでに医療機関に対する攻撃が43回あり、12人が死亡、34人がけがをしたと明らかにしました。
そのうえで、テドロス事務局長は「いかなる紛争においても、医療機関への攻撃は国際人道法に違反する」として強く非難しました。
ウクライナ国境警備当局「32万人超の市民が母国に戻った」
ウクライナの国境警備当局は17日、ツイッターに投稿し「ロシアによる軍事侵攻が始まってからこれまでに32万人を超えるウクライナ市民が母国に戻った」と明らかにしました。
そのほとんどは男性だとしたうえで「国のために戦わなければならない。ウクライナは自由でなければならない」などとつづっています。
米国防情報局「ロシアが核抑止力への依存強める可能性」
アメリカ国防総省の情報機関、国防情報局は17日、議会下院に提出した報告書でロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関する分析を明らかにしました。
それによりますと、今回、ロシアはウクライナや旧ソビエトの国々の勢力圏を取り戻そうと決意し、それが侵攻の原動力になっていると指摘しています。
そして、侵攻の初期にウクライナ側の抵抗で大きな損失を出したものの、今後は「ウクライナ政府が都合のよい条件を示すまで、より殺傷能力の高い戦力を使い前進することを決意しているようだ」としています。
一方で「ロシアはウクライナに勝利すれば旧ソビエトの国々の多くがより近づいてくるだろうと計算しているようだが、軍事的に後退したり、作戦が長引いたりした場合は逆効果になるだろう」と分析しています。
さらにプーチン大統領が先月、核戦力を念頭に抑止力を特別警戒態勢に引き上げるよう命じたのは「脅しを意図したものだ」としたうえで、侵攻が長引いて兵力が消耗し、経済制裁で兵器の生産能力も脅かされるなどして通常戦力が弱まった場合は「西側諸国や国内外に力を誇示するため、核抑止力への依存を強める可能性がある」と指摘しました。
自民と立民 ウクライナ大統領の国会演説 来週中の実施調整で一致
ウクライナのゼレンスキー大統領は西側諸国に支援を要請するため、各国の議会で演説を重ねていて、17日にコルスンスキー駐日大使が衆参両院の議長と個別に会談し、オンラインでの演説の機会を設けてもらいたいと正式に要請しました。
これを受けて自民党の高木国会対策委員長と立憲民主党の馬淵国会対策委員長が国会内で会談し、ウクライナ側の要請を踏まえ、来週中の実施に向けて調整を進めることで一致しました。
日本政府 資産凍結にロシアの国防省幹部ら15人と9団体追加
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを受けて、政府はさらに厳しい対応が必要だとして、18日の閣議でロシアに対する追加の制裁措置を了解しました。
この中では、日本国内にある資産を凍結する対象に、ロシアの国防省や外務省の幹部、議会下院の議員、それにプーチン政権に近いとされる「オリガルヒ」と呼ばれる富豪ら15人と造船会社など軍事産業に関連する9つの団体を加えるとしています。
ICRC 人道危機深刻化に懸念「マリウポリでの支援活動不能」
ICRC=赤十字国際委員会のペーター・マウラー総裁は17日、ウクライナの首都キエフからオンラインで記者会見し、東部のマリウポリについて、支援活動が全くできない状況になっているとして、人道危機が深刻化している現状に強い懸念を示しました。
この中でマウラー総裁は「マリウポリには30人から40人のスタッフが残っていたが、市内での活動が全くできなくなった」と述べ、ICRCのスタッフたちがいったん街を離れ、支援活動の中断を余儀なくされていることを明らかにしました。
そのうえで「戦闘に加わっていない人たちは自宅にいようと、移動中であろうと、どこにいても守られなければならない。支援を受けられるようにすることは国際人道法のもとで義務づけられている」と述べ、ロシアとウクライナの双方に支援の受け入れに向けた合意を急ぐよう呼びかけました。
マリウポリ市議会「35万人以上の住民が隠れて生活」
ウクライナ東部マリウポリの市議会は17日、SNSの「テレグラム」に投稿し「ロシア軍による攻撃が連日のように続き、1日あたり50発から100発の砲撃を受けている」と明らかにしました。
そのうえで「街は16日間にわたって封鎖されていて、およそ3万人が脱出したものの35万人以上の住民がシェルターや地下室に隠れて生活を続けている。住宅の8割が攻撃を受け、このうち3割は修復できないほど破壊された」としています。
国連安保理 ロシアが生物兵器開発について会合要請
ロシアが「ウクライナで生物兵器が開発され、アメリカが関与している」と一方的に主張している中、17日の国連安全保障理事会の会合でロシアのネベンジャ国連大使は、これについて協議する会合を18日に開くよう要請したと明らかにしました。
ロシアの主張に対してアメリカやウクライナは「ロシアがうその情報を広げている」と強く非難するとともに、逆にロシアがウクライナで生物化学兵器を使用するおそれがあるとして警戒を強めています。
米国防総省「町を徐々に破壊しようとしている」
アメリカ国防総省の高官はウクライナに侵攻するロシア軍の動きについて、首都キエフの北西にいる地上部隊に砲兵部隊が合流する動きがみられるとして、遠距離からキエフを攻撃する能力を向上させようとしているとの分析を示しました。
アメリカ国防総省の高官は17日、ウクライナに侵攻するロシア軍の動きについて最新の分析を明らかにしました。
それによりますとキエフの北西と北、北東にいるロシア軍の地上部隊には目立った前進はみられないものの、キエフ中心部に最も近い北西15キロの地点の部隊に後方から進んできた砲兵部隊が合流する動きがみられるとしています。
高官はウクライナ側の激しい抵抗に対しロシア軍は長距離からキエフを砲撃し「町を徐々に破壊しようとしている」としたうえで「引き続きキエフを包囲したいと考えており、遠くから都市を砲撃する能力を向上させようとしている」という分析を示しました。
オデッサで活動のジャーナリスト「すべてが変わった」
ロシア軍が戦闘を激化させている黒海沿岸にあるウクライナ最大の港湾都市オデッサに住むマイケル・シュトケルさん(36)が17日、NHKのオンラインインタビューに応じました。
シュトケルさんはオデッサを拠点に活動するジャーナリストで、ロシアの侵攻が始まったあとも現地に残り、被害の状況や市民の様子を取材してインターネットで発信を続けています。
シュトケルさんは「今のところオデッサの中心部に大きな被害はないが、近郊の村は、艦艇による砲撃やミサイル攻撃を受けていて、銃声や爆発音がここまで聞こえてくる。きょうは沖合にロシアの艦艇が見えて、これまでで最も近かったように感じた」と述べてロシア軍が周辺地域で攻勢を強めている状況を説明しました。
また、街の様子について「多くの市民が領土防衛部隊に入り、街を守ろうとしている。銃弾から自宅を守るために土のうを積む市民の姿も多く見られる。オデッサは笑顔であふれる自慢の街だったが、すべてが変わってしまった」と語りました。
国連安保理 各国がロシア非難
ウクライナの人道状況をめぐり国連安保理では17日、アメリカやイギリスなどの要請に基づいて緊急会合が開かれ、はじめに国連のディカルロ事務次長が「人口の多い地域で強力な兵器が使われ多くの犠牲者が出ている。市民の犠牲の大きさは否定できず徹底的な調査と説明責任が必要だ」と報告しました。このあと欧米各国からはウクライナ東部マリウポリで市民の避難先となっていた劇場が破壊されたことについてロシアを非難する発言が相次ぎました。
これに対しロシアのネベンジャ国連大使はマリウポリの劇場を含め市民や民間施設に対する攻撃はしていないという主張を繰り返しました。
反戦訴えた国営テレビ局女性「愛国者としてロシアにとどまる」
ロシア国営テレビのニュース番組の放送中に反戦を訴えたマリーナ・オフシャンニコワさんはヨーロッパメディアのインタビューに応じ「愛国者としてロシアにとどまるつもりです」と述べました。
オフシャンニコワさんはヨーロッパのメディアのインタビューに相次いで応じ17日、報道されました。この中でオフシャンニコワさんは「海外ニュースの部門で働いていたので仕事柄、ロシア側、ウクライナ側、国際的な情報も含め全体像を見てきましたが、国営テレビはウクライナで破壊された家や死傷者の映像を見せなかった。国家のプロパガンダは戦争前からひどい様相でしたが戦争が始まってしまった今、私はそれに耐えられません」と述べました。そのうえで「国営テレビで働くほとんどの人は何が起こっているかよく理解していて仕事と自分自身のモラルの間で葛藤しています」と指摘しました。そして退職の手続きを進めていることを明らかにしたうえで「愛国者としてロシアにとどまるつもりです」と述べました。
ロシア軍に拉致された市長「すべての市民に感謝」
今月11日にロシア軍によって拉致され6日間におよぶ拘束から解放された南東部ザポリージャ州の都市メリトポリのイワン・フェドロフ市長が17日、自身のフェイスブックに動画でメッセージを投稿しました。この中でフェドロフ市長は「拘束や弾圧を恐れずみずからの立場を守り、抗議活動を通してわれわれが自由を希求するウクライナ人であると示したすべての市民に感謝したい。皆さんが私のために戦ってくれていると日々感じることができた」と感謝のことばを述べました。そのうえで「近い将来みんなで力を合わせてメリトポリの街の広場にウクライナ国旗を掲げることができると確信している」と述べ、市民に団結を呼びかけました。
バイデン大統領 “プーチン大統領は人殺しの独裁者”
アメリカのバイデン大統領はロシアによるウクライナの軍事侵攻で民間人の犠牲者が増え続ける中、プーチン大統領を「人殺しの独裁者」と呼んで激しく非難しました。バイデン大統領は17日、首都ワシントンで開かれた催しのあいさつでロシアの軍事侵攻に言及し、プーチン大統領について「ウクライナの人々に対して非人道的な戦争を仕掛けた人殺しの独裁者で生っ粋の悪党だ」と述べて激しく非難しました。
バイデン大統領はこの日、オンラインで行ったアイルランドの首相との会談でも「ウクライナでプーチンやロシア軍がやっていることは残虐行為だ」と述べました。バイデン大統領は前日にはプーチン大統領を「戦争犯罪人」と呼んでいて、ウクライナで民間人の犠牲者が増え続ける中、非難を強めています。
米国務長官 “中国 ロシアに軍事支援なら対抗措置”
米中の電話首脳会談を前にアメリカのブリンケン国務長官が17日、記者会見し「われわれは中国がロシアに対し、ウクライナで使う軍備面での直接的な支援を検討していると懸念している」と述べ、ウクライナに侵攻するロシアに対し中国が軍事支援を検討している可能性があるという見方を示しました。そのうえで18日に開かれるバイデン大統領と習近平国家主席の電話会談に言及し「バイデン大統領はどのようなことであれ中国がロシアの侵攻の支援につながる行動をとれば責任を取らせるということをはっきりさせるだろう」と述べました。さらに「われわれは代償を科すことをためらわない」と述べ、中国がロシアへの軍事支援に踏み切れば対抗措置を取る方針を示し、中国を強くけん制しました。
IMF 理事会の主席理事 ロシア代表の役職一時停止
IMF=国際通貨基金は理事会の主席理事を務めるロシア代表のアレクセイ・モジーン氏の役職を一時的に停止したことを明らかにしました。理由についてIMFは「ロシアがウクライナへの軍事侵攻を続けていることによる本人の職務への影響を考慮した結果だ」と説明しています。アメリカや日本などG7=主要7か国の首脳は今月11日にロシアがIMFから融資を受けられないように連携して取り組んでいくと発表していました。
一方、IMFはウクライナに対しては緊急時に活用する融資など合わせて14億ドル、日本円でおよそ1600億円の資金支援を行うことを決めています。
NATO 北欧で大規模軍事演習
NATO=北大西洋条約機構の加盟国は北欧のノルウェーで大規模な軍事演習を行っています。NATOの軍事演習はノルウェーが攻撃を受けたという想定で今月から来月にかけてノルウェー各地で行われ、NATOに加盟していないスウェーデンやフィンランドも含め27か国からおよそ3万人が参加しています。
17日、ノルウェー南部の基地では不測の事態が起きた場合にまず派遣される即応部隊の訓練としてフランスとスペイン、それにポーランドの部隊の訓練が公開されました。主催するノルウェー軍は演習は16年前から1年おきに行われているもので、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻とは直接関係はないと強調していますが、NATOがロシアへの警戒をより一層強める中での異例の演習となっていて、NATO軍事委員会のバウアー議長は記者団に対し「最悪の事態、予期せぬ事態に備えることがますます重要になっている」と意義を説明しました。
ウクライナ トルコ外相が会談
トルコのチャウシュオール外相は16日にモスクワでロシアのラブロフ外相と会談したのに続き、17日にはウクライナ西部のリビウを訪れてクレバ外相と会談し、ウクライナの安全を確保するための新たな枠組みの構築に向けて双方と議論したことを明らかにしました。
チャウシュオール外相は17日、クレバ外相との会談のあと記者団に対し「国連安全保障理事会の常任理事国とドイツ、それにトルコが参加するウクライナの安全を集団で確保するための協定についてウクライナから提案があった」と述べました。チャウシュオール外相はこれに先立って16日にはロシアのラブロフ外相と会談していて「ロシアはウクライナ側のこの提案を受け入れることができると私はみている」と述べ、ウクライナ側が提案した新たな枠組みについての議論の進展に期待感を示しました。
一方、ウクライナのクレバ外相は会談後ツイッターに「トルコとの連帯は揺るがない」と投稿し、トルコの外交努力や人道支援に感謝の意を示しました。また17日はトルコ大統領府も声明を発表しエルドアン大統領とプーチン大統領が電話会談をしたことを明らかにしたうえで「いくつかのテーマで合意するためには首脳どうしの会談が必要になる」として、エルドアン大統領が両国の大統領をトルコに招く提案を改めて行ったと明らかにしました。
地対空ミサイルシステム スロバキアは供与に前向き姿勢
ウクライナが防空能力の強化に向けて各国に供与を求めている地対空ミサイルシステムを巡り、これを保有するスロバキアのナジ国防相は供与に前向きな姿勢を示し、アメリカも供与について各国と協議する考えを示しました。
ウクライナでは侵攻するロシア軍の爆撃やミサイル攻撃により民間人の犠牲も増え続け、ゼレンスキー大統領はこれに対抗するため防空能力の強化が必要だとして戦闘機やミサイルを撃ち落とす能力をもつ地対空ミサイルシステム「S300」の供与を各国に求めています。
こうした中、このシステムを保有するスロバキアのナジ国防相は17日、アメリカのオースティン国防長官と会談したあと記者会見し、ウクライナへの供与について「アメリカなどと協議していてわれわれはウクライナに供与する意思はある」と述べ、前向きな姿勢を示しました。ただスロバキアにとってこのシステムは唯一の防空システムだとして、供与に当たっては代わりのシステムの補充などが必要だという認識を示しました。これについてオースティン長官はアメリカとして代替システムを提供する用意があるのか問われたのに対し「これはアメリカだけでなくNATOの問題だ」と述べ、NATO=北大西洋条約機構の各国と協議する考えを示しました。
“市民780人が死亡” 国連人権高等弁務官事務所
国連人権高等弁務官事務所は、ウクライナで今月16日までに少なくとも58人の子どもを含む780人の市民の死亡が確認されたと発表しました。この中には東部のドネツク州とルガンスク州や首都キエフ、第2の都市ハリコフなどの市民が含まれています。
ただ激しい攻撃が続くマリウポリなどの市民は多数が犠牲になった情報があるものの、詳しい確認が取れていないため含まれておらず、実際の犠牲者数はさらに多いとしています。
マリウポリ出身の男性「劇場に攻撃 強い憤り」
ウクライナ東部のマリウポリで大勢の市民が避難する劇場が爆撃を受けたことについて、マリウポリ出身の41歳の男性がNHKのインタビューに応じ「劇場は恋人が待ち合わせをするなど市民の幸福な日常を象徴するような場所だ。そこが攻撃を受けたことに強い憤りを感じる」と述べました。また男性は家族と暮らすマンションが今月11日から12日にかけてロシア軍による爆撃を受けて大きく破壊されたとしたうえで、ロシア軍は住宅や民間の施設に対する攻撃を拡大しマリウポリの町は壊滅的な被害を受けていると証言しました。
男性は今月15日に家族とともにマリウポリを脱出し250キロほど離れた場所でウクライナ政府が用意した避難施設に身を寄せているということです。男性は「これまでに脱出できたのは経済的にも比較的余裕があり自家用車やガソリンを持っている幸運な人たちが多いが、マリウポリには依然何十万人もの人が電気も水道もない状態で恐怖におびえて過ごしている」と話していました。
マリウポリ 劇場が破壊
ロシア軍による激しい攻撃で被害が拡大しているウクライナ東部のマリウポリでは劇場が破壊されました。クレバ外相は現場の写真をツイッターに投稿し、劇場には数百人が避難していたと訴えました。
これについてマリウポリの市議会は避難していた人の多くが女性や子ども、それに高齢者だとしていてSNSの「テレグラム」で17日「劇場ではがれきの撤去や人々の救助活動が進められている」と説明しました。ただ「被害者の状況は現在確認中だ」としていて、詳しい状況は今も明らかになっていません。
一方、ウクライナのヨーロッパ担当の副首相は17日フェイスブックに「劇場のシェルターは無事で、すでに130人を救助することができた」としています。
軍事侵攻開始から3週間 ポーランドに逃れ体調崩す人相次ぐ
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから17日で3週間となりました。国境を越えた避難や先行きの見えない不安から隣国ポーランドに逃れた人たちの中で体調を崩す人が相次いでいて、大きな課題に直面しています。
ウクライナの隣国ポーランドには国外に逃れた人のうち180万人以上が避難していて、国境から70キロほど離れた都市、ジェシュフは避難してきた人たちが次の目的地に向かうための中継地点となっています。中心部にあるショッピングモールは緊急の避難所として運営され、17日も幼い子どもを連れた母親たちやお年寄りなどおよそ300人が体を休めていました。
医師によりますと、寒さや国境を越えて逃れてきた疲れ、それに先行きへの不安などから体調を崩す人が相次いでいるということです。幼い子どもたちの間ではかぜなどの症状が多く、大人たちは長時間歩いてきたことによる足の痛みなどを訴えているということです。