ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻の開始から1か月余りとなります。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる27日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ウクライナ国外避難 382万人超に

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は26日の時点で、382万人を超えています。

避難先はポーランドがおよそ226万人、ルーマニアがおよそ58万人、モルドバがおよそ38万人、ハンガリーがおよそ34万人などとなっています。

また、ロシアに避難した人は22日の時点で、およそ27万人となっています。

ウクライナ「男女とも戦闘に前向き」ノルウェーの研究機関調査

ノルウェーの研究機関の調査で、回答したウクライナ人男性のおよそ7割が、ロシア軍との戦闘に参加することに前向きな考えを示したことがわかりました。
この調査は、オスロ平和研究所が現地の調査会社の協力を得て、今月9日から12日にかけてウクライナ国内に住む18歳から55歳までの男女を対象にオンラインで行ったもので、1081人から回答を得たとしています。
この中で、ロシア軍との戦闘に参加することについてたずねたところ男性の72%が前向きな考えを示したほか、女性も28%が前向きな考えを示したということです。また戦闘ではない形でウクライナ軍への支援に関わることについては男性は81%、女性は78%が前向きな考えを示したということです。
オスロ平和研究所は「侵略者に対するウクライナの人たちの士気は非常に高く、彼らに向けられる恐怖に比例して戦闘の激しさは増すだろう」としていて、ロシア軍が軍事侵攻を続ければ、双方の犠牲者がさらに増えることになると懸念を示しています。

モルドバの中の“親ロシア国家” ロシア支持の声が多く聞かれる

ロシア軍の苦戦が伝えられる中、注目されているのがウクライナの西部国境に接する沿(えん)ドニエストル地方です。ロシア系住民が多く暮らし、1990年にモルドバから一方的に分離独立を宣言して、事実上、モルドバ政府の統治が及んでいません。
現在もロシア軍1500人以上が駐留し、大量の武器や弾薬が備蓄されているとみられています。中心部につながる道路には、ロシア軍の戦車と兵士が配置につき、沿ドニエストル地方の旗とロシア国旗が並んで掲げられているのが中心部の至るところで見られました。
沿ドニエストル地方の政府機関とされる建物の前には、ロシア革命の指導者、レーニンの像が建てられているほか、使われなくなった旧ソ連製の戦車も要所要所に展示されています。
ロシア軍は、親ロシア派の武装勢力が影響力を持つウクライナ東部地域から沿ドニエストル地方にかけて回廊を築こうとしているともみられています。
ただ、モルドバ政府などによりますと、これまでのところ沿ドニエストル地方のロシア軍に目立った動きは見られないということです。この地域の住民からは「戦争で血が流れることはよくありませんが、皆、プーチン大統領を支持しています」とか「ロシアはウクライナに平和をもたらそうとしているだけです」といったロシアを支持する声が多く聞かれました。

チェルノブイリ原発の技術者が住む町 ロシア軍が掌握 IAEA

IAEA=国際原子力機関は、ウクライナ北部のチェルノブイリ原子力発電所の技術者が住む町がロシア軍に掌握されたと明らかにし、技術者の交代の見通しが立たず原発の保守や管理に支障が出るおそれもあります。

IAEAのグロッシ事務局長は「原発で働く人たちが重圧にさらされずに重要な業務にあたることが安全の柱の1つだ」と強調し、状況を注視しているとしています。

ウクライナ西部主要都市リビウ 複数の爆発 7人がけが

ウクライナ西部の主要都市リビウで26日、燃料の貯蔵施設と軍の関連施設に対し、ロシア軍によるミサイル攻撃があり、隣国ポーランドを訪問していたアメリカのバイデン大統領によるウクライナ支援の動きをけん制するねらいがあるとの見方も出ています。

リビウで、26日、午後4時半ごろ、市の中心部から6キロほど離れた燃料の貯蔵施設で複数の爆発があり、火災になりました。

リビウの中心部にいたNHKの取材班は、防空サイレンが鳴ったあと、避難のために取材拠点に戻る途中に、複数の爆発音を聞き、その後、市の北東部の方角で黒い大きな煙があがるのを確認しました。

そのおよそ2時間半後の午後7時ごろ、市の中心部から5キロほど離れた軍の関連施設でも複数の爆発がありました。

一連の爆発について地元当局は、いずれもロシア軍によるミサイル攻撃で、合わせて7人がけがをしたと発表しました。

26日、アメリカのバイデン大統領は隣国ポーランドを訪問し、ウクライナへの支援を強化する内容の演説を行っていて、今回の攻撃は、そうした動きをけん制するねらいがあるとの見方が出ています。

ウクライナ西部のリビウは、比較的情勢が安定していて、隣国ポーランドから入ってくる支援物資が集まるほか、ウクライナ各地から逃れた多くの避難民を受け入れています。

ウクライナ公共放送配信 ロシア軍 キエフ北のスラブチチに侵攻

ウクライナの公共放送は動画投稿サイト、ユーチューブで現地の状況を連日、国内外に英語で発信しています。

26日に公開された放送では、首都キエフの北にあるスラブチチにロシア軍が侵攻し、病院を占拠したほか、市長を一時拘束したということです。
これに対して大勢の市民が広場に集まり大きなウクライナの旗を掲げながらデモ行進を行うなどしてロシア軍に抗議し、市長は解放されたということです。

米バイデン大統領プーチン氏非難「権力の座に残してはいけない」

ウクライナへの支援を打ち出すためにヨーロッパを訪問しているアメリカのバイデン大統領は26日、ポーランドの首都ワルシャワで一連の外遊を締めくくる演説を行いました。

この中でバイデン大統領は「ロシアは民主主義を抑圧し、同じことを他の国でもやろうとしている」と述べたうえで、「プーチンは残忍な手を使ったが、この戦争は戦略的に失敗だったことは明らかだ」と述べました。

そして「プーチンはこの戦争を終わらせることができるし、終わらせなければならない」述べ、改めて軍事侵攻をやめるよう求めました。

そのうえで、プーチン大統領について「この男を権力の座に残しておいてはいけない」と述べ、強く非難しました。

ただ、この発言をめぐってホワイトハウスの高官は演説の終了直後「大統領は体制の転換について議論しているわけではない」としたうえで、バイデン大統領の発言は「隣国などに力を行使することは許されないとする趣旨だった」と釈明しました。

ロシア大統領府報道官「バイデンが決めることではない」

これに対しロシア大統領府のペスコフ報道官はロイター通信の取材に「バイデンが決めることではない。ロシアの大統領を決めるのはロシア国民だ」と反発しました。

米バイデン大統領 ポーランド防衛に責任果たすと強調

ヨーロッパを訪問しているバイデン大統領は26日、ポーランドの首都ワルシャワでドゥダ大統領と会談しました。

冒頭でバイデン大統領は「ヨーロッパの安定はアメリカの国益や世界にとって極めて重要だ」と述べるとともに「プーチンが、NATOを東側と西側で分断できると考えたことは明らかだが、そうはできなかった」と述べ、ロシアの試みはNATOの結束を前に失敗に終わったと強調しました。

そのうえでNATOの加盟国が攻撃を受けた場合、加盟国全体への攻撃とみなして反撃などの対応をとる集団的自衛権の行使を定めた条約を踏まえ「われわれは北大西洋条約第5条を神聖な義務だととらえている。信頼してもらってかまわない」と述べ、ポーランドの防衛に責任を果たすと強調しました。

国連 ウクライナで少なくとも1104人市民死亡と発表

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まった先月24日から今月25日までに、ウクライナで少なくとも1104人の市民が死亡したと発表しました。このうち96人は子どもだということです。

亡くなった人のうち、▽354人が東部のドネツク州とルガンスク州で、▽750人はキエフ州や東部のハリコフ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州など各地で確認されています。

多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたということです。また、けがをした人は1754人に上るということです。

今回の発表には、ロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで、確認が取れていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は、実際の数はこれよりはるかに多いとしています。