[ワシントン 1日 ロイター] – ウクライナへの侵攻を理由に西側諸国がロシアに科した大規模な制裁措置により、ロシアは閉鎖経済に回帰し始めており、リセッション(景気後退)に追い込まれると、米財務省の高官が1日、匿名で述べた。
記者団に対し、ルーブルは対ドルで回復しているものの、ロシアは急激なインフレ、輸出の減少、物資の不足に苦戦していると指摘。ルーブルの回復は市場原理によるものではなく、厳格な資本規制および外為規制によってもたらされているとした。
また、ロシア政府が実施している外為規制はルーブルの国際的な評価が需給によって決定されていないことを意味していると言及。ブラックマーケットではルーブルの価値が急落しており、金融商品としてのルーブルの脆弱さを反映しているほか、国内の急激なインフレ高進はルーブルの購買力低下を示しているとした。
ルーブルの国際的な評価は、乏しい外貨を維持することを目的とした規制により、ロシア経済のパフォーマンスと切り離されているとし、協調制裁はロシア経済に非常に大きな打撃を与えており、国外のアナリストらはロシアの国内総生産(GDP)が今年約10%縮小すると予測していると語った。
その上で「ロシアが直面している経済的影響は深刻だ。インフレ高進が一段と高く、ディープリセッション(深刻な景気後退)が一段と深くなる一方だ」とした。
高官は、銀行やオリガルヒ(新興財閥)、主要な産業セクターへの制裁やロシアの重要な技術へのアクセスを断つ米国の輸出規制による累積効果によって、ロシアは冷戦時代のような閉鎖経済に追いやられると分析。ロシアはエネルギー商品や原材料の生産国であり、消費財やハイテク商品を独自に製造する能力がなく、「閉鎖経済として、ロシアは自国で生産したものしか消費できなくなり、厳しい調整になるだろう」とした。
また、米国はこれまでの制裁措置や輸出規制の実施に満足しているものの、違反がないか引き続き警戒しているとした。