ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)
ロシア通信当局 “ウィキペディアに虚偽情報が” 削除求める
ロシアの通信当局は5日、インターネット上の百科事典「ウィキペディア」に対して、ロシア軍やウクライナでの軍事行動について「虚偽の情報が掲載されている」と主張し、削除するよう求めたと発表しました。
そのうえで求めに応じない場合は最高400万ルーブル、日本円にしておよそ570万円の罰金が科されると警告しました。
ロシアのプーチン政権はウクライナへの軍事侵攻に反対する声が広がることに神経をとがらせていて、軍事侵攻の実態や被害などが明るみにならないようSNSの利用などを制限しています。
またロシアでは先月、ロシア軍の活動について意図的に誤った情報を拡散したとみなされれば、最高で懲役もしくは禁錮15年を科す法律が成立するなど情報統制が一層厳しくなっています。
ロシア ペスコフ報道官「すべての非難は根拠ない」ねつ造と主張
ロシア軍が撤退したウクライナの首都近郊などで多くの市民の遺体が見つかり、国際社会でロシアの責任を問う声が強まっていることに対し、ロシア大統領府のペスコフ報道官は5日「ロシアに対するすべての非難は根拠がなく、悲劇を演じた見せ物にすぎない。一連の出来事や大量の情報は、ロシア軍を中傷することを目的としたものだ」と述べ、ロシア軍の信用を失墜させるためのねつ造だと、主張しました。
また、ドイツやフランスなどが相次いでロシアの外交官を追放する処分を発表していることに対し「前例のない危機的状況の中で、外交の窓口を狭めることは近視眼的な動きだ」と批判しました。
そのうえで「必然的に、われわれは対抗手段に乗り出すだろう」と述べ、報復措置をとると強調しました。
キーウ市長「とてもショックで一生忘れられない光景」
ウクライナの首都キーウのクリチコ市長は5日、オンラインでNHKのインタビューに応じました。
このなかでクリチコ市長は今月3日と4日の2日間にわたって訪れたブチャの様子について、すべての建物が破壊され、路上に多くの遺体が放置されていたと明らかにしました。
そのうえで「これはウクライナの国民に対するジェノサイドだ。ロシア軍は女性や子どもを殺した。『子ども』と大きな文字で書かれ、白旗を掲げた多くの車が路上にあった。避難しようとした人々をロシア軍は銃撃したのだ」と述べ、ロシア軍が無差別に民間人を標的にしたと非難しました。
そして「父親や母親がいて、家族がいるはずの人間がどうしてこんなことができるのか。とてもショックで一生忘れられない光景だ」とひと言ひと言、絞り出すように話しました。
また、ロシア側が「ウクライナがうその情報を流している」として、関与を否定していることについては、「ロシアは常にうそをつき、信じることはできない。ロシアは自分たちがやったすべてのことに責任があるし、全世界がこの恐ろしい出来事を見ている」と述べました。
ハルキウ市長「ロシア軍はわざと重要なインフラ狙って砲撃」
ウクライナの第2の都市ハルキウ・ロシア語でハリコフのイゴール・テレホフ市長は5日、国連の委員会の会合でオンラインで演説しました。
このなかで、テレホフ市長は、ロシア軍の侵攻によるハルキウの被害状況について「1300の集合住宅のほか複数の学校や病院も破壊された。ロシア軍の部隊は、わざと変電所や暖房設備、ガスパイプラインなど重要なインフラを狙って砲撃した」と述べました。
そして「もっとも悲惨なことは、空爆によって住民が殺されていることだ。商店に行ったり、人道支援の列に並んだりした無実の住民が殺されている。ロシア軍の砲撃や空爆を逃れて市民の30%がハルキウを離れた一方で、街に残った人はいまも、シェルターなどで避難生活を余儀なくされている」と述べ、激しい戦闘が行われるなかで、いまも多くの人が厳しい生活を送っているとしています。
そのうえで、市長は「ロシア軍機が空爆できないようにウクライナの空は閉じられなければならない。それは、私たちの生死に関わることだ」と述べ、ウクライナ上空に飛行禁止区域を設定するなど国際社会による一層の支援が必要だと訴えました。
ウクライナ 戦争犯罪関与疑いのロシア兵1600人余の名簿公開
ウクライナの首都近郊の町でロシア軍の撤退後、多くの市民の遺体が見つかったことを受けて、ウクライナ政府は市民の殺害に関与した可能性があるロシア兵1600人余りの名簿を公開しました。
ウクライナで警察を管轄する内務省の高官は5日、NHKのインタビューに応じ、これまでに400人以上の遺体が見つかったことを明らかにし「虐殺」だとロシア軍を非難しました。そのうえで「氷山の一角にすぎない」と述べ、国際社会の協力も得ながら戦争犯罪の証拠を集めていく考えを強調しました。
こうした中、ウクライナ国防省の情報総局はブチャでの戦争犯罪に関与した可能性があるロシア兵1600人余りの名簿を4日、公式ホームページで公開しました。名簿には氏名や階級、それに生年月日などが記載され、戦争犯罪に関わったロシア軍の兵士を今後特定し、厳しく追及していく姿勢を示しています。
EU委員長らがゼレンスキー大統領とキーウで会談へ
EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長と外相にあたるボレル上級代表は今週ウクライナの首都キーウを訪れ、ゼレンスキー大統領と会談することになりました。詳しい日程は明らかにされていませんが、今月9日にポーランドの首都ワルシャワでウクライナから避難している人たちへの支援を呼びかける国際的な会合が開かれるのを前に訪問するとしています。
ロシア国防省 ウクライナによる自作自演のねつ造
ロシア国防省のコナシェンコフ報道官は5日、ウクライナ西部や南東部など各地にあるウクライナ軍の燃料施設を破壊したなどと発表しました。
さらにコナシェンコフ報道官は「われわれが確認した情報によれば、ウクライナ軍は4日夜、首都キエフ北西にあるモシュンで欧米メディアに報道させる目的でロシア軍によって市民が殺害されたとする新たな心理作戦を行った」として、ウクライナ側が自作自演のねつ造行為を行っていると一方的に主張しました。さらに北東部スムイやコノトプなど他の地域でもウクライナ軍が同様の行為を行っていると指摘しました。
ロシア側はこれまでもロシア軍が撤退したキーウ北西にあるブチャで多くの市民の遺体が見つかったことについて、ウクライナ側がうその情報を流していると主張しています。
フランス外務省 「多くのロシア外交官の追放決定」
フランスの外務省は4日「多くのロシアの外交官の追放を決定した」と発表しました。
この中でフランス外務省は追放の対象となるロシアの外交官について「われわれの安全保障上の利益と相反する行動をしている」と指摘し、今回の決定はヨーロッパ各国と歩調を合わせた対応だとしています。地元メディアは追放の対象となるのは35人の外交官だと伝えています。
ゼレンスキー大統領 国連の安全保障理事会で演説へ
ウクライナの首都キーウ近郊などで多くの市民が死亡しているのが見つかり、ロシアに対する国際的な非難が高まる中、国連の安全保障理事会の会合が日本時間の5日開かれ、ウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで演説を行って、国際社会に現地の惨状を訴えるものと見られます。
ロシア軍が撤退を進めてきた、ウクライナの首都キーウ・ロシア語でキエフの北西にあるブチャでは、多くの市民が路上で死亡しているのが見つかり、各国からロシアの責任を問う声が強まっています。
こうした中、国連安保理では5日午前、日本時間の今夜11時から、ウクライナの人道状況について話し合う会合が開かれ、ウクライナのゼレンスキー大統領もオンラインで演説を行う予定です。
ロシアによる軍事侵攻以降、ゼレンスキー大統領が国連で演説するのは初めてで、大統領はみずから訪れたブチャの状況についても国際社会に惨状を訴えるものと見られます。
これに対し、ロシア側はブチャでの市民の犠牲への関与を否定していて、会合でも各国からの非難に強く反発するものと見られます。
また会合には、国連のグテーレス事務総長も出席し、ロシアとウクライナの停戦交渉に進展が見通せない中、人道危機に歯止めをかけるため、人道的な停戦の実現を呼びかける見通しです。
ロシア外相 “ウクライナ側がうその情報を流している”
ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ北西にあるブチャで多くの市民の遺体が見つかったことについてロシアのラブロフ外相は4日、記者会見で「ロシア軍が3月30日にブチャを離れたあと地元の市長が3日間テレビに出演していたが、その際に写された路上には遺体はなかった」と述べ、ウクライナ側がうその情報を流していると主張しました。
ブチャ ロシア軍占拠の地下室に5人の遺体 拷問か
アメリカのABCテレビは4日、ロシア軍が撤退した首都キーウ近郊のブチャに入った取材班が撮影したという映像を放送しました。
ロシア軍が数週間にわたって占拠していたという建物の地下室では5人の遺体が見つかり、後ろ手に縛られているのがわかります。ひざをついた状態で倒れたとみられる遺体もあり、ABCテレビは地元の人の話として、この地下室では拷問が行われていたと伝えました。
遺体を目の当たりにしたABCテレビの記者は「まさにこの世の終わりのような光景で本当に恐ろしい」とリポートしました。
このほかロイター通信などがブチャの街なかの通りで撮影した映像には後ろ手に縛られたまま殺害されたとみられる男性の遺体や、自転車に乗っていて撃たれたとみられる人が自転車ごと倒れたままになっている遺体が写っています。
また高齢の女性の1人は、自宅に押し入ったロシア軍によって夫が連れ去られ殺されたと泣きながら語りました。この女性によりますと夫は連れ去られて2週間後に頭を撃たれた状態で遺体で見つかりました。拷問されたようだったとしていて、女性は遺体が犬に食べられないよう土に埋めたということです。
ウクライナからの避難民が日本到着
ウクライナからの避難民20人を乗せた政府専用機は午前11時半すぎに日本に到着しました。政府は自治体や企業などとも連携しながら避難してきた人たちをきめ細かく支援していく方針です。
ウクライナからの避難民への支援をめぐっては、林外務大臣が岸田総理大臣の特使として4月2日からポーランドを訪れ、避難民の滞在施設の視察や政府要人との会談を行うなどして日本での受け入れや支援に対するニーズを探りました。その結果、日本への避難を希望しているものの自力で渡航手段を確保することが困難な20人について、人道的な観点から林大臣の帰国に合わせて政府専用機の予備機に乗せ現地を出発しました。そして避難民を乗せた予備機は11時半すぎに到着しました。
松野官房長官「さまざまな支援策を実施」
松野官房長官は、閣議のあとの記者会見で「今回の林外務大臣のポーランド出張により日本への避難をせつに希望しているものの、現在自力で渡航手段を確保することが困難な方々も複数いることが分かり、人道的観点からこうした事情を抱える20名の方々に政府専用機に乗っていただくこととした」と述べました。
そのうえで「来日した避難民の方々に対しては入国後の各場面に応じてさまざまな支援策を実施していきたい。基本的には『アジア福祉教育財団』の難民事業本部に委託して生活費や医療費の支給などの支援を実施し、自治体や企業などへ引き継ぎの後は、引き継ぎ先と協力しながら必要な支援を実施していく」と述べました。また松野官房長官は、3日までにウクライナからの避難を目的として日本に入国した人数は404人だと説明しました。
対ロシア追加制裁 高額の日本車や時計など輸出禁止
ウクライナ情勢をめぐり政府はロシアに対する追加の制裁措置として価格の高い日本車など高額な製品の輸出が5日から禁止されました。
新たにロシアへの輸出禁止の対象になったのは
▽600万円を超える乗用車や
▽60万円を超えるバイク
▽20万円を超えるグランドピアノ
4万円を超える
▽天然の真珠などの宝飾品
▽高級ウイスキーといった酒類
▽貴金属を使用した腕時計など合わせて19品目です。
こうした高額な製品の輸出を止めることでプーチン大統領に近いとされる「オリガルヒ」と呼ばれる富豪への圧力を強めるねらいがあります。
ゼレンスキー大統領「ジェノサイドだ」
ウクライナのゼレンスキー大統領は4日、公開したビデオメッセージで、首都キーウ北西のブチャで300人以上の市民が殺害されたり拷問を受けたりしたという情報があると明らかにしたうえで、死者の数はさらに増えるという見通しを示しました。
そして「犯罪に関与したロシア軍を一刻も早く特定するため、あらゆる手を尽くしている。彼らを罰するためにEU=ヨーロッパ連合や国際刑事裁判所などの国際機関と協力していくことになる」と述べ、関係機関と連携してロシア軍の行為を厳しく追及していく考えを示しました。
これに先立ちゼレンスキー大統領は4日、ブチャで報道陣の取材に応じ「数千人の市民が戦車でひき殺されたり手足を切断されたりし、女性は暴行を受け、子どもたちも殺されている。世界はこれが戦争犯罪だということを認めなければならない」と訴えました。そのうえで「これは戦争よりひどい。ジェノサイドだ」と述べ、民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加える「ジェノサイド」だとして強く非難しました。
またゼレンスキー大統領は停戦交渉が進展していないことに触れ「ロシア軍の非道な行為が日増しに明らかになっていて、交渉が長引くほどロシア側にとって結果は悪くなるだろう。もし彼らにまだ考える能力があるならば交渉は早く進めたほうがよい」と述べました。
西部リビウで地元出身兵士の葬儀
ウクライナ西部リビウの中心部にある教会では4日、東部でのロシア軍との戦闘で命を落とした地元出身の兵士2人の葬儀が厳かな雰囲気の中で執り行われ、ウクライナ軍の兵士たちのほか、親族や友人など100人以上が参列しました。
このあと2人のひつぎは市内の墓地に運ばれ、ロシア軍や親ロシア派の武装勢力との戦闘で死亡した兵士たちが眠る一角に埋葬されました。参列者たちはウクライナの国旗の色に合わせて青と黄色の花を手向けて追悼しました。
米大統領補佐官 “現時点で「ジェノサイド」とは認識せず”
ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊などで多くの市民が死亡しているのが見つかったことを受けて、アメリカ・ホワイトハウスで安全保障政策を担当するサリバン大統領補佐官は4日、ロシアに対し今週中に新たな制裁を科すことを明らかにしました。
ホワイトハウスで記者会見したサリバン大統領補佐官は新たな制裁について「同盟国や友好国と具体的な内容を協議している」と述べ、同盟国などと連携して打ち出すことになるという見通しを示しました。
一方、民族などの集団に破壊する意図をもって危害を加える「ジェノサイド」にあたるのかどうかについては「残虐な行為や戦争犯罪を目にしているが、組織的にウクライナ人の命が奪われる『ジェノサイド』のレベルまで達しているとはまだ確認していない。状況を注視していく」と述べ、アメリカ政府としては現時点で「ジェノサイド」とは認識していないとする立場を示しました。
国連人権高等弁務官事務所「3日までに市民1430人死亡」
国連人権高等弁務官事務所はロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月3日までに、ウクライナで少なくとも1430人の市民が死亡したと発表しました。このうち121人は子どもだということです。
死亡した人のうち958人はキーウ州や東部のハルキウ州、北部のチェルニヒウ州、南部のヘルソン州などで、472人は東部のドネツク州とルハンシク州で確認されています。また、けがをした人は2097人にのぼるということです。
多くの人たちは砲撃やミサイル、空爆などによって命を落としたり、負傷したりしたということです。今回の発表にはロシア軍の激しい攻撃を受けている東部マリウポリなどで確認がとれていない犠牲者の数は含まれておらず、国連人権高等弁務官事務所は実際の数はこれよりはるかに多いとしています。
米国連大使「国連人権理事会 ロシアのメンバー資格停止を」
ウクライナの首都キーウの近郊などで多くの市民が死亡しているのが見つかったことを受けて、アメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は4日、訪問先のルーマニアで記者会見し、ロシアの国連人権理事会のメンバー資格を停止するため決議案を国連総会に提出する考えを明らかにしました。
トーマスグリーンフィールド国連大使は、ロシアはプロパガンダの道具として人権理事会を利用していると非難したうえで「われわれにとって大切な原則を覆している国が人権理事会に参加し続けることは容認できない」と強調しました。国連人権理事会のメンバーは47か国で、国連総会で3分の2以上の賛成があれば資格を停止させることができます。
ヨーロッパ各国 ロシア外交官追放などの動き
ドイツのベアボック外相は4日、声明を出し「ロシアの指導者たちの信じられないほどの残忍さを証明するものだ。この非人道的な行動に対抗しなければならない」として、首都ベルリンのロシア大使館に勤務するかなりの数の外交官を追放する措置をとると発表しました。追放される外交官の具体的な人数についてドイツメディアの多くは「40人にのぼる」と伝えています。
これに対しロシア外務省のザハロワ報道官は4日、インターファクス通信に対し「われわれは、このドイツの悪意ある行為に対応する」と述べ、対抗措置をとる考えを示しました。
またフランスの外務省も4日「多くのロシアの外交官の追放を決定した」と発表しました。この中でフランス外務省は追放の対象となるロシアの外交官について「われわれの安全保障上の利益と相反する行動をしている」と指摘し、今回の決定はヨーロッパ各国と歩調を合わせた対応だとしています。
このほかバルト3国のリトアニアの外務省は4日「ロシアとの外交関係を格下げすることを決めた」とする声明を発表しました。
それによりますと、リトアニア政府はリトアニアに駐在するロシア大使に出国するよう求めるとともに、西部のクライペダにあるロシア総領事館を閉鎖するということです。またロシアに駐在するリトアニア大使を近く帰国させるとしています。
国連事務次長 ロシア外相らと“人道的停戦の可能性”で会談
国連で人道問題を担当するグリフィス事務次長は4日、訪問先のロシアの首都モスクワで、ラブロフ外相やショイグ国防相らと会談しました。
国連の報道官によりますと、グリフィス事務次長は市民を保護し支援物資を届けるための人道的な停戦の可能性について話し合ったということです。ただ具体的な内容については「会談は生産的なものだった」と述べるにとどまり、5日に開かれる国連の安全保障理事会でグリフィス事務次長が報告するとしています。
グリフィス事務次長は近く、ウクライナの首都キーウも訪問する方向で調整を進めているということです。
一方、ロシア外務省によりますと、会談でラブロフ外相はキーウの北西にあるブチャで多くの市民が死亡しているのが見つかり、ロシアに対する非難が相次いでいることについて触れ「偽装が行われ、それがウクライナや西側諸国によって大々的に拡散されている」と反発しました。
ウクライナ外相と会談の英外相 “虐殺証拠にがく然 制裁強化を”
ウクライナ情勢をめぐりイギリスのトラス外相とウクライナのクレバ外相は4日、ポーランドの首都ワルシャワで会談を行いました。
会談のあと両外相はそろって記者会見し、トラス外相はウクライナの首都キーウの北西にあるブチャで多くの市民が死亡しているのが見つかったことについて「市民を標的にした虐殺が行われたという証拠にがく然としている。戦争犯罪が行われたことは非常に明白だ」としてロシアを強く非難しました。そして「西側諸国からプーチン大統領に流れている資金を止めなければならない」として、制裁の強化が必要だと述べました。
またクレバ外相は「中途半端な対応では不十分だ。私はブチャの犠牲者とウクライナの人々のために今週中にパートナー国に対して最も厳しい制裁をロシアに科すよう求める。これはウクライナの外相からの訴えではなく犠牲者とその親族、そしてウクライナ国民すべての訴えだ」と述べ、制裁のさらなる強化を強く訴えました。
米国防総省高官 “現地離れたキーウ周辺展開の部隊 東部投入か”
アメリカ国防総省の高官は4日、ウクライナの首都キーウ周辺に展開していたロシア軍について、再配置の動きが続いていると指摘し、これまでにおよそ3分の2の部隊が現地を離れたとする分析を明らかにしました。
これらの部隊はウクライナと国境を接するベラルーシに向けて北上しているか、すでにベラルーシへの移動を終えたとみられるということです。そのうえでこれらの部隊が補給や人員の追加を受けたあと、ウクライナ東部などでの戦闘に再び投入される可能性があるとの見方を重ねて示しました。
またキーウ北西のブチャで多くの市民が路上で死亡しているのが見つかったことについて、この高官は「ロシア軍による戦争犯罪を示す証拠があるとこれまで言ってきたが、ブチャの状況はその懸念を補強するものだ。これは国際的な捜査に役立つ証拠だ」と指摘しました。一方、東部の要衝マリウポリではロシア軍の侵攻に大きな進展はみられず、ウクライナ側との間で激しい戦闘が続いているとの見方を示しました。
またロシア軍が3日、ウクライナ南部の黒海に面する港湾都市オデーサ・ロシア語でオデッサ近郊の製油所や燃料施設をミサイルで破壊したと発表したことについて、この高官はロシア軍による空爆が行われたと指摘したうえで、水陸両用作戦の前兆なのか、この地域にウクライナ軍を足止めしようとしているのかねらいははっきりしないと述べました。
バイデン大統領 プーチン大統領を「戦争犯罪人」と強く非難
ウクライナの首都キーウ北西のブチャで多くの市民が路上で死亡しているのが見つかったことについてアメリカのバイデン大統領は4日、ワシントンで記者団に対し「あの男は残忍だ。ブチャで起きたことは誰が見ても許しがたい行為だ」と述べてプーチン大統領を強く非難しました。
そしてプーチン大統領について改めて「戦争犯罪人だ」としたうえで「戦争犯罪として法廷で裁くために詳細な証拠を集めなければならない」と述べました。
そのうえでバイデン大統領はロシアに対して新たな制裁を科す考えを明らかにしました。