[12日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は12日、FRBが早ければ6月にもバランスシートの縮小に着手する可能性があると述べた。一連の利上げとともに約40年ぶりの高水準にあるインフレ率の抑制に資するという。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のインタビューで、インフレをFRB目標の2%に回帰させることがFRBの「最も重要な課題」と指摘。利上げの適切なペースに関する言及を避けた上で、「複合的な効果によって年後半には政策スタンスがより中立的な姿勢に速やかに近づく」とし、そこに達すれば、FRBは必要に応じて労働市場やインフレの動向に対応する選択肢を得られるとした。

3月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で「おおむね合意」された、保有資産を最大で月950億ドル圧縮する案については、このような縮小は政策金利を2─3回引き上げることに相当するとした。

また、ロシアのウクライナ侵攻により食料とエネルギーの価格が上昇しており、紛争の長期化や激化により「インフレが上振れし経済活動が下振れするリスクが再び高まる」とした。

中国の新型コロナウイルス感染拡大を抑制するための大規模なロックダウン(都市封鎖)措置についても、サプライチェーン(供給網)が一段と混乱すれば、新たなインフレショックを引き起こす可能性があるとした。

それでも、需要並びにインフレ率は年内に鈍化すると想定。単に金融政策が引き締められるだけでなく、パンデミック(世界的大流行)の影響緩和に向け政府が昨年実施した財政支援策がなくなっているためという。

ブレイナード理事は米国のインフレ率は高すぎるとし、低下させることがFRBの最重要な任務としながも、きょう発表された3月の米消費者物価指数(CPI)で変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が鈍化したことを受け、「歓迎すべき」インフレ低下の兆候も見られていると言及。「今後数カ月間、緩やかな動きが続くかどうかを見極めたい」とした。

労働省が発表した3月CPIは前年同月比8.5%上昇。前月比では1.2%上昇した。一方、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は、前月比0.3%上昇と、2月の0.5%上昇から鈍化した。

市場関係者は、FRBの政策引き締めが早すぎた場合、米企業が借入コストの上昇と需要の減少に対応して雇用を削減すれば、米経済がリセッション(景気後退)に陥りかねないと懸念しているが、ブレイナード理事は、求人件数が過去最高水準にあることから、そのような事態にはならないと分析。「大規模な解雇は必要なく、求人件数を減らすことで」企業による対応が可能とした。