ロシアのプーチン大統領は18日、自国に対する国際的な制裁という「経済の電撃戦」は失敗したと主張。通貨ルーブルの相場は戦争前の水準を回復したと述べた。

  ウクライナ側が同国北部ブチャで戦争犯罪を行ったと非難するロシア軍部隊に対し、プーチン氏が名誉称号を授けた。

  ウクライナ南東部の都市マリウポリの防衛部隊はロシア軍に包囲されているが、市はまだ陥落しておらず、ウクライナ兵の多くはアゾフスタル製鉄所に立てこもっていると複数のウクライナ当局者が述べた。

  ポーランドとの国境に近いリビウではミサイル攻撃で死者が出たほか、首都キーウ(キエフ)では2日連続で空襲警報が聞かれた。

MARIUPOL, UKRAINE – MARCH 26: Collapsed building is seen as civilians are being evacuated along humanitarian corridors from the Ukrainian city of Mariupol under the control of Russian military and pro-Russian separatists, on March 26, 2022. (Photo by Stringer/Anadolu Agency via Getty Images)

  ローマ教皇フランシスコは、復活祭の説教でウクライナの和平を呼び掛ける一方、今回の対立が核戦争につながる恐れがあると警鐘を鳴らした。ロシア人富豪ロマン・アブラモビッチ氏はウクライナとロシアとの協議を再開させようとしている。ウクライナの当局者は今週、国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合出席のため、米首都ワシントンを訪問する。

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

イエレン長官、G20出席へ

  イエレン米財務長官は今週ワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議にロシア当局者が参加しても、会議への出席を完全に取りやめることはない。米財務省の高官が記者団に18日明らかにしたもので、長官は一部のセッションを回避したとしても、ロシアによるウクライナ侵攻の経済的影響に関する会合には参加するという。

イエレン米財務長官、一部のG20会議に出席へ-ロシア参加でも

ロシアがウクライナ東部に軍増派-米当局者

  ロシアはウクライナ東部への新たな軍事攻撃のため同地域に増援部隊を送ったと、米国防当局の高官が記者団に語った。約11の大隊戦術グループを追加派遣し、その数は計76グループほどになるという。

ブチャでの戦争犯罪疑惑の部隊に称号授与

  ロシアのプーチン大統領は同国軍の第64自動車化歩兵旅団に名誉称号を授与した。ウクライナ国防省はこの部隊について、ブチャでの住民虐殺に関与していたことを特定したと主張していた。ロシア大統領府のペスコフ報道官にコメントを要請したが、これまでのところ返答はない。

ロシア経済は安定しつつある-プーチン氏

  プーチン大統領は前例のない西側からの制裁をロシアが耐え抜き、状況は安定しつつあるとの認識を示した。当局者らとの会議で、ルーブル相場が上昇していることに言及した。会議の模様はテレビ中継された。

プーチン大統領、ロシア経済を楽観-ルーブルは「回復した」と表明

明確な代替準備資産、特定できず

  ロシア中央銀行は世界の主要な準備通貨に代わる明確な投資先をまだ見つけていないと認めた。ウクライナ侵攻を巡る制裁で、同中銀が使える準備資産は人民元と金に限られた格好となっている。

ロシア、主要通貨に代わる準備資産をまだ特定できず-制裁で凍結後

スペイン、キーウの大使館を再開へ

  スペインのサンチェス首相は数日以内にキーウの大使館を再開するとテレビインタビューで述べた。ロシア軍がキーウから後退していることを受け、EUがキーウの代表部を1週間余り前に再開したほか、フランスやイタリアも同様の動きを見せている。

ロシア軍の攻撃、ウクライナ各地で続く

  ロシア軍は爆弾とミサイルで西部リビウを含めウクライナ各地を攻撃している。当局者が明らかにした。リビウでは少なくとも6人が死亡、8人が負傷したと州知事が説明。東部ドニプロも攻撃を受けており、数発がインフラ施設に命中したと地元知事が語った。ハリコフは夜通し砲撃を受けたという。

  ドンバス地方に対する爆撃も続いた。ルガンスク州知事は「ロシアの砲弾が至る所に落ちている」と述べ、全民間人に対し人道回廊を経由で避難するよう促した。

ロシア産業界、ユーロ債代替支払いで当局との協議望む-コメルサント

  ロシア産業企業家同盟(RSPP)はユーロ債の代替支払い手段について、政府とロシア中央銀行との協議を望んでいる。ロシア紙コメルサントがRSPPの文書を引用して報じた。

ハリコフへの攻撃で18人以上死亡-ゼレンスキー大統領

  ウクライナのゼレンスキー大統領はソーシャルメディア上に掲載した動画メッセージで、ロシア軍によるハリコフへの4日間にわたる攻撃で少なくとも18人が死亡、106人が負傷したことを明らかにした。

ゼレンスキー大統領は17日、ロシア軍によるハリコフへの4日間の攻撃で少なくとも18人が死亡と明らかにしたSource: Bloomberg

原油先物が上昇、リビア供給障害やロシア警告を嫌気

  ニューヨーク原油先物相場はアジア時間18日午前の取引で上昇。リビアでの供給障害に加え、ロシア産エネルギーを禁輸する国が増えれば過去最高値更新の可能性があるとの警告が材料視された。

  ロシアのノバク副首相は同国産エネルギー禁輸への参加国が増えれば、価格が過去最高値を「大きく超える」可能性があると述べた。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)5月限は1バレル=108ドルに近づいた。

NY原油先物が上昇、リビア供給障害やロシア警告を嫌気

ウクライナ、EU加盟申請開始に必要な質問書の回答完了-報道

  ウクライナ政府は欧州連合(EU)加盟申請開始に必要な質問書への回答を完了した。インタファクス・ウクライナがウクライナ大統領補佐官を引用して17日、伝えた。

プーチン氏のルーブル払い命令、EUはロシア産ガス事実上禁輸か

  欧州連合(EU)とロシアはロシア産天然ガスの輸出入を事実上禁止する可能性がある。代金をルーブル建てで支払うよう義務付けたロシアのプーチン大統領の大統領令に従えば、EUの制裁に抵触するとの予備調査結果をEUの行政執行機関である欧州委員会の法律家らはまとめた。

プーチン大統領のルーブル払い命令、EUはロシア産ガス事実上禁輸か

ロシアはマリウポリを破壊し尽くすと決めたようだ-ウクライナ外相

  ウクライナのクレバ外相はCBSとのインタビューで、マリウポリが「ロシア部隊によっておおむね包囲されている」ものの、防衛部隊と「多数の市民のグループ」が抵抗を続けていると説明。「市はもはや存在しない。ロシア軍の振る舞いからみて、いかなる犠牲を払っても市を破壊し尽くすと決めたようだ」と述べた。

  シュミハリ首相はABCとのインタビューで、マリウポリは陥落していないが、1カ月に及ぶ攻撃で「甚大な人道的大惨事」が起きていると語った。

  マリウポリの市長によると、同市では民間人1万人余りが死亡したと推計され、それよりさらに多くの人が犠牲になったとみられている。食料や水、医薬品が減る中で、人道支援を受けられない状態となっている。

ウクライナ、ワシントンで資金支援を要請へ

  ウクライナのシュミハリ首相は、同国では1カ月当たり約50億ドルの財政赤字が発生していると述べた。ウクライナの財務当局者らは、今週ワシントンを訪問し、IMF・世界銀行の春季会合に出席する。シュミハリ首相はABCテレビで、追加の資金支援が必要だと説明。ウクライナ当局者がIMFと世銀、米財務省の高官と協議すると語った。

ミコライウへの爆撃続く、知事がBBCに語る

  ウクライナ南部の港湾都市ミコライウとその周辺地域では17日朝からロケット弾による攻撃が続いていると、ミコライウ州のビタリー・キム知事がBBCで語った。

ゼレンスキー大統領、バイデン米大統領訪問への期待表明

  ウクライナのゼレンスキー大統領は、バイデン米大統領がウクライナを訪問し、ロシアの侵攻による被害状況を把握することを望んでいる。ゼレンスキー氏は17日に放送されたCNNのインタビューで、訪問はバイデン氏が決めることで、安全を巡る状況次第だとした上で、「彼は米国のリーダーだ。ここに来て現状を目にするべきだと思う」と語った。

ロシア軍のウクライナ東部への移動続く

  英国防省によると、ロシア軍の戦闘用および後方支援物資がベラルーシから、ウクライナのハルキウやセベルドネツク近郊を含む同国東部に向かっている。東部全域で目標に対するロシア軍の攻撃が続いており、向こう数日さらに激しくなるとみられる。プーチン政権は「最終目的」を変えていないと英国は分析した。

マリウポリへの攻撃続く

  ウクライナ陸軍参謀本部によると、ロシア軍によるマリウポリへの攻撃は続き、空爆のほか、海上からの上陸作戦準備が進んでいるもよう。ロシア側はモスクワ時間17日午前6時(日本時間正午)以降、数時間以内に投降したウクライナ兵士の命は守るとしている。

ロシア、マリウポリに残るウクライナ軍に投降迫る

  ロシアは港湾都市マリウポリに残るウクライナ軍に17日に武器を捨て投降するよう要求した。ロシア国家防衛管理センターのミジンツェフ所長はウクライナ軍が拠点とする製鉄所は「壊滅的な状況にある」として、「武器を捨てた者には全員、命を保証する」と述べたとタス通信が報じた。過去にも同様の要求があったが、ウクライナ側は拒絶してきた。

ゼレンスキー大統領、ジョンソン英首相と再会談  

  ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、ジョンソン英首相と電話で再び会談した。約1週間前にジョンソン氏はキーウ入りしている。英首相官邸の発表によれば、両首脳は「ウクライナの長期的安全保障を解決する必要性」を話し合った。

ウクライナ当局者、ワシントンを訪問へ

  ウクライナ国立銀行(中央銀行)のシェフチェンコ総裁はニコライチュク副総裁とともに国際通貨基金(IMF)・世界銀行の春季会合参加のため、米首都ワシントンを訪問する。同中銀の報道官が話した。シュミハリ首相とマルチェンコ財務相も同行する。一連の会合は18日に始まる。

原題:Ukraine Update: Russia Has Added Forces, U.S. Official Says(抜粋)