けさ、NHKのサイトを見て納得した。「ロシアと同盟のベラルーシで“ウクライナ支援の志願兵が増加”」とある。プーチンはベラルーシのルカシェンコ大統領と対面で再三会談している。その都度、両国の親密な関係を世界中にアピールしている。こうした映像を見ながらいつも「ベラルーシ国民は大半が反プーチンだろう」と思っていた。そんな勝手な思い込みをこの記事は実証してくれた。プーチンが頼りにしているのは、国民からそっぽを向かれたたった一人の独裁者というわけだ。NHKの記事に戻ろう。「ロシア軍と戦うウクライナの部隊と連携するため、ベラルーシから少なくともおよそ500人の志願兵が現地に赴き戦闘に参加していることがNHKの取材で分かりました」とある。個人的な願望を込めて言えば、この先、志願兵は増えていくのではないか。ロシア国内でも反プーチンの輪は広がるだろう。

東部でロシア軍と果敢に戦っているウクライナ精鋭のアゾフ大隊。記事には「(同大隊と)連携する組織がポーランドの首都ワルシャワにあり、その代表パベル・クフタ氏(24)がNHKの取材に応じました」とある。クフタ氏によると、「ウクライナに軍事侵攻を続けるロシアへの反発からウクライナを支援したいというベラルーシ人の志願兵が増えている」のだそうだ。ベラルーシもウクライナもロシアと同じスラブ民族。プーチンはことあるごとに三国の一体感を口にする。だが、同じ民族の人々を無差別に殺害するプーチンをベラルーシ、ウクライナ両国の国民は信用するはずがない。クフタ氏も「ロシア人が武器を持つ場所では常に破壊行為が行われ、一般人が殺害される」と敵意をあらわにする。志願兵が増えるわけだ。

それだけではない。ルカシェンコ大統領に対する批判もあるだろう。2020年に行われた大統領選挙で不正があり、対立候補だったスベトラーナ・チハノフスカヤ候補が、隣国リトアニアに亡命せざるを得ないような弾圧を受けていた。この不正選挙を裏で支えていたのがプーチンだ。プーチンはこの時からウクライナ侵攻を思い描いていたのだろう。国民からそっぽを向かれ、不正選挙で信を失った大統領であっても、自分の独裁的権力を維持するために必要なものはとことん守る。どこまでも身勝手なのだ。NHKも記事の最後を「ベラルーシは、政権としては同盟国ロシアと連携を深めていますが、一部の市民の間では、ロシアへの反発からウクライナを支援する動きが出始めています」と締めている。二人の独裁者は異常だが、ベラルーシ国民は真っ当だ。