4月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を上回る伸びとなり、インフレが高止まりした状態でさらに長期化することが示唆された。金融当局は積極的な利上げ軌道の維持を迫られそうだ。
キーポイント |
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・総合CPIは前年同月比8.3%上昇-前月は8.5%上昇 ・ブルームバーグ調査のエコノミスト予想中央値は8.1%上昇 ・前月比では0.3%上昇(市場予想は0.2%上昇) ・変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比6.2%上昇-前月は6.5%上昇 ・予想中央値は6%上昇 ・前月比では0.6%上昇 ・市場予想の全てを上回る(予想中央値は0.4%上昇) |
前月比での伸びには住居費や食品、航空運賃、新車などが特に寄与した。
連邦海軍信用組合のコーポレートエコノミスト、ロバート・フリック氏は「インフレは既にピークをつけたかもしれないが、この日のCPI統計は、指数の低下が長期間を要する、ゆっくりとしたものであることを示しており、8%前後での横ばいさえも示唆している可能性がある」と述べた。
今回のCPIはまた、価格高騰の広がりを浮き彫りにしており、賃金の堅調な伸びとともに高インフレが当面続くことを示唆している。
可処分所得の使い道が旅行や外食などにシフトする中、今年のインフレ鈍化予想は主に財分野の価格上昇減速にかかっている。4月は物品・商品のインフレ率が前月比で鈍化した一方、サービス価格は2001年以来の大幅な伸びを示した。
食品は前月比0.9%上昇。前年同月比では9.4%上昇と、1981年以来の大幅な伸びを示した。鶏肉や生鮮海産物、ベビーフード、調理済みサラダは前年同月比で過去最大の伸びとなった。
エネルギー価格は下落。ガソリン価格は前月比6.1%低下したが、足元では過去最高水準に反発しており、低下は一時的なものとなる可能性がある。
住居費は3カ月連続で前月比0.5%上昇。同費用はサービス分野で最大の構成要素となっており、CPI全体の約3分の1を占める。家賃は0.6%上昇、帰属家賃は2006年以来の大幅な伸びとなった。
家計の必需品高騰の別の例としては、電気や天然ガスを含むエネルギーサービス価格が前年同月比13.7%上昇し、08年以来で最大の伸びとなった。
旅行需要の拡大に伴い、ホテル滞在費用は前月比1.7%上昇。航空会社が燃料コストの高騰を消費者に転嫁したため、航空運賃は過去最大の18.6%上昇。新車価格は1.1%上昇し、今年最大の伸びとなった。中古車は0.4%下落した。
ブルームバーグ・エコノミクスのアナ・ウォン、アンドルー・ハズビー両氏は「パンデミックに関係した財分野の行き過ぎた需要が落ち着き始めているものの、サービス分野のインフレは広範に力強く、コアインフレを高止まりさせている。金融当局による利上げの遅れが、インフレを根付かせる要因の一つになった様子を浮き彫りにしている」と指摘した。
家計の困難な状況は、急速な賃金の伸びさえもインフレによって打ち消されていることが一因だ。別の統計によれば、インフレ調整後の実質平均時給は前年同月比2.6%減少し、13カ月連続でマイナスとなった。
統計の詳細は表をご覧ください。
原題:Prices in US Outstrip Forecasts in Sign of Inflation Persisting(抜粋)