ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる18日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア下院議長 捕虜交換に否定的な姿勢示す

ロシア下院のボロジン議長は17日、ロシア軍が拘束したウクライナ軍やアゾフ大隊の兵士などについて「ナチスの犯罪者は交換されるべきではない。戦争犯罪者であり、彼らを裁判にかけるためにあらゆることをしなければならない」と述べ、ウクライナへ引き渡すことに否定的な姿勢を示しました。下院では18日、ウクライナ軍の兵士などの交換を禁止する法案が審議されることになっています。

ウクライナ内務相顧問「近い将来 私たちは領土を取り返す」

ウクライナのスミルノウ内務相顧問は17日、地元のテレビ番組に出演し「敵は6月終わりから7月のはじめにかけて私たちの反撃を強く感じることになるだろう」と述べ、欧米からの軍事支援を受けて反撃を一層強める姿勢を示したうえで「近い将来、私たちは領土を取り返すだろう」と徹底抗戦する構えを強調しました。

ロシア国営テレビ出演の軍事評論家 軍事作戦に批判的コメント

ロシアの国営テレビで16日、ゲストとして出演した軍事評論家がロシアの軍事作戦に批判的なコメントをしました。ロシアの国営テレビで軍事作戦について批判的なコメントが放送されるのは異例のことで、イギリスの公共放送BBCは「驚くべきことだ」と伝えています。BBCは真相は定かではないとしながらも、軍事作戦についてあえて悪いニュースを流すことでロシア国民に心構えをさせようとしているのではないかと指摘しています。

ウクライナ国防次官「マリウポリの部隊 役割を果たした」

ウクライナ東部の要衝マリウポリでウクライナ軍が長期にわたりロシア側と戦闘を続けてきたことについて、ウクライナのマリャル国防次官は16日、SNSに投稿した動画のなかで「マリウポリの部隊のおかげで、われわれは予備軍を編成し部隊の再編成を行うことができたほか、外国から支援を受けるための決定的に重要な時間を得ることができた。マリウポリの部隊はすべての役割を果たした」と述べ、意義を強調しました。

また、ポドリャク大統領府顧問も17日、マリウポリでの戦闘について「ロシア軍をマリウポリに引き付けることで、東部と南部で占領作戦を行うロシア軍の動きを滞らせた」と述べ、ロシア軍の兵力をマリウポリに集中させたことでほかの地域でのロシア軍の作戦に影響を与えるなど効果があったと強調しました。

フィンランドとスウェーデン NATO加盟を申請

NATO=北大西洋条約機構への加盟に向けて北欧のフィンランドとスウェーデンの大使は18日、ベルギーのブリュッセルにあるNATOの本部でストルテンベルグ事務総長と面会し、加盟を申請する書面を直接手渡しました。ストルテンベルグ事務総長は「NATOにとってもっとも緊密なパートナーである両国の加盟は、われわれの安全保障を強化する。加盟の申請は歴史的な一歩だ」と述べて、歓迎しました。

“中国 国際社会の平和のため責任ある役割を” 林外相

林外務大臣は中国の王毅外相とオンライン形式で会談し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について明白な国際法違反だと指摘し、中国に対し国際社会の平和と安定のために責任ある役割を果たすよう求めました。日中両国の外相による会談は去年11月の電話会談以来、半年ぶりです。

ゼレンスキー大統領「ロシア軍は失敗を取り返そうとしている」

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日、新たに動画を公開し、西部から東部にかけての広い範囲でロシア軍による攻撃があったことを明らかにしました。そのうえで「こうした攻撃はウクライナに緊張を生み出すものだ。ロシア軍は東部や南部で犯した一連の失敗を取り返そうとしている」と指摘しました。

そしてロシア側が掌握をねらう東部2州を念頭に「ロシア軍は攻め込もうとしている地域で成功を収めることができていない。このためミサイル攻撃などで成功を示そうとし、むだに終わっている。今回の攻撃もこれまでの多くの攻撃と同様に根本的に何かを変えることはできない」と強調しました。

「ロシアがマリウポリ港を再開させる動き」米シンクタンク

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は16日、ウクライナ東部ドネツク州のマリウポリで製鉄所を拠点としていたウクライナの兵士260人余りが州内のロシアの占領地域に移動したとし、「マリウポリに残る兵士を退避させるため、両国の当局者が今後数日以内に話し合う可能性がある」という見方を示しました。

そして、マリウポリの港ではロシア側が沈没したウクライナの船を引き上げるなどの動きがあり「港を再開させ、ロシアからの航路を確立しようとしている」と分析したうえで「マリウポリをめぐる戦いは終わりを迎えつつあるのかもしれない」という見方を示しています。

ウクライナ 市民の死者3752人に(国連)

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月16日までにウクライナで少なくとも3752人の市民が死亡したと発表しました。このうち250人は子どもだとしています。けがをした市民は4062人に上るとしています。

東部のマリウポリなどでの死傷者についてはまだ確認が取れていないなどとして、実際は大きく上回るという見方を示しています。

カンヌ映画祭開幕 ゼレンスキー大統領がビデオメッセージ

世界3大映画祭の1つ、フランスのカンヌ映画祭が開幕しました。ことしはロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けロシアの当局者などの参加を認めない一方、最優秀賞のパルムドールを競うコンペティション部門にプーチン政権を批判してきたロシアの監督の作品がノミネートされるなど、反戦のメッセージを強く打ち出す映画祭となっています。

開幕式にはウクライナのゼレンスキー大統領もビデオでメッセージを寄せ「映画こそが自由の価値を伝えてほしい」と訴えました。

米報道官 NATO新規加盟は「合意得られると確信」

北欧のスウェーデンとフィンランドのNATO(北大西洋条約機構)への加盟に向けた動きに加盟国の1つのトルコが否定的な姿勢を示していることについて、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は記者団に対し「両国の加盟については多くの加盟国から支持する声が上がっていて、合意が得られると確信している」と述べました。

NATOに加盟するには加盟国の全会一致の合意が必要で、ホワイトハウスはトルコと協議中だとしています。

フィンランド スウェーデン 18日にNATO加盟申請へ

北欧のフィンランドとスウェーデンは18日に両国そろってNATO=北大西洋条約機構への加盟を申請すると発表しました。両国の加盟には加盟国の1つトルコが難色を示しています。

ニーニスト大統領とアンデション首相は19日にアメリカを訪問しバイデン大統領と協議するとしていて、今後はNATO各国の協議の行方が焦点となります。