ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。
ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる23日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。
(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領「ロシア経済 制裁の打撃に耐えている」

ロシアのプーチン大統領は23日、黒海沿岸のロシア南部のソチで同盟関係にあるベラルーシのルカシェンコ大統領と会談しました。プーチン大統領は、冒頭「あらゆる困難にも関わらず、ロシアの経済は制裁の打撃に耐えている。われわれのパートナーたちがロシアの通貨ルーブルでの支払いに切り替えていることが、ルーブルの強さにつながっている」と述べ、欧米の制裁をけん制したうえで、ロシア産の天然ガスを各国が購入する際にルーブルでの支払いを求めたことなどを念頭に効果があったという考えを示しました。

またルカシェンコ大統領とは、安全保障や経済問題をめぐり、詳細な議論を行うとしたうえで、今後も両国の連携を強めていく考えを示しました。

ゼレンスキー大統領 “ロシアに最大限の制裁を” ダボス会議

世界の政財界のリーダーが集まる「ダボス会議」で、ウクライナのゼレンスキー大統領が23日、オンライン形式でスピーチを行い「今年のダボス会議の主要なテーマは、『歴史的転換点における政策とビジネス戦略の行方』だが、ことしは、世界にとって大きな転換点となった。まさに力によって世界が支配されるかどうかが決まる瞬間となっている」と述べました。そして「ロシアや、隣国に対して残忍な戦争を起こそうとする他のすべての潜在的な侵略者が、その行動に対する結果を明確に知ることができるよう最大限の制裁を行うべきだ」として、ロシア産の石油の禁輸や貿易の停止など、ロシアへの制裁を最大限に強化するよう訴えました。

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初の戦争犯罪裁判 ロシア軍兵士に終身刑 キーウ裁判所

キーウの裁判所には23日、多くのメディアが詰めかけるなか、ロシア軍の戦車部隊に所属するワジム・シシマリン軍曹(21)が出廷しました。軍曹は、軍事侵攻が始まった直後の2月28日、ウクライナ北東部のスムイ州にある村で、自転車に乗った62歳の市民の男性に発砲し、殺害した罪に問われました。これまでに軍曹は殺害については認める一方「狙いを定めずに発砲し、市民を殺害するつもりはなかった」として殺意を否定していました。

23日の判決で、裁判長は上官に命令されて狙ったと指摘したうえで「平和や人道、国際法に対する犯罪だ」などとして、検察の求刑どおり終身刑を言い渡しました。判決の内容を通訳に伝えられると、軍曹はうつむいたまま、小さくうなずくようなそぶりをみせていました。⇒「軍事侵攻後 初の戦争犯罪裁判 ロシア兵に終身刑 キーウ裁判所」詳細記事はこちら

ロシア軍 ウクライナ東部2州の全域掌握へ攻勢強める

ロシア軍はウクライナ東部2州全域の掌握に向け、ウクライナ側の拠点の1つ、セベロドネツクへの攻勢を強めていますが、ウクライナ軍による反撃で戦闘は長期化する見通しです。またイギリス国防省は軍事侵攻から3か月を前にロシア軍の死者数はおよそ1万5000人に上るという分析を示し、ロシア側の厳しい現状が浮き彫りとなっています。

⇒「ロシア軍 ウクライナ側拠点に攻勢強めるも戦闘長期化の見通し」詳細記事はこちら

ダボス会議 ウクライナの自治体の市長などが支援訴え

ウクライナ情勢への対応が主要なテーマとなっている今回の「ダボス会議」では、ロシア軍から激しい攻撃を受けているウクライナの自治体の市長などが会場を訪れ、国際社会に対して一層の支援を訴えました。
「ダボス会議」の会場近くには代表団が打ち合わせをしたり、ビジネスマンなどが人脈作りのためのパーティーを開いたりするため国や企業が拠点を設置しています。これまでロシアの代表団は「ロシアハウス」と呼ばれる建物を拠点としてきましたが、ロシアは今回ダボス会議への参加が認められなかったことから、ウクライナは主催者からこの建物の使用許可を得たうえで「ロシア 戦争犯罪ハウス」という名前に変えて使っています。建物の中では軍事侵攻による被害の様子をうつした写真を展示するなどして現地の惨状を紹介しています。
23日はウクライナの首都キーウ近郊のブチャの市長や現地の看護師などウクライナの関係者が集まり、メディアを前に軍事侵攻による悲惨な状況を訴えました。

ジョージア駐日大使“ロシアの軍事的脅威 認識改めるよう訴え”

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続く中、14年前、ロシアに侵攻された黒海沿岸の国、ジョージアの駐日大使は「世界の国々がロシアの脅威をようやく実感するようになってきた」と述べ、ロシアの軍事的脅威について認識を改めるよう国際社会に訴えました。
14年前、隣国のロシアによる軍事侵攻を受けた黒海沿岸の国、ジョージアのティムラズ・レジャバ駐日大使は23日、都内で記者会見を開き、ウクライナに侵攻したロシアを改めて非難しました。レジャバ大使は「世界の国々がロシアの脅威をようやく実感するようになってきた。われわれは『有事があってからでは遅い』と警鐘を鳴らしてきた」と述べ、経済分野でロシアと協力関係を築いてきた国々も軍事的脅威については認識を改めるべきだと訴えました。

侵攻長期化 アフリカ 深刻な食糧危機に懸念も

ウクライナは小麦やトウモロコシといった穀物の世界有数の輸出国で、戦闘の長期化が見込まれる中、世界の食料安全保障にも影響が広がっています。AU=アフリカ連合の議長国、セネガルのサル大統領は22日「平和を望み停戦と対話に向けて動く。これはアフリカ全体の立場だ」と述べ、今後ロシアとウクライナを訪れ停戦を呼びかける考えを示しました。
ウクライナ情勢の悪化に伴いアフリカでは穀物や燃料の価格が高騰していることから、深刻な食糧危機への懸念を両国に訴えるねらいがあるとみられます。

世界の難民や避難民 1億人超える UNHCR

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所は紛争などによって難民や避難民となった人が、ロシアによるウクライナ侵攻によって急激に増えて世界全体で初めて1億人を超えたことを明らかにしました。
UNHCRは23日、世界各地で起きている紛争や迫害によって住む場所を追われ、難民や避難民となった人の数が全体で初めて1億人を超えたと発表しました。アフガニスタンやエチオピア、それにミャンマーなどで多くの人が避難を余儀なくされ、その数は去年末の時点で合わせて9000万人近くいましたが、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻によって急激に増えたということです。ウクライナではこれまでに国外に避難した人が600万人を超え、国内で避難生活を余儀なくされている人はおよそ800万人に上っているとしています。
UNHCRのグランディ難民高等弁務官は「世界中の危機に対してウクライナからの避難民と同様の支援が必要だ」と訴えました。さらに「この1億人という数は平和を実現するための行動を促す警鐘となるべきだ」として地域の安定に向けた取り組みを国際社会に呼びかけました。

東部ルハンシク州 学校が砲撃受ける

ウクライナの公共放送は動画投稿サイトユーチューブで現地の状況を国内外に英語で発信していて、21日に公開した動画ではウクライナ東部の被害の様子を伝えています。このうち東部ルハンシク州のセベロドネツクでは子どもを含む200人以上が避難していた学校がロシア軍の砲撃を受け、2人が死亡したということです。攻撃があったあと避難者は別の施設へ移動を余儀なくされたとしています。
セベロドネツクをめぐってはイギリス国防省が22日「ロシアにとって戦術的な優先地域の1つだ」としたほか、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」も「ルハンシク州におけるウクライナ側の最後の拠点」だとしてロシア軍が包囲に動くとみられると分析しています。
また同じルハンシク州の町ルビージュネの様子を上空から撮影した映像も伝えています。映像では広い範囲で建物の屋根や壁が崩れ落ちているのが確認でき、ウクライナの公共放送は「ルビージュネはマリウポリと同じ運命をたどっている。町は完全に破壊された」と伝えています。

ウクライナ 戒厳令と総動員令をさらに90日間延長へ

ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアは東部の要衝マリウポリを完全に掌握したと発表したあと、東部のドネツク州とルハンシク州の全域の掌握をねらって攻勢を強めています。
ロシア国防省は22日、2つの州にあるウクライナ軍の指揮所や弾薬庫をミサイルで破壊したと発表したほか、ルハンシク州セベロドネツクの西方では司令部などを攻撃して200人以上を殺害したと主張しました。
一方、ドネツク州の知事は21日、日本政府の支援を受けて2016年に改修されたスビャトヒルスクにある音楽学校がロシア軍の攻撃で破壊されたことを明らかにしました。
こうした中、ウクライナの議会の「最高会議」は22日、ロシア軍の侵攻直後に出された戒厳令と総動員令を、今月25日からさらに90日間延長する大統領令を承認しました。
ゼレンスキー大統領はこれに先立つ21日のビデオ演説で「これまでにロシア軍は1873の教育施設を破壊した」と非難したうえで「われわれはセベロドネツクなどでロシアの進撃を阻止している。今後も勝利に向かって戦い続ける必要がある」と国民に呼びかけ、長期戦に備える構えを示しています。