[25日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)が25日に公表した5月3─4日の連邦公開市場委員会(FOMC) 議事要旨で、「大半の参加者」が6月と7月の会合でそれぞれ0.50 %ポイントの追加利上げを行うことが「適切となる可能性が高い」との 見解を示したことが分かった。市場の見方は以下の通り。
●金融引き締めを年内調整する可能性
<OANDAのシニア市場アナリスト、エドワード・モヤ氏>
米経済が急速に悪化しているため、米連邦準備理事会(FRB)が引き締めサイクルを中断せざるを得ないとの見方が広がり、米国株が小幅に上昇した。FOMC議事要旨は3週間以上前のものだが、FRBが年内に引き締め政策を調整する可能性にかすかな望みを与えた。
インフレ対応が遅れているため、FRBメンバーの大半は今後数回の連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)の利上げが適切とみている。FRBは経済について楽観視しているものの、国債やコモディティー市場に対する懸念は強めている。
●市場は先読みして安定も
<チェリーレーン・インベストメントのリック・メクラー氏>
現時点で市場が本格的に上昇するためには、米連邦準備理事会(FRB)が現状に照らして利上げペースを落とすかあるいは状況を変える、何らかの兆候が必要だ。
市場は先を見ているため、インフレは最悪期を脱したかも知れないと感じている。エネルギー価格やウクライナ情勢は確かにワイルドカードで、大きな状況変化をもたらし得る。しかしそうしたことが起きなければ、市場はこのあたりで安定し始め、FRBが経済は十分に減速し利上げを続ける必要はないとしてガイダンスを変更する時点を先読みするとみている。
●第2シナリオでは75bp利上げ検討も
<ブラックロックの米州債券部門責任者、ボブ・ミラー氏>
米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録からは新しい政策情報は得られなかったが、会合時の議論の詳細から、今後の道筋に関するFRBの考えをある程度読み取ることができる。特筆すべきは、5月会合では(そして現在も)、インフレ抑制が焦点だったことが非常に明確だった点だ。パウエルFRB議長は6月と7月の会合で政策金利を50ベーシスポイント(bp)引き上げるというベースケースをすでに提示しており、他の政策担当者もこの見解を支持している。
7月会合以降、FRBは利上げに関してより「経済指標次第」になる可能性が高いと考えている。つまり、7月以降の政策方針は基本的に、a)インフレ率の動向、b)労働市場の需給不均衡の是正に向けた進展に左右される。
もしこれらの要因が「改善」していれば(つまりインフレ率が低下し、労働市場の不均衡が是正された場合)、FRBにはある程度の余裕ができ、政策金利を25bp刻みで引き上げながら、中立と推定される金利水準を模索できると考える。この場合、市場のボラティリティーは低下し、経済がハードランディングする可能性は低くなる。
しかし、7月のFOMC以降もこれらの要因が改善されなければ、FRBは50bp刻みの利上げを続けざるを得なくなる可能性が高い。このケースでは市場のボラティリティーは高止まりし、好ましくない結果をもたらす確率を高めることになるとみる。
さらに、この第2のシナリオでは、75bpの利上げが再び選択肢となる可能性もあるだろう。