政府は最低賃金の引き上げについて、2025年度にも全国平均で1時間あたり1000円以上を目指す方針を示す。岸田政権が「人への投資」の柱に据える賃上げを加速させ、消費の活性化やコロナ禍からの景気回復を確実なものにする狙いがある。

 政府が7日にも閣議決定する「新しい資本主義の実行計画」の工程表に盛り込む。

 最低賃金はすべての労働者に適用され、現在の全国平均額は930円となっている。東京都(1041円)と神奈川県(1040円)が1000円を超える一方、最も低い高知県と沖縄県は820円で、多くは800円台にとどまる。

 全体の底上げを図ることで「全国平均1000円以上」を実現するとともに、地域間格差の解消や非正規雇用などの処遇改善を図る。

 政府が5月31日に公表した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」の原案では、「できる限り早期に全国加重平均が1000円以上となることを目指し、引き上げに取り組む」と明記した。

 最低賃金の引き上げ額は毎年、労使と有識者がメンバーとなる中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)が議論して決める。政府は「成長と分配の好循環」を実現するため、賃上げの恩恵を全国各地の中小企業や非正規雇用に幅広く行き渡らせる必要性があると訴える。国内総生産(GDP)の半分以上を占める個人消費の活性化につなげる。

 中小企業の一部は経営負担の増加につながるとして賃上げに難色を示してきた。しかし、人手不足が進み、人材を確保するため賃上げの必要性が高まっている。

 政府は中小企業が賃金を引き上げやすくなるよう環境を整えるため、賃上げをした企業への補助金の拡充を検討する。下請け企業が資源価格高騰の影響を納入価格に転嫁できるようにするための調査なども行う。

 工程表ではこのほか、副業・兼業をより促すため、政府のガイドライン(指針)を今年7月に改定する方針も示した。科学技術への投資では、AI(人工知能)による同時通訳技術を25年に実用化することを目標とする。