ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる6月3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 軍事侵攻開始から100日で動画公開

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから100日となった3日、ゼレンスキー大統領は新たな動画を公開しました。
動画は、軍事侵攻翌日のことし2月25日に投稿された動画と同じ場所で撮影されたとみられ、この時と同様の構図でゼレンスキー大統領のほか、シュミハリ首相やポドリャク大統領府顧問などが映っています。
ゼレンスキー大統領は、みずからをはじめ、兵士や国民が今もウクライナにとどまり続けていると強調したうえで「私たちはすでに100日間、ウクライナを守っている。勝利は私たちにある。ウクライナに栄光あれ」と述べました。

ロシア外相 トルコ訪問で外相会談へ

ロシア外務省のザハロワ報道官は3日、今月8日にラブロフ外相がトルコの首都アンカラを訪問し、チャウシュオール外相と会談すると発表しました。ウクライナ情勢や、欧米がロシアに対する制裁を強化する中、今後の経済協力などについて意見を交わす見通しだとしています。
チャウシュオール外相も先月31日、トルコの政府系通信社アナトリア通信の取材に対し、ラブロフ外相が今月8日にトルコを訪れ、穀物を安全に運び出すための黒海の海上輸送ルートについて協議すると明らかにしていました。

“セベロドネツクの化学工場から煙”の映像公開

ウクライナのヘラシチェンコ内相顧問は1日、東部ルハンシク州セベロドネツクの化学工場から煙が上がっている様子をとらえたとする映像をSNSに公開しました。

ウクライナ軍の兵士が撮影したとする映像では、赤茶色の煙が上がっているのが確認できます。

この化学工場をめぐっては、火薬の原料となる硝酸の貯蔵タンクが攻撃を受けたとされていて、映像には健康被害を心配する兵士たちの会話も含まれています。

米財務省 “プーチン大統領の高級ヨット” 差し押さえの対象に

アメリカ財務省は2日、ウクライナへの軍事侵攻を続けるロシアへの追加制裁を発表し、プーチン大統領が過去に使ったとされる高級ヨットを差し押さえの対象にしました。

新たに差し押さえの対象とするのはロシア船籍の「グレースフル」とケイマン諸島船籍の「オリンピア」でプーチン大統領が権利を有しているとしています。

財務省によりますと、プーチン大統領はこれらのヨットで旅行を繰り返し、去年、黒海の旅には、ベラルーシのルカシェンコ大統領も参加していたということです。

また、ロシアの会社が所有する別の2隻のヨットについても、プーチン大統領とつながりがあるとして、差し押さえの対象にしたとしています。

国連 「ウクライナから国外に避難 約698万人」

UNHCR=国連難民高等弁務官事務所のまとめによりますと、ロシア軍の侵攻を受けてウクライナから国外に避難した人の数は、1日の時点でおよそ698万人となっています。

主な避難先は▽ポーランドがおよそ369万人、▽ハンガリーがおよそ69万人、▽ルーマニアがおよそ58万人、▽モルドバがおよそ48万人、▽スロバキアがおよそ46万人
などとなっています。また、ロシアに避難した人はおよそ104万人となっています。

一方で、国外に逃れたあと、戦況を見ながらウクライナに帰国する人の動きも出ていて、ロシア軍の侵攻以降、周辺国からウクライナに入国した人の数は1日の時点でおよそ238万人となっています。

パキスタン ウクライナ支援の立場を鮮明に

パキスタンで2日、ウクライナに送る人道支援物資の引き渡し式が行われました。

引き渡し式は、パキスタンの首都イスラマバードの近郊ラワルピンディの空軍基地で行われました。

毛布や医薬品などの人道支援物資7.5トンを輸送機に積んで、3日、ウクライナの隣国ポーランドに向けて出発するということです。

パキスタンはこれまで、カーン前首相がロシアの軍事侵攻直後の2月24日にモスクワでプーチン大統領と会談したほか、3月に開かれた国連総会の緊急特別会合ではロシアを非難する決議案の採決を棄権するなど、ロシア寄りの姿勢を示してきました。

一方、ことし4月に誕生したシャリフ政権は、ウクライナを支援する姿勢を打ち出し、前政権とは違う立場を鮮明にしています。

ルハンシク州知事「子どもを含む約800人 地下に避難」

ウクライナ東部、ルハンシク州のガイダイ知事は2日、州内でウクライナ側の最後の拠点とされるセベロドネツクで化学工場がロシア軍から攻撃を受け、現在も子どもを含むおよそ800人が地下に避難していることを明らかにしました。

これは、アメリカのCNNテレビとのインタビューで、明らかにしたものです。

この化学工場には、火薬の原料となる硝酸の貯蔵タンクがあり、先月31日に、ロシア軍から攻撃を受けていました。

バイデン政権 ロシアへの新たな追加制裁発表

アメリカのバイデン政権は2日、ロシアに対する新たな追加制裁を発表しました。

このうち財務省は、プーチン大統領の友人でチェロ奏者のロルドゥーギン氏について、プーチン大統領の海外資産を管理している人物だとして、アメリカ国内にある資産を凍結する対象に加えたとしています。

また、国務省も、ロシア外務省のザハロワ報道官を資産凍結の対象にしたとしています。

このほか商務省は、ロシア軍がウクライナへの軍事侵攻を続けるために必要な技術や製品を入手できないよう、ロシアとベラルーシの71の団体に対し、アメリカの技術やソフトウエアが使われた製品などの輸出を事実上、禁止するとしています。

ロシア独立系世論調査機関“7割が軍事作戦長期化予想”

ロシアの独立系の世論調査機関は、ロシア国内で行った調査で、合わせて7割の人が、今後2か月以上の長期にわたってウクライナへの軍事作戦が続くと予想していると2日発表しました。

民間の世論調査機関「レバダセンター」は先月26日から31日にかけて、ロシア国内の18歳以上の1600人余りに対面形式で調査を行いました。

この中で「ウクライナでの軍事作戦が今後どれだけ続くか」と質問したのに対し、
▽「1か月以内」と答えた人が2%、
▽「1か月から2か月」が9%にとどまる一方、
▽「2か月から半年」が26%、
▽「半年から1年」が23%、
▽「1年以上」が21%で、今後2か月以上続くと予想した人が合わせて70%に上りました。

また「ウクライナでの人々の犠牲や破壊行為に対して、あなたたちにも責任はあると思うか」という質問に対して、
▽「間違いなくある」、
▽「何らかの責任はある」と答えた人は合わせて36%と、前の月より8ポイント増えました。

戦闘の長期化に伴って自分に責任を感じる人が増えていることをうかがわせる調査結果で、レバダセンターは「市民の殺害などロシアによる戦争犯罪についてより多くの証拠を国民が目にするようになっているのではないか」と分析しています。

「レバダセンター」は2016年、プーチン政権によって、いわゆる「外国のスパイ」を意味する「外国の代理人」に指定され、圧力を受けながらも、独自の世論調査活動や分析を続けています。

ウクライナ市民 少なくとも4169人死亡 268人は子ども

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月1日までに、ウクライナで少なくとも4169人の市民が死亡したと発表しました。

このうち268人は子どもだとしています。

地域別では、▽東部のドネツク州とルハンシク州で2388人、▽首都のあるキーウ州や東部ハルキウ州など、そのほかの地域で1781人の死亡が確認されているということです。

また、けがをした市民は4982人に上るとしています。

ただ、国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が続いた東部マリウポリなどでの死傷者については、まだ確認が取れていないなどとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るという見方を示しています。

ドネツク州知事「ロシア軍による攻撃で市民7人死亡 10人けが」

ウクライナ東部ドネツク州のキリレンコ知事は2日、オンラインの記者会見で、ロシア軍による攻撃で今月1日に、市民7人が死亡し、10人がけがをしたと明らかにし、侵攻から3か月以上がたった今も犠牲者があとを絶たない現状を訴えました。

知事は、ロシア軍がドネツク州の北部の都市を標的にしていると指摘し「敵は、クラマトルスクとスラビャンスクを掌握するために、ハルキウ州のイジューム周辺、それにドネツク州のリマン周辺から進もうとしている」と述べ、抵抗する姿勢を示しました。

また「ドネツク州で、ウクライナ側が統治する地域では、侵攻前の人口は167万人で、このうちおよそ34万人が今も残っている」と述べ、市民の数が侵攻前のおよそ2割となったことを明らかにしました。

そのうえでキリレンコ知事は少しでも多くの人が避難できるよう、全力で取り組む姿勢を示しました。

ゼレンスキー大統領「ロシア軍 ウクライナ領土の約20%支配」

ウクライナのゼレンスキー大統領は2日、ヨーロッパのルクセンブルクの議会で演説し「ロシア軍はウクライナの領土のおよそ20%にあたる、12万5000平方キロメートルを支配している。これはベルギーとオランダ、それにルクセンブルクの3か国を合わせた面積よりはるかに大きい」と指摘しました。

さらにおよそ30万平方キロメートルが地雷や不発弾によって汚染されていると訴えました。

そして、ウクライナの市民は毎日、ロシア軍のミサイル攻撃にさらされているとした上で「正確な数はまだわからないが、100日もたっていないのに、少なくとも数万人が殺害された」と非難しました。

また、ゼレンスキー大統領はウクライナで「子どもの日」とされる1日、動画のメッセージを公開し「これまでに20万人を超えるウクライナの子どもたちが連れ去られた。ロシアは、子どもたちを自国の領土に分散させている。特に辺境の地に移住させている」と批判しました。