ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交などウクライナ情勢をめぐる8日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、ロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

東部セベロドネツク 戦闘いっそう激しくなるか

ウクライナ東部ルハンシク州のセベロドネツクについてロシアのショイグ国防相は7日、「住宅地域を完全に掌握した」と発表しました。
これに対して、ウクライナ軍の参謀本部は8日、「セベロドネツクへの猛攻撃をうまく食い止めた。戦闘は今も継続している」と抵抗する姿勢を示しました。
一方、ルハンシク州のガイダイ知事はSNSに投稿し「ロシア側は今月10日までにセベロドネツクを掌握することを目指し大きな戦力を投入している」として、この都市をめぐる戦闘がここ数日でいっそう激しくなる可能性に言及しました。

トルコ外相「ウクライナ交え会合する計画」

会談後、ロシアのラブロフ外相と共同で記者会見したチャウシュオール外相は穀物輸出について「最優先は、ロシアとウクライナからの穀物輸出だ。国連とトルコ、それにロシアとウクライナで会合する計画があり、それは実現可能だ」と述べ、ウクライナも交えて輸出の正常化に向けた協議を続けたい意向を示しました。

ロシア外相「港の機雷除去について議論」

ロシアのラブロフ外相とトルコのチャウシュオール外相は、会談後、共同で記者会見しました。

この中でラブロフ外相は「ウクライナの穀物に関する状況と、食糧危機とは何の関係もない」と述べ、欧米側がロシアに責任を押しつけていると批判しました。そのうえで、穀物輸出について「ロシアとトルコは、穀物の輸出のためにウクライナの港に設置されている機雷の除去について議論している」と述べ、穀物を輸出するにはウクライナ側が設置しているとされる機雷の除去が必要だと主張しました。

ウクライナ外務省「すべての関係国が参加して行われる必要ある」

ロシアとトルコの外相会談が行われるのを前に、ウクライナ外務省は7日、ホームページ上で声明を発表しました。

このなかで、「私たちは、ウクライナの農産物を輸出するための回廊を作ることができるよう国連や友好国とともに取り組んでいる。しかし、ロシアが、この回廊を使ってオデーサなどウクライナ南部を攻撃することは排除できず、船舶が航行できるような効果的な安全保障が必要だ」としています。

そして、ロシアによる港の封鎖を解除しようとするトルコの取り組みを評価するとしながらも「意思決定は、すべての関係国が参加して行われる必要があると強調する。ウクライナの利益を加味しないいかなる合意も拒否する」と述べ、ウクライナが参加しない形でロシアとトルコが交渉を進めようとしていることに警戒感を示しました。

ロシア トルコ外相会談 ウクライナからの穀物輸出で協議

ロシアのラブロフ外相は8日、訪問中のトルコで仲介役のチャウシュオール外相と会談しました。

会談では、停戦交渉をめぐる議論とともに、黒海での海上輸送についても協議されたとみられ、トルコ側は、▼黒海で、国連とともに海上輸送ルートを設置することや、▼安全のための監視態勢の構築に関与することを提案しています。ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、ロシアによる港の封鎖で2200万トンから2500万トンの穀物が輸出できず、封鎖が続いた場合、ことし秋までにあわせて7500万トンに上る穀物が輸出できなくなるおそれがあるとして、強い懸念を示しています。

これに対してロシア側は、▼海上輸送を妨害しているのはウクライナ側だとしているほか、▼食糧危機を解決するにはロシアに対する制裁の解除が必要だと主張しています。

自民 避難民受け入れへ一元的な相談窓口を設置を提言

ウクライナからの避難民の受け入れなどをめぐり、自民党は、ニーズに即した支援に着実につなげる体制を強化するため、官民一体で一元的な相談窓口を設置することなどを岸田総理大臣に提言しました。

自民党の外交部会のメンバーらは、8日、総理大臣官邸で、岸田総理大臣に提言を申し入れました。

提言では、ウクライナから日本に避難してきた人の増加に伴い、就労や教育の支援など、多様なニーズを行政がきめこまやかに把握し、民間の支援団体に着実につなげる体制の強化が喫緊の課題だとして、官民一体で一元的な相談窓口を設置するよう求めています。

また、ウクライナ以外の国から日本に避難してきている人もいることや、ウクライナと同様の事態が今後、起きる可能性にも留意しながら、中長期的に体制の構築を進める必要があるとしています。

このほか、日本の人権外交の推進策も盛り込まれ、監視などの人権侵害にあたる行為に使われるおそれのある先端技術などについて、輸出管理を行う国際的な仕組みを日本が主導してつくることも求めています。

出席者によりますと、岸田総理大臣は提言に対し「しっかり検討し、取り組んでいきたい」と応じたということです。

ロシア軍機か 北海道に向け直進飛行確認 防衛省

ロシア軍機とみられる航空機4機が、7日夜、日本海から北海道に向けて直進するように飛行してきたのを自衛隊が確認しました。領空侵犯はありませんでしたが、防衛省は、特異な行動として、飛行の目的を分析しています。

ゼレンスキー大統領「現在の10倍以上の軍事物資と人員が必要」

ゼレンスキー大統領は7日「過去24時間で、戦況に大きな変化はない」と攻防が続いているとしたうえで、ロシア側が東部ドンバス地域や南部ヘルソン州に増援部隊を送り込もうとしていると指摘しました。そして「われわれが部隊を前進させるには、少なくとも現在の10倍以上の軍事物資と人員が必要だ」と述べ、各国にさらなる支援を求めました。

次の国連総会議長にハンガリーの元国連大使

国連総会の次の議長にハンガリーの元国連大使が選出され、ウクライナ情勢をめぐり国連の役割が注目される中、国連総会のかじ取りを担うことになります。

国連総会の会期は、毎年9月から1年間で、アメリカ・ニューヨークの国連本部では7日、次の会期の議長にハンガリーの元国連大使、コロシ氏が選出されました。

コロシ氏は演説で「国連の信頼性は危機にひんしている。協力の精神が失われているという懸念の声も多い」と危機感を示したうえで、「われわれが力を合わせることで、前例のないグローバルな課題にも対処できる」と述べ、加盟各国に連帯と協力を呼びかけました。

NATO 加盟申請の北欧2国と大規模演習 バルト海で

NATO=北大西洋条約機構の加盟国は、先月、加盟を申請した北欧のスウェーデンとフィンランドとともに海軍の大規模な演習をバルト海で行っています。

演習は今月5日に始まり、アメリカやドイツ、トルコなどNATOの14の加盟国に加えて、先月加盟を申請したスウェーデンとフィンランドの海軍も参加しておよそ2週間にわたって行われます。

NATOはこの演習について、50年前から毎年行われておりロシアによるウクライナへの軍事侵攻と直接のかかわりはないとしていますが、演習開始前の4日にスウェーデンの首都ストックホルムで記者会見したアメリカ軍の制服組トップのミリー統合参謀本部議長は「大国が小規模な国々を侵略すれば代償を支払うことになると示すものだ」と強調しました。

ロシア軍 東部ルハンシク州の97%を掌握と主張

ロシアのショイグ国防相は7日、東部ルハンシク州でウクライナ側が拠点とするセベロドネツクについて「住宅地域は完全に掌握した。現在、工業地帯や近隣の集落で攻撃を続けている」と述べ、現時点で州全体の97%を掌握したと、主張しました。

これについてセベロドネツクのストリュク市長は7日、地元メディアの取材に対して「敵は次から次へと兵士を送り込んでいる」と苦戦を認めながらも、「われわれは敵の突撃を食い止めている」と述べ、抵抗を続ける姿勢を崩しませんでした。ウクライナ特設サイト 日ごとの戦況地図はこちらから

親ロシア派 ロシア軍の将軍1人の戦死認める

一方で、ロシアを後ろ盾とする親ロシア派の武装勢力の指導者プシリン氏は、7日、自身のSNSに、ロシア軍の将軍の遺影とともに「残念ながらわれわれは、彼とお別れすることになった」と、メッセージを投稿しました。

ウクライナでは、軍事侵攻の当初からロシア軍の将軍や指揮官が、前線で戦死するケースが相次ぎ、今も一部では苦戦を強いられているものとみられます。

メルケル前首相「正当化の余地全くない」ウクライナ侵攻を非難

去年12月に退任したドイツのメルケル前首相が7日、トークイベントに登場し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について「正当化の余地は全くない。国際法に違反する残忍な侵略だ」と述べ、強く非難しました。

そして8年前、クリミアを一方的に併合したロシアのプーチン大統領と対話を重ねながら侵攻を防げなかったことについて、「外交がうまくいかなかったことはたいへん悲しいことだ。今回のような事態を防ぐ安全保障の枠組みを作り出すことができなかった」と述べながらも「外交は失敗したとしても間違いではない」と述べ、みずからの対応は誤りではなかったとの認識を示しました。

停戦交渉の仲介役担ってきたトルコ ロシアと外相会談へ

外交面では、停戦交渉の仲介役を担ってきたトルコが、ロシアのラブロフ外相を首都アンカラに招き、8日にはチャウシュオール外相が会談に臨む予定です。

両外相は、ロシアの軍事侵攻で、ウクライナの港からの穀物輸出が滞っている問題についても話し合い、トルコ側は
▽黒海で、国連とともに海上輸送ルートを設置することや
▽安全のための監視態勢の構築を提案する見通しです。

また、これに先立ち、ロシアのショイグ国防相とトルコのアカル国防相は7日、電話会談し、トルコ国防省によりますと穀物やひまわり油といった農作物を、安全に輸送するための対策など食糧危機をめぐる問題についても意見が交わされたということです。

ロシアとトルコの外相会談によって、ウクライナからの穀物輸出の正常化に向けた糸口を見いだせるのか、国際社会の注目が集まっています。

北部チェルニヒウの砲弾落ちた教会 壁には穴が多数

ウクライナでは、東部のドネツク州にある歴史的に価値の高い修道院がロシア軍に破壊されるなど各地で文化財に被害が出ています。

このうちロシア軍におよそ1か月にわたって包囲された北部チェルニヒウでは激しい空爆や砲撃で多くの建物が被害を受けました。

18世紀に建てられた聖カテリーナ教会では砲弾が敷地内に落ち、直撃は免れましたが、教会の壁には破片などによる穴が数多く残っています。

この教会が最初に砲撃を受けたのは日曜の朝で多くの人が礼拝に訪れていましたが、全員無事だったということです。

聖カテリーナ教会の聖職者のペトロさんは「なぜ歴史的な教会を攻撃するのか理解できないし憤っている。再び攻撃されるかもしれないと不安だ。早く終わってほしい」と話していました。

“市民4253人死亡 272人は子ども” 国連人権高等弁務官事務所

国連人権高等弁務官事務所は、ロシアによる軍事侵攻が始まったことし2月24日から今月6日までに、ウクライナで少なくとも4253人の市民が死亡したと発表しました。
このうち272人は子どもだとしています。

地域別では、
▽東部のドネツク州とルハンシク州で2455人、
▽首都のあるキーウ州や東部ハルキウ州など、そのほかの地域で1798人の死亡が確認されているということです。

また、けがをした市民は5141人に上るとしています。

ただ、国連人権高等弁務官事務所は、激しい戦闘が続いた東部マリウポリなどでの死傷者については、まだ確認が取れていないとして、実際の死傷者の数はこれを大きく上回るという見方を示しています。