ロシアは欧州向けのガス輸出を削減し、欧州のエネルギー市場に対する締め付けを一層強めた。フランスのマクロン大統領はロシアとの対話の扉を開けておかなければならないと主張。同大統領とドイツのショルツ首相、イタリアのドラギ首相は16日にキーウを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談する計画だ。

独仏伊3カ国の首脳、16日にキーウ訪問-ゼレンスキー氏と会談へ

  ロシアが欧州にガスを供給する主要パイプライン「ノルドストリーム」では、ガス輸送量が約6割減少した。ドイツのハーベック副首相兼経済相は政治的な動機が理由だとロシアを非難し、欧州市場を「動揺させ、価格を押し上げる狙いだ」と指摘した。

  一方、中国の習近平国家主席はロシアのプーチン大統領と電話会談し、ロシアの安全保障上の懸念に対する中国の支持をあらためて表明した。

  ブリンケン米国務長官はウクライナの領土割譲について決定するのはゼレンスキー政権だとし、米国は同盟国およびパートナー国と共に、ロシア軍と戦うウクライナに必要な支援を届ける決意だと語った。バイデン大統領はゼレンスキー大統領と電話会談し、ウクライナの安全保障支援に米国は10億ドル(約1350億円)を追加提供すると約束した。

戦争によるロシア側の死者数は6月に合計4万人を超えた可能性があるとウクライナのゼレンスキー大統領Source: Bloomberg

  ウクライナ情勢を巡る最近の主な動きは以下の通り。

独仏伊首脳、16日に合同でキーウ訪問を計画-関係者

  ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領、イタリアのドラギ首相は16日にウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談する計画だ。事情に詳しい関係者が明らかにした。ルーマニアのヨハニス大統領も同行する見通しだという。

米国、ウクライナに10億ドル超の安全保障支援を提供へ-バイデン氏

  米国はウクライナの安全保障支援のため10億ドルを追加提供すると、バイデン大統領がゼレンスキー大統領に語った。発表文で明らかになった。この支援にはミサイル発射装置や海岸防衛用の兵器、弾薬、高度ロケットシステムなどが含まれるという。

米国がウクライナに10億ドルの追加軍事支援、対艦ミサイル発射装置も

トルコ、NATO巡る立場は変わらない-エルドアン大統領

  スウェーデンとフィンランドの北大西洋条約機構(NATO)加盟について、トルコの安全保障上の懸念が対処されない限り両国の加盟にトルコは反対を維持すると、エルドアン大統領が語った。今月にマドリードで開かれるNATO首脳会議までに加盟問題が進展する希望はほぼなくなった。

  エルドアン氏は議会で与党・公正発展党(AKP)の議員らに対し、「スウェーデンとフィンランドがテロとの戦いで明確で具体的、決定的な措置を講じるまで、トルコがNATO問題で姿勢を変えることは確実にない」と述べた。

ロシアの直近のガス供給削減、政治的な動機-独経済相

  ロシアの国営天然ガス企業ガスプロムがパイプライン「ノルドストリーム」経由で欧州に輸出するガスの量を削減すると決定したことについて、ドイツのハーベック副首相兼経済相は「政治的な動機」が理由だと非難した。

  ガスプロムは技術的な問題で輸送能力が40%落ち込んだとし、メンテナンスのため外国に送った主要ガスタービンの一つが制裁でカナダから動かせなくなっていると説明した。二つ目のタービンも制裁により修理に送れなくなっているという。ハーベック氏は供給に「直結する」影響を及ぼしているとされるメンテナンス作業は秋まで実施される予定ではなく、いずれにしても40%に影響が出ることはあり得ないとの見方を示した。

中国の習主席、プーチン大統領と電話会談

  中国の習近平国家主席はロシアのプーチン大統領と2月下旬のウクライナ侵攻以降で2回目となる電話会談を行い、ロシアの安全保障上の懸念に対する支持をあらためて表明した。中国国営中央テレビ(CCTV)が報じた。

中国の習主席がプーチン大統領と電話会談、ロシアの安全保障支持 (1)

岸田首相、NATO首脳会議に出席へ-日本の首相では初めて

  岸田文雄首相は今月下旬に開かれるNATO首脳会議に出席すると表明した。日本の首相の出席は初めて。ウクライナでの戦争におけるNATOの取り組みに支持を示す。

NATO加盟国、長期的なウクライナ支援パッケージで合意へ

  NATO加盟国は15、16両日にブリュッセルで開く国防担当相会議で、ウクライナに対する長期的な支援パッケージやNATO軍の新たなモデルについて合意する見通しだ。ストルテンベルグ事務総長が記者団に語った。

  このパッケージではウクライナ軍が旧ソ連製の装備から現代的な装備へと移行するのを長期的に後押しし、NATOの標準装備との相互運用性を高めるようにすると、同事務総長は説明した。

マクロン仏大統領:プーチン大統領との協議はある時点で必要に

  マクロン仏大統領は、重要な局面で「支持のシグナル」を送るため欧州連合(EU)とウクライナの新たな協議が必要だったと述べつつ、ロシアとの対話も引き続き開かれていなければならないと主張した。同大統領は西側諸国がロシアを「辱め」、平和的な解決を危うくすべきではないと発言し、物議を醸していた。

  マクロン氏はルーマニアの黒海沿岸の軍事基地を訪問した際に記者団に対し、「ある時点で、ゼレンスキー大統領はロシアと交渉しなければならず、われわれもその場に出席して安全保障の確約をする必要があるだろう。これが現実であり、実現させなければならない」と語った。同氏はウクライナを近く訪問すると報じられているが、訪問についてはコメントを控えた。

ロシアの石油収入、5月に急増-IEA

  ロシアの石油輸出は5月に減少したものの、石油輸出収入は約200億ドル(約2兆7000億円)に急増したと、国際エネルギー機関(IEA)が15日公表した月報で指摘した。世界的なエネルギー価格の上昇が寄与し、前月比では11%増。原油と石油製品の輸出によるロシアの収入はこれでウクライナ侵攻前の水準をほぼ回復したという。

領土割譲を決定するのはゼレンスキー政権-米国務長官

  ブリンケン米国務長官はPBSニュースアワーとのインタビューでウクライナの領土割譲について問われ、そうした決定は民主的に選ばれたゼレンスキー大統領を含むウクライナ政府が下すことになろうとし、「ウクライナの未来を決めるのはウクライナ国民だ」と述べた。

  同長官はその上で、米国は同盟国およびパートナー国と共に、ロシア軍と戦うウクライナに必要な支援を届ける決意だと語った。

中国、楽玉成筆頭外務次官をメディア部門に異動

  中国は最も知名度の高い外交当局者の一人で、ロシア専門家でもある楽玉成筆頭外務次官(59)を国家ラジオテレビ総局副局長に異動する人事を発表した。これにより楽氏は王毅外相(68)の後継争いから脱落した可能性が高い。

ロシア、米女子プロバスケのグライナー選手の勾留延長

  ロシアで拘束されていた米国女子プロバスケットボールのスターで五輪米国代表のブリトニー・グライナー選手の勾留が7月2日まで延長された。タス通信が報じた。同選手は大麻オイルの入った電子たばこカートリッジを所持していた容疑で逮捕された。

原題:Ukraine Latest: Zelenskiy Wants Faster Delivery of Advanced Arms(抜粋)