衆議院の小選挙区をめぐる、いわゆる1票の格差を是正するため、政府の審議会は「10増10減」など過去最多の全国140選挙区の見直しを求める区割り案を岸田総理大臣に勧告しました。政府は勧告を実施する法改正を秋の臨時国会で行う方針で、新たな区割りは次の衆議院選挙から適用される見通しです。
政府の「衆議院議員選挙区画定審議会」は16日、1票の格差を是正するため小選挙区の「10増10減」などを盛り込んだ区割り案を岸田総理大臣に勧告しました。
区割り案では5つの都と県で選挙区の数が増え、このうち東京では25から5つ増えて30になります。
また神奈川では2つ増えて20になるほか、埼玉・千葉・愛知では1つずつ増えます。
逆に宮城、和歌山、広島、山口など10の県ではいずれも1つ減ります。
また北海道や大阪など10の道府県では、小選挙区の数は変わらず線引きが変更されます。
こうした見直しによって区割りが変わるのは、合わせて25の都道府県、140選挙区にのぼり過去最多となりました。
岸田総理大臣は「勧告にもとづいて、できるだけ早く法制上の措置をとらなければならない」と述べました。
政府は秋の臨時国会で勧告を実施するための公職選挙法の改正案を提出し早期成立を図る方針で、新たな区割りは次の衆議院選挙から適用される見通しです。
自民党内では地方の選挙区が減ることへの抵抗感が根強く、選挙区が1つ減る和歌山が地元の二階元幹事長は「一度決められたことには従うべきだ」としたうえで「地方の声が国政に届きにくくなる点は、選挙制度のあり方について問題提起しなければならない」とするコメントを出しました。
野党側からも、今の制度の抜本的見直しの議論を求める声が出ていて、選挙制度の議論が行われる可能性もあります。
一方で選挙区の数が減る岸田総理大臣の地元広島や、安倍元総理大臣や林外務大臣らが選出されている山口などでは自民党内で選挙区調整が必要となり、今後、次の衆議院選挙に向けた動きが活発化することも予想されます。