[ワシントン 27日 ロイター] – 米連邦準備理事会(FRB)は26─27日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を75ベーシスポイント(bp)引き上げ、2.25─2.50%とした。

経済減速の兆候が見られるものの、40年ぶりの物価高に対応するため、「断続的な利上げ」は適切という認識を示した。

FRBは声明で「インフレは高止まりし、新型コロナのパンデミック(世界的大流行)に関連する需給不均衡、食品やエネルギー価格の上昇、より広範な物価上昇圧力」を反映し、全会一致での決定とした。

さらに、インフレリスクを引き続き注視すると言明した。パウエルFRB議長も会見でその点を強調し、インフレ率抑制は「不可欠」であり物価安定に失敗するという選択肢はない、と述べた。その上で、FRBはインフレが米国の家庭、中でも経済的に余裕のない人々に与える打撃を「痛感」しており、インフレが低下しているという「説得力のある証拠」が示されるまで手綱を緩めることはないとした。

一方で、雇用は「堅調」に推移しているものの「最近の消費と生産の指標は軟化している」と指摘し、3月以降に実施した積極的な利上げが効果を発揮し始めていることも示唆した。

FRBは今年に入って計225bpの利上げを実施。1980年代と同水準のインフレ脱却に向け、1980年代型の金融政策で対応している。

政策金利は現在、FRB当局者の多くが経済への影響は中立と考える水準にあり、事実上、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)対策として導入した超低金利による消費刺激策は終わりを告げた。

今回の声明では、FRBが次にどのような措置を取るかについて明確な指針はほとんど示されなかった。今後の経済指標がインフレ減速を示し始めるかどうかが大きく左右することになる。

この点についてパウエル議長は、現在は通常よりも「著しく」不確実性が増しており、当局はこれまでのように政策の水準と軌道に関する長期的ガイダンスを提供することができないと表明。政策の方向性について信頼できるガイダンスを提供できるのは、唯一「会合ごとに」だと述べた。

「次回の会合でも異例の大幅利上げが適切かも知れないが、それは今からその時までに得られるデータに左右される」とし、「われわれは引き続き会合ごとに意思決定を行い、我々の考えをできる限り明確に伝えていく」と述べた。

また議長は、失業率が半世紀ぶりの低水準にあり、賃金の伸びも雇用の増加も堅調であることを挙げ、米経済が現在リセッション(景気後退)期にあるとは考えていないとする一方、景気は軟化しており、景気後退を回避する道は狭まり続けているとした。当局者は、インフレ率を低下させるのに十分なスラック(需給の緩み)を生じさせるには、経済成長が潜在成長率を下回って推移する期間が必要だとみている。

プリンシパル・グローバル・インベスターズのチーフストラテジスト、シーマ・シャー氏は「今後、原油価格の下落でインフレがピークを脱し、インフレ期待が後退すれば、FRBは引き締めペースを緩める可能性がある。しかし、労働市場は依然として好調で、賃金の伸びは過度に高く、コアインフレ率の低下は遅々として進まない。FRBは引き締めを止めることはできず、ギアを大きくシフトさせることもできない」との見方を示した。

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