[東京 28日 ロイター] – 日銀の雨宮正佳副総裁は28日、岩手県盛岡市で記者会見し、金融緩和政策からの出口戦略について「全然考えていないということではない」と述べ、出口に差し掛かったときの金融政策手段の運用の仕方やコミュニケーション方法は常に検討していると明らかにした。7月28日 日銀の雨宮正佳副総裁は28日、岩手県盛岡市で記者会見し、金融緩和政策からの出口戦略について「全然考えていないということではない」と述べ、出口に差し掛かったときの金融政策手段の運用の仕方やコミュニケーション方法は常に検討していると明らかにした。写真は都内で6月17日撮影。(2022年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
ただ、経済・物価情勢によって出口戦略の具体的な進め方は「全く異なる」ため、具体的に道筋を示すことは適切ではないと話した。
出口戦略をめぐっては、高田創審議委員が25日の就任会見で「常に考えておくべき論点だ」と指摘した。雨宮副総裁は「出口戦略のやり方は常に考えておくことが必要だ」と述べた。
<米経済安定の中でのインフレ抑制、「日本経済にも重要」>
米連邦準備理事会(FRB)は27日にかけて開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の追加利上げを決定。インフレ抑制に向け、利上げ幅は不透明ながら今後も利上げの継続が見込まれる一方、市場では急ピッチの利上げによる米国経済への影響が懸念されている。
雨宮副総裁は、米国経済について「ソフトランディングが望ましいが、パウエルFRB議長自身がソフトランディングは非常に難しい課題だと言っている。私も相当難しいチャレンジだろうと思っている」と述べた。その上で、米国経済の安定を維持しながらFRBがインフレ抑制に成功するのは「日本経済に大変重要な条件」と指摘。FRBの適切なかじ取りに期待感を示した。
雨宮副総裁は、FRBの利上げは日銀の金融政策に「直接の影響はない」と述べたが、為替市場や資産市場への影響は慎重に注意深く点検していきたいとした。
午前の金融経済懇談会での挨拶で雨宮副総裁は、岩手県県南地域への工場誘致を通じた自動車や半導体関連の製造業の集積について触れ「このところのサプライチェーンの国内回帰につながる動きのようにも思われる」と述べた。
会見では、サプライチェーン見直しの背景として、中国のロックダウン(都市封鎖)を含めたコロナの動向、ロシアによるウクライナ侵攻に加えて「為替円安の動きも製造業の生産拠点の国内回帰の1つの要因になっている」と話した。
(和田崇彦)