北朝鮮、核抑止力動員の「準備整う」 金総書記が演説で米韓けん制

[ソウル 28日 ロイター] – 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記は、核戦争抑止力を動員する万全の態勢が整っており、米国とのいかなる軍事衝突にも対応する用意があると表明した。国営の朝鮮中央通信(KCNA)が28日伝えた。7

また、韓国の尹錫悦大統領が北朝鮮の安全保障と自衛権を脅かしていると初めて名指しで非難し、先制攻撃を試みれば厳しい報復を受け「全滅」することになると警告した。

朝鮮戦争の休戦協定締結から69年を迎えた27日の演説で述べたという。

金総書記は、自国の核戦争抑止力について「正確かつ迅速な使命遂行に最大能力を動員する万全の態勢が整っている」とし、「米国とのいかなる軍事衝突に対しても完全に準備が整っていることを改めて明確にする」と語った。

米との対立によって自衛力強化という「歴史的緊急任務」を果たす必要が生じており、核の脅威がもたらされたと主張した。

米韓両政府の当局者らは、北朝鮮が2017年以来初となる核実験の準備を整えたと分析している。

韓国の統一相は26日、休戦協定締結の記念日前後に核実験が行われる可能性があると述べたが、軍当局者は差し迫った兆候はないとした。

金総書記は演説で、米国は北朝鮮軍の定例活動を全て「挑発」や「脅威」と呼んで誤解を生み出す一方で、大規模合同軍事演習を実施して北朝鮮の安全保障を深刻に脅かす「二重行動」を見せており、この結果、「両国関係は対立状態の後戻りが難しい局面を迎えた」と主張した。

韓国の尹政権については「主戦論者」や「悪党」が対立的な軍事活動に執着しているとし、韓国による兵器開発や米核戦略資産の再配備に向けた動き、同盟国との軍事演習などを非難。北朝鮮に対する「極悪非道な対決政策」と「卑怯な裏切り行為」が朝鮮半島情勢を戦争寸前に追い込んでいると述べた。

韓国国防省報道官は、北朝鮮の脅威への対応力を高めるため、自国の防衛力や「核の傘」を含む米国の拡大抑止を引き続き強化すると述べた。