[東京 29日 ロイター] – 内閣府は29日、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)について、高成長を前提とした場合、2026年度に黒字化を達成するとの見通しを経済財政諮問会議に示した。1月の試算で示した26年度黒字化の予想を維持した。歳出改革を継続すれば、1年前倒しの25年度黒字化が視野に入るとの試算も維持した。

政府が6月に閣議決定した経済財政運営の指針「骨太方針」では、PBを25年度に黒字とする年次目標を明記しなかったが、今回示された「中長期の経済財政に関する試算」では、社会保障費などの歳出削減を継続した場合、同年度に2.8兆円の黒字になるとの見通しだ。 PBは、社会保障関係費や公共事業など毎年の歳出(除く国債費)と税収など歳入との差額で、財政健全化の目安となる。

歳出削減努力を考慮しない「成長実現ケース」では、今年1月時点で25年度は1.7兆円の赤字が残る見通しだったが、今回は税収上振れや歳出効率化などの改善要因と足元の経済下振れなどを踏まえ、0.5兆円の赤字と試算。1.2兆円ほど赤字が縮小する見込みだ。26年度には1.8兆円の黒字となる試算で、前回の0.2兆円から黒字幅が拡大する。

内閣府は年初と夏の年2回、10年程度の財政健全化の見通しなどを含む経済財政見通しを経済財政諮問会議に提示している。「成長実現ケース」は、実質2%・名目3%程度の成長を前提としている。このケースでは名目GDPが600兆円程度に達する時期は25年度頃とした。ただ、名目成長率が3%を超えたのは過去25年間で2015年度のみだ。

一方、中長期的に実質・名目成長率ともにゼロ%台半ば程度での推移を前提とする「ベースラインケース」の場合、PBは25年度に6.2兆円の赤字となり、31年度でも5.6兆円の赤字が残る試算だ。ベースラインケースは前回までは実質1%程度・名目1%台前半程度の成長を想定していたが、より現実に近づけるよう経済の前提を下方修正した。

成長実現ケースの場合、消費者物価(総合)の上昇率は23年度1.7%、24年度1.4%となる見通しだ。今年度は2.6%増を見込むが、再び2%程度に達するのは2026年度以降となる。ベースラインケースでは、23年度が1.7%、24年度以降は0.6%上昇と予測している。

(金子かおり)