[アンカラ 18日 ロイター] – トルコ中央銀行は18日の金融政策委員会で、政策金利を1%ポイント引き下げ、13%とした。インフレ率が80%近くに達する中での利下げは全く予想外で、金融市場に衝撃が走った。

中銀は昨年末にかけて5%ポイントの利下げを実施した後は、過去7カ月にわたり政策金利を14%に据え置いていた。今回の政策決定会合についてロイターが実施したエコノミスト調査では、14人が主要政策金利の1週間物レポレートが据え置かれると予想。1人が年内の利下げを予想していた。

中銀政策委員会は、先行指標で第3・四半期の景気失速が示されているため行動を起こす必要があったとし、「世界的な経済成長に対する不確実性が高まり、地政学的なリスクが増大する中、工業生産の成長と雇用の増加を維持するために、金融環境を支援的な状態に維持することが重要」とした。

その上で、新しい金利水準は「現在の見通しの下で適切」との見方を示した。

トルコ統計局が今月3日に発表した7月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比76.9%と、24年ぶりの高水準を更新。

中銀は、物価上昇の背景にはエネルギー価格上昇の影響が遅れて出ていることや、供給面での衝撃などがあると指摘。中銀や他の当局の措置でディスインフレが始まるとの見方を改めて示した。

エルドアン大統領は長らく低金利を提唱。実質金利が大幅なマイナス圏に陥り、国民の生活は圧迫されている。

アナリストは今回の利下げに落胆を表明。Abrdn(ロンドン)のファンドマネジャー、キエラン・カーティス氏は「全く言葉を失う。こうしたことは明らかに行なうべきでない」と述べた。

利下げを受け、トルコリラは1%を超えて下落。リラ相場は昨年、対ドルで44%下落。今年に入ってからは27%下落している。

トルコ中銀利下げ、市場に衝撃-インフレ率85%に上昇と予想でも<bloomberg日本語版>2022年8月18日 21:53 JST

Beril Akman

  • 1週間物レポ金利を13%に引き下げ、前月まで7カ月据え置き
  • トルコ・リラは対ドルで一時約1%下落-その後、下げ幅を縮小
An electronic board displays exchange rates information at a currency exchange bureau in Istanbul. Photographer: Erhan Demirtas/Bloomberg

トルコ中央銀行は18日、政策金利を引き下げた。トルコ・リラが最安値付近で取引され、インフレ率が24年ぶりの高水準となっている同国の利下げは予想外で、市場に衝撃が走った。リラは急落した。

  金融政策委員会は1週間物レポ金利を13%と、これまでの14%から引き下げた。政策金利は前月まで7カ月据え置かれていた。ブルームバーグがまとめたエコノミスト21人の調査では全員が据え置きを予想していた。リラは対ドルで一時約1%下落。その後、下げ幅を縮小した。

  金融政策委は発表文で、製造業が減速した場合に備えての対応であり、金融緩和サイクルに突入したわけではないと示唆、「政策金利は現在の見通しでは最適な水準」と説明した。

  さらに「世界経済成長を巡る不透明感や地政学リスクの高まりが見られる中で、工業生産の成長の勢いや雇用の前向きなトレンドが保たれるよう、金融環境が引き続きそれを支えることが重要だ」との考えを述べた。

  エルドアン大統領は今年6月、利下げの継続を表明。選挙を控え、1年を経ずして利下げを再開した背景には大統領の意向をくむ当局の姿勢が反映されている。トルコ中銀は先月下旬、今年のインフレ率見通しを約18ポイント引き上げていた。

トルコ中銀、年末のインフレ率予測を60.4%に引き上げ-従来42.8%

  カブジュオール中銀総裁は、ロシアのウクライナ侵攻を要因とする商品相場の世界的な上昇がインフレの原因だと非難。同中銀は現在、今秋にはインフレ率が約85%に上昇すると予想している。年末には60%付近に低下するとみているものの、それでも中銀インフレ率目標の12倍だ。

原題:Turkey Delivers Shock Rate Cut and Signals Policy Pause Is Ahead
Turkey Delivers Shock Rate Cut as Inflation Set to Peak Over 80%