[ウィルミントン(米デラウェア州) 29日 ロイター] – 米ツイッター買収を巡る米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)との裁判で、ツイッターを内部告発した元セキュリティー責任者に証人としての召喚状が出されたことが29日に提出された裁判資料で分かった。

召喚はマスク氏側が要求。元セキュリティー責任者で著名ハッカーでもあるピーター・ザトコ氏に対し、主にツイッターが「スパム」と呼ばれる偽アカウントの数をどのように集計しているかについて情報を求めた。マスク氏はツイッターが開示しているスパムアカウントや「ボット」と呼ばれる実態に乏しいアカウントの数が正確ではないとして買収契約を撤回、互いに相手を訴える訴訟合戦に発展した。

マスク氏はまた、ツイッターがセキュリティーの脆弱性や「違法行為への関与」などを隠そうとしたことを示す資料や通信記録の提出も求めた。

ツイッターの広報担当者はコメントを控えた。

ハッカー名「マッジ」で知られるザトコ氏は先週公表された告発状で、ツイッターが堅固なセキュリティー対策を行っているという事実とは異なる主張をしていたと訴えた。

米テュレーン大学法科大学院のアン・リプトン教授は、マスク氏がザトコ氏から得る情報は新たにツイッターの詐欺行為を主張する根拠になり得るが、審理日程に余裕がなく、マスク氏が買収契約を結ぶ前にデューデリジェンス(資産査定)を行わなかったことを踏まえると、新たな申し立てが認められるかは不明だと指摘した。

ツイッター側の弁護士は先週の口頭弁論で、同社が公表する偽アカウント数は推定値で拘束力を持たないと常に述べてきたため、マスク氏が偽アカウントを主な理由に買収契約を破棄するのは「法的妥当性がない」と主張した。