[ソウル 10日 ロイター] – 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は10日、9月25日─10月9日に実施したミサイルの発射は戦術核運用部隊の訓練だったと伝えた。金正恩総書記の監督・指導の下で、米韓海軍が実施した大規模な演習への警告として、戦術核兵器を韓国に浴びせることを想定した訓練だったという。また4日に日本の上空を通過した弾道ミサイルは新型だとした。 

KCNAによると、金総書記は北朝鮮の軍事作戦を強化すると明言、敵対する者と対話する必要はないとした。

朝鮮労働党は、空母や原子力潜水艦を含む米韓の海軍の大規模な動員に対する避けられない対応として訓練の実施を決定。韓国の軍司令部を標的としたり、主要港を攻撃、空港を無力化することを想定したさまざまなテストを実施し「われわれの核戦力の有効性と実践的な戦闘能力は、いつでもどこからでも標的を攻撃し破壊する準備が完全に整っていることを実証した」と伝えた。

報道を受け、韓国大統領府は「朝鮮半島と北東アジアの安全保障問題の深刻さを正確に把握し適切な準備をすることが重要」と述べた。

<4日の中距離弾道ミサイルは新型>

北朝鮮は異例の頻度でミサイル発射を繰り返しており、4日には5年ぶりに日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射した。KCNAは4日の中距離弾道ミサイル(IRBM)は、より強力で明確な警告を敵対国に与えるために新たに開発されたミサイルだと述べた。

米カーネギー国際平和財団のアンキット・パンダ上級研究員は、北朝鮮はこれまで戦術核能力を備えたミサイルは一つのみとしていたが、今回の報道は、新旧多くのシステムが戦術核の役割を担うことを明確にしたと指摘する。

専門家は、日本上空を通過したIRBMについて、KCNAが公表した写真からこれまで見たことのないIRBMと確認した。

パンダ氏は「試験したことのないミサイルを日本の上空を通過させるというのは、非常に珍しいことで、エンジンに相当な自信があることを示す」と述べた。

公表された写真には、短距離弾道ミサイル(SRBM)のKN─25、KN─23などが写っており、潜水艦からの発射を想定したKN─23の試験の様子もあった。このミサイルは昨年、海上で試射されたが、KCNAは「貯水池の下の発射場」と呼ぶものからの発射を想定したテストを実施したとしている。

北朝鮮は今年、列車を含むさまざまな場所や発射台からミサイルの発射実験を実施している。