今朝目に止まったニュースはこれ。バイデン大統領が昨日語った言葉だ。ロイターが伝えたものだが、正確には「プーチン大統領は極めて困難な状況に置かれている。ウクライナ国民を残虐に扱うことで脅しに屈服させようとすること以外に、プーチン氏には手段が残されていないようにみえる」と記者団を前に語った。これを「困難な状況にある」と見るのは若干違和感がある。個人的には「万作尽きつつある」といった方がいいように思う。ニュースを見る限りプーチンの言動は支離滅裂になりはじめている。クリミア大橋での爆発・炎上を機にウクライナに対して、インフラを対象に激しいミサイル攻撃に打って出た。日付を追って整理すれば橋の炎上が8日、翌日には犯人はウクライナ軍と断定、10日にはミサイル攻撃に乗り出した。インフラを対象としたミサイル攻撃は、クリミア大橋炎上に対する報復と明言した。
12日〜13日にかけてアジア相互信頼醸成措置会議(CICA)なるものが開かれた。その会議終了後にカザフスタンで行なった記者会見でプーチンは、①ロシアにはウクライナを破滅させる意図はない②ウクライナに対する新たな「大規模攻撃」の必要はもはやない③予備役の部分動員は向こう2週間で終了させ、追加的な動員はしないーの3点を強調した。だが、その後もミサイル攻撃は終了する気配がない。プーチンの言うことと、やることがみごとに一致しなくなっている。側から見ているとそう見える。この一事を見ても大統領の発言が軍の末端まで届かなくなっている。そんな邪推をしたくなるのだ。万策尽きたと思ったのはきのう。ロシア大統領府が併合4州は「ロシアの核兵器の保護下にある」との声明を発表したことだ。ウクライ軍による併合4州の奪還が続いている。言葉による“脅し”が虚しく響く。
まだある。プーチンは19日オンラインで安全保障会議を開き、併合4州に20日から戒厳令を導入すると表明した。わざわざ会議を一般に公開した。そうすることでロシアならびにプーチンの威力が増すと考えたのだろうか。「ソ連邦崩壊後、ロシアが支配を主張する地域で戒厳令が導入されるのは初めて」(東京新聞)とメディアは伝えている。そこまでやっても思い通りにならない「特別軍事作戦」。CICAの会議の後に開催されたロシアと中央アジア5カ国の首脳会議では、最古参であるタジキスタンのラフモン大統領から「旧ソ連時代のように中央アジア諸国を扱わないでほしい」と釘を刺される始末。最盛期には15カ国が参加したこの首脳会議、今や参加国は5カ国に過ぎない。プーチンの独りよがりな“ソ連邦復活の思い”は、完全に万策が尽きつつあるように見える。
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