[24日 ロイター] – 24日の米国株式市場で、米市場に上場している中国企業の株価が急落した。中国の習近平総書記率いる新たな指導部が民間部門の成長を犠牲にしイデオロギー的政策を優先するとの懸念が広がった。

S&P総合500種は小幅高となる中、電子商取引大手のアリババ・グループ・ホールディングやJDドットコム(京東商城) のほか、検索エンジン大手の百度(バイドゥ)が14─17%安。iシェアーズMSCI中国ETF(上場投資信託)は10%急落し、1日の下げ幅として過去最大となった。

チェリー・レーン・インベストメンツのパートナー、リック・メックラー氏は「懸念されるのは、中国政府が習近平氏の下でより社会主義的な経済モデルへの移行を続けており、中国企業は収益性よりも社会目標をこれまで以上に重視する必要があるかも知れないということだ」と指摘。権力を強固にした習近平氏による企業利益の国有化に対して、反対の声はほとんど出ないだろうとした。

中国に対する投資家への懸念を背景に、香港株は6.4%下げ13年ぶりの安値。中国CSI300指数も2.9%下げた。

中国共産党は23日に開いた第20期中央委員会第1回総会(1中総会)で習近平総書記(国家主席、69)の異例の3期目続投を正式決定した。最高指導部の政治局常務委員会は7人体制を維持した。

TDセキュリティーズのストラテジストは「政策面で新たな発表はなかったが、景気刺激策推進派と見られる高官や改革派が去り、習近平氏の側近に置き換えられたことは、『共通の繁栄』が高官らの最優先課題であることを示唆している」と述べた。

音楽配信のテンセント・ミュージック・エンターテイメント・グループ、ネット通販大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)、動画配信大手ビリビリは16─33%安。

新興電気自動車(EV)メーカーの蔚来汽車(NIO)、小鵬汽車(シャオペン)、理想汽車は23─30%下落した。

米電気自動車大手テスラが今年始めて中国でのセダン「モデル3」と多目的スポーツ車(SUV)「モデルY」の価格をそれぞれ引き下げ、中国の自動車需要が軟化している兆しが示されたこともEV各社の重しとなった。

また、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、中国国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)プレミアムが2016年6月以来の水準に上昇。5年物のプレミアムは21日終値から11ベーシスポイント(bp)上昇し128bpを付けた。年初は40bpだった。