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▽ECB、連続0.75%利上げ TLTRO条件変更<ロイター日本語版>2022年10月27日9:45 午後

[フランクフルト 27日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は27日の理事会で政策金利の0.75%ポイント引き上げを決定した。インフレ率を目標水準に回帰させるために追加利上げの見通しを示した。

理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言は以下の通り。

<長期資金供給オペ(TLTRO)を巡る変更が銀行による訴訟につながる可能性について>

理事会の全ての決定と同様に、決定に伴うリスクや副作用を評価しなければならない。訴訟リスクを十分に考慮した上で、政策の伝達を加速させるための最善の金融政策決定だと確信している。

<現実化しなかった想定>

9月に示された下向きシナリオを見ると、当時の想定の多くが具現化しなかった。

<下振れの展開>

ベースラインシナリオに沿っているのか。答えはノーだ。金融政策声明のリスク評価部分で示した通り、不確実性はあるが、明らかに下振れの展開があった。こうしたリスクが12月のベースラインで具現化すれば、取り込んでいく。

<あと何回の利上げが必要か>

ECBが到達を目指す金利水準は、中期的に2%のインフレ目標を達成できる水準だ。これは、必ずしも金融政策の正常化が完了したと見なされる水準ではない。これを上回らなくてなならない可能性もある。

このため、数回の会合が必要になるかもしれない。何回になるか、会合ごとに決めていく。われわれは道筋も、目的地も承知している。数値のように明確なものではない。

今回10月の理事会でさえ、成長率やインフレ率の見通しといった予測を立てるのに役立つデータが出揃ったわけではなかった。12月の理事会にはデータが出揃い、これらの要素を考慮する。

<TLTROの変更>

11月23日を見据え、誰もが調整し、準備する時間を確保するために行った。11月22日までは特別金利が適用されるが、それ以降は預金ファシリティ金利(DFR)に変更される。銀行が希望すれば返済できるよう、3つの窓口を追加的に設置する。

<資産買い入れプログラム(APP)ポートフォリオの縮小>

これまでに多くの決定を行っているため、今回の理事会では意図的に実質的な討議は行わなかった。ただ、12月の理事会で討議を進め、APPポートフォリオの縮小を巡る主要な減速を決定することで合意した。

<将来的な利上げ>

われわれは追加利上げが進行中であることを認識している。ただ、どのようなペースで、どの水準までかは言えない。

<追加利上げ>

われわれは今後、さらに利上げする予定だ。つまり、正常化プロセスは続いている。また、もちろんある時点で、われわれが掲げる中期的な2%の(物価)目標を達成するための金利を特定しなければならない。

<理事会ごと>

金融政策の正常化は完了したのかとの問いに対する答えはノーだ。まだカバーすべき領域がある。われわれが今、繰り返し述べているのは、われわれが持っているデータに基づいて、将来の利上げの道筋とペースを決めるということだ。理事会ごとにそうするつもりだ。

<フォワードガイダンス>

そのため、われわれは非常に意図的にフォワードガイダンスに背を向けている。至る所に存在するかなり大きな不確実性の水準を考慮すると、フォワードガイダンスは現在の状況下では役に立たない。

<将来の利上げについて>

われわれの目的地は明確であり、正確なペースは理事会ごとに決定される。

<インフレ上昇のリスク>

インフレ見通しに対するリスクは主に上方だ。

<基調的なインフレ>

基調的なインフレの指標は高水準で推移している。

<賃金の上昇>

堅調な労働市場は、インフレ率の上昇に伴う賃金のキャッチアップと同様に賃金の上昇を支える可能性が高い。

<継続的な監視>

賃金データと最近の賃金協定は、賃金の伸びが勢いを増していることを示している。長期的なインフレ期待を示すほとんどの指標は現在2%前後で推移しているが、一部の指標でさらに市場水準を上回る改定があったことから、継続的な監視が必要だ。

<成長に対する下方リスク>

今後入手されるデータは、経済成長の見通しに対するリスクが特に短期的には明らかに下方であることを確認する。

<インフレに対するユーロの影響>

ユーロ安はインフレ圧力の高まりに拍車をかけている。

<失業率上昇の可能性>

第3・四半期の労働市場は引き続き好調で、8月の失業率は6.6%と歴史的に低い水準にとどまった。短期的な指標では第3・四半期も雇用が創出されたことを示唆しているが、経済の弱体化により、将来的に失業率が幾分上昇する可能性がある。

<信頼感の急速な低下>

高インフレが引き続き消費と生産を減退させている。ガス供給の深刻な混乱が状況をさらに悪化させ、消費者および企業の信頼感がともに急速に低下し、経済の重しになっている。

<サービス需要の鈍化>

サービス需要は、パンデミック(世界的大流行)関連の規制で最も影響を受けた部門が再開した前四半期に好調だったが、その後は鈍化している。製造業の新規受注に関する調査ベースの指標は低下している。

<著しい減速>

ユーロ圏の経済活動は今年第3・四半期に大きく減速した可能性が高く、年内と来年初にはさらに弱まることが予想される。