- 26日時点で6309億円と、通年では12年の6397億円を下回って推移
- 日本株のガバナンス機能不全の解消につながる-野村AM・石黒氏
日本銀行の上場投資信託(ETF)買い入れが細った。10年12月から実施が始まった政策を翌年以降の年間で見ると、22年の実施規模は過去最低ペースで推移している。買い入れ方針の弾力化に日本株の相対的な底堅さが重なり実施回数が減ったのが背景だ。
日銀が12月27日までに年間で9回実施した購入累計額は6309億円。30日まで新たな実施が見送られれば、11年以降でもっとも少ない12年の6397億円を下回る。日銀が買い入れ方針を弾力化した21年の14回(年間購入額は8734億円)から一段と縮小している。
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日銀のETF買い入れは開始翌年の11年の総額が8003億円。買い入れ方針の強化とともに増え、新型コロナウイルスの感染拡大で株式相場が急落した20年には過去最高の7兆1366億円に膨らんでいた。21年は政策変更に加えて相場も回復し、買い入れ回数は減少。22年は外国為替の円安を支えにTOPIXが海外の主要指数に比べて相対的に下げが小さく、買い入れのタイミングは減った。
野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジストは、市場介入を強め過ぎていた日銀の「買い入れ縮小はプラスに評価している」と述べた。株式需給を支えるという効果がある一方で、「経営に問題があっても株価が下がらないことでコーポレート・ガバナンスの機能不全が起こる負の側面もあった」との見方も示した。