性犯罪をめぐる発言や性的マイノリティーの人たちをめぐる差別的な表現が批判を受けた杉田水脈総務政務官は「内閣の一員として迷惑をかけたくない」として、政務官の辞表を松本総務大臣に提出しました。

杉田水脈総務政務官は、過去に月刊誌の論文で「LGBTの人たちは『生産性』がない」と記したほか、みずからのブログに国連の会議に参加した時のことについて「チマチョゴリやアイヌの民族衣装のコスプレおばさんまで登場」などと掲載し、先の国会で「配慮を欠いた表現だった」と謝罪し撤回しました。

さらに、杉田政務官の、性犯罪や女性差別、それに待機児童をめぐる発言などに対しても批判が相次ぎ、野党側は通常国会でも追及する姿勢を見せていました。

こうした中、杉田政務官は「内閣の一員として迷惑をかけたくない」として、政務官の辞表を松本総務大臣に提出しました。

松本大臣は記者団に対し「与党の一員であり、政治家であるということを総合的に判断しての決断であり重く受け止め受理した」と述べました。

杉田氏は、衆議院比例代表中国ブロック選出の55歳。

平成24年の衆議院選挙に当時の日本維新の会から立候補し、比例代表近畿ブロックで初当選しました。

その後、次世代の党を経て自民党に入り、比例代表中国ブロックで当選を重ね、現在3期目です。

ことし8月の内閣改造で総務政務官に就任していました。

政府は、杉田氏の後任の総務政務官に、自民党の長谷川淳二 衆議院議員をあてる人事を内定しました。

杉田政務官「総合的に判断して辞表を提出」

辞表を提出した、杉田水脈・総務政務官は記者団に対し「先の国会で私の過去の発言などに厳しい指摘があり、一部は取り消したが、真意がなかなか理解されないのではないかということもあった。信念を貫きたいと思う一方、内閣の一員として迷惑をかけるわけにはいかないという思いもあり、総合的に判断して年末の節目に辞表を提出した」と述べました。

その上で「発言を聞いて応援してくれる支援者もたくさんいる。私を支援してくれる方々がいっぱいいるので、その方々の代弁者として、しっかり政治家として頑張っていきたい」と述べました。

岸田首相「職務を果たす能力判断し人事行った」

岸田総理大臣は記者団に対し「行政の管理や統計などに関する職務を果たす能力があるかを判断して人事を行った。内閣の一員になる前や他党にいたときの発言は政治家の責任でしっかりと説明責任を果たすとともに、内閣の一員となった以上は政府方針に従って職務を行ってもらう旨、申し上げてきた」と強調しました。

そのうえで「先ほど杉田政務官からは『もとより差別意識はなく、説明を尽くしたが、結果として国会審議に迷惑をかけることになった過去の言動について問題があると判断したものは撤回することとした。自らの信念に基づき撤回できないものもあるが、行政に迷惑をかけることはできないため、辞任したい』という意向が示された」と述べました。