Richard Henderson

  • 利回り押し上げ図る一部投資家の攻勢が強まる可能性-日興アセット
  • 次の総裁、市場が抱く畏怖の念が薄れないよう期待するかもしれない

日本銀行の次期総裁候補として挙がっている誰であれ、市場における権威は現職の黒田東彦氏ほどではない。このため、総裁交代後は利回りを押し上げようとする一部投資家の攻勢が強まるのではないかと、日興アセットマネジメントのチーフグローバル市場ストラテジスト、ジョン・ベイル氏が指摘した。

  次期総裁候補は「いずれも、黒田氏ほど断固たるハト派では恐らくない。同じ哲学を持っているかもしれないが、途方もない圧力の下で超緩和政策を続けていく上で黒田氏ほどの重みがない」とベイル氏は分析した。

  ブルームバーグが最近行ったエコノミスト調査では、黒田氏の後任候補として雨宮正佳副総裁や中曽宏前副総裁、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)経営委員長の山口広秀氏、浅川雅嗣アジア開発銀行(ADB)総裁、若田部昌澄副総裁らの名が挙がった。

  4月に任期満了となる黒田氏は、市場ににらみを利かせることができるところを繰り返し示してきた。世界の他の中央銀行と逆行することを恐れず大胆な政策変更で市場を驚かせることも辞さなかった。

  18日も一部のトレーダーが利回り押し上げで日銀に引き締めを迫る中で、政策を現状維持し10年物国債の利回りを大きく低下させた。

  「教訓を学ばされたトレーダーもいただろう」とベイル氏は述べた。

  インフレがピークに達しつつあるならば、次期総裁が黒田氏の政策を巻き戻すことを急がない理由があるとベイル氏は説明。次の総裁は市場が抱く畏怖の念がすぐに薄れないことを期待しなければならないだろうと語った。

原題:Bond Bullies May Find BOJ a Softer Target After Kuroda Leaves(抜粋)