松野博一官房長官は23日午前の記者会見で、北方領土周辺水域での日本漁船の安全操業を定めた日本とロシア間の漁業協定に関し、ロシア側から現時点で今年の操業条件を決める政府間交渉に応じない方針を伝えられたと明らかにした。ロシアのウクライナ侵攻に伴う制裁を巡る日露関係の悪化が要因とみられる。松野氏は「受け入れられない。ロシア側が一日も早く政府間協議に応じ、今年の可能な限り早いタイミングで操業を実施できるよう強く求めていく」と強調した。
この取り決めは「安全操業協定」と呼ばれ、北方領土の主権問題を棚上げする形で平成10(1998)年に結ばれた。ロシア側に協力金を払って、北方四島周辺のロシアが主張する領海でホッケ漁やタコ漁などを行う仕組みで、毎年、操業条件などについて協議している。
令和5年の操業に関しては、4年中に交渉入りできないまま初めて越年。松野氏によると、19日にロシア外務省から在ロシア日本大使館に対し、政府間交渉には入れないとの見解を伝えられた。