[ベルファスト/ロンドン 28日 ロイター] – 英領北アイルランドの物流規制を巡る問題で欧州連合(EU)と合意した英国のスナク首相は28日、早速北アイルランド入りした後、議会に戻って与党保守党議員らと会談し、今回の合意の成果を誇示するとともに、国民の支持を得られるとの自信を表明した。

スナク氏は合意内容について、英国という連合を強化し、ソーセージからサンドウィッチまで全ての輸入品に影響を与えてきた規制が撤廃され、北アイルランド議会はブリュッセルのEU本部が適用する諸規制に対する発言力が大きくなると主張した。

さらにスナク氏は、北アイルランドのさまざまなコミュニティーに合意内容を詳しく説明したい考えも示した。

この合意が無事実現するかどうかは、北アイルランド親英派の最大政党である民主統一党(DUP)の姿勢に左右される部分が大きい。つまりスナク氏がEUから取り付けた合意にDUPが納得し、1998年の和平合意の根幹をなす権力分有型統治の枠組みへの参加拒否方針を転換するのかどうかだ。英各紙も、EUに譲歩させたスナク氏の働きを称賛しつつ、北アイルランドで権力分有型の統治が再開されて初めて本当の成功だとも強調している。

DUPのドナルドソン党首は、合意内容を一見した限り、北アイルランド議会は望まないEUの規制を拒む権利を獲得しており、主権を巡る重大な懸念をある程度和らげているとの見方を示した。ただドナルドソン氏は、DUPが結論を出すまでには時間がかかるとくぎも刺した。

英保守党内では、ブレグジットの強硬推進派でつくる「欧州研究グループ」が法律専門家とともに合意内容を詳細に検討し、評価を下す予定だ。

スナク氏は与党議員との会談では、国民はブレグジット(英のEU離脱)に関する論争にうんざりしており、今回の合意をきっと支持するはずで、それができなければ有権者の信頼を失う恐れがあると訴えた。複数の会談出席者が明かした。

ベーカー北アイルランド担当相もこの会談後、保守党はこれが英国がEUから引き出せる最大限の合意だと認識しており、所属議員の幅広い賛成を得られるだろうと述べた。