[ワシントン 31日 ロイター] – 米商務省が31日発表した2月の個人消費支出(PCE)価格指数は伸びが鈍化した。ただ、なお高水準で推移しており、米連邦準備理事会(FRB)が年内にあと1回追加利上げを実施する裏付けになる可能性がある。一方、個人消費支出は小幅な増加にとどまった。 

PCE価格指数は前月比0.3%上昇、前年比5.0%上昇で1月(前月比0.6%上昇、前年比5.3%上昇)から減速した。前年比の伸びは2021年9月以降で最小だった。

エネルギー価格が0.4%下落した一方、食料品が0.2%上昇した。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前月比0.3%上昇、前年比4.6%上昇と伸びが鈍化。1月は前月比0.5%上昇、前年比4.7%上昇だった。

エコノミストの計算によると、FRB当局者が注視している住宅を除くコアサービスの価格は前月比0.2%上昇。1月は0.5%上昇だった。前年同月比では4.6%上昇だった。

BMOキャピタル・マーケッツ(トロント)のシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は「銀行を巡るストレスが緩和され続ければ5月にも0.25%ポイントの利上げがあり得るだろう」と述べた。

個人消費支出は前月比0.2%増加。エコノミストの予想は0.3%増加だった。

1月分は前月比1.8%増から同2.0%増に上方改定され、2021年3月以降で最大となった。

第1・四半期の国内総生産(GDP)成長率は予想を上回りそうだが、年央には消費と経済がやや後退する可能性もまだある」と

2月の消費支出は、財・サービスともに増加。住宅費、光熱費、医療費が増加した一方、外食費や宿泊費が減少。サービス支出は0.2%増加した。1月は1.2%増だった。

耐久財への支出は自動車購入の急減を受けて1.4%減。非耐久財の支出はガソリン価格の上昇を反映し0.9%増となった。医療品や食料・飲料への支出も増加した。

インフレ調整後の個人消費0.1%減。1月は1.5%増だった。

FWDBONDSのチーフエコノミスト、クリストファー・ラプキー氏は「足元の経済は好調に見えるが、銀行が与信を縮小させる可能性があり、見通しはまだ不透明だ」とした。

個人所得は0.3%増。賃金上昇率は1月の0.9%上昇から0.3%上昇に鈍化した。貯蓄率は4.6%と1月の4.4%から上昇した。

FHNファイナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏は「信用収縮は決して良いことではないが、経済が3%のペースで成長しているときの信用収縮は、経済が失速寸前のときよりもはるかに脅威が少ない」と指摘。「力強い成長期待に加え、5月の会合まで時間があることから、政策の焦点はインフレに戻る」と述べた。

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