- インフレとの闘い継続とブラード総裁、世界経済成長30年ぶりの弱さ
- ドル円は年内120円へ、米決算コロナ禍後の最悪に、欧州に労働法の壁
預金流出が続いています。インベストメント・カンパニー・インスティチュートによると、5日までの4週間に約3500億ドル(約46兆円)がマネーマーケット・ファンド(MMF)に流入。総資産額は約5兆2500億ドルに膨らみ、既に新型コロナ禍のピークを上回っています。政策金利の変動に敏感なMMFでは4%を超える金利を提示しているものもあり、0.5%に満たない銀行預金との差は歴然です。安全性がより高いガバメントMMFを中心に資金逃避は続くとみられます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
闘い継続
米セントルイス連銀のブラード総裁は金融環境の悪化に対し当局が取った措置は奏功していると述べ、高インフレと闘うための利上げは続けていくべきだとの認識を示した。総裁は「金融環境に見られたストレスは、少なくとも差し当たり和らいだようだ」と指摘。「従ってインフレとの闘いを続け、ディスインフレの軌道に乗せる取り組みをする良い機会だ」と述べた。最近の銀行不安に起因する信用状況の引き締まりについては、米経済をリセッション(景気後退)に追い込むほどの規模ではないと述べ、ローン需要がなおも強いことを指摘した。
30年ぶりの弱さ
国際通貨基金(IMF)は6日、向こう5年間の世界経済成長見通しは約30年ぶりの弱さだと警告した。地政学的な緊張がもたらす経済的な分断を回避し、生産性を向上させる措置を講じるよう各国に促した。ゲオルギエワ専務理事によれば、IMFは今後5年間の経済成長率を約3%と予想。金利上昇が影響するという。中期成長予想としては1990年以来の低さで、過去20年間の5年平均実績である3.8%を下回る。
年内120円
ドルの下落はさらに一段と進む余地があると、イタリアの銀行MPSキャピタル・サービシズ・バンカ・ペル・レ・インプレゼはみている。ブルームバーグの最新の主要為替予想ランキングで首位となった同行のチーフストラテジスト、ルカ・マヌチ氏は、ドルが7-12月に他の通貨に対して最大5%値下がりする可能性があると予想。米国がリセッションに陥るとの見通しに基づくもので、リセッションは米金融当局の積極的なインフレ対応や最近の銀行混乱のリスク継続によって誘発される可能性が高いという。日本銀行がいずれイールドカーブコントロール政策を緩和するのに伴い、ドルは対円でも下落する見通しだとし、年末までに1ドル=120円になると予想した。
パンデミック並み
近く始まる米国の決算シーズンは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)以降で最悪となる見込みだと、ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらが予想した。同社のストラテジストによれば、S&P500種株価指数構成企業の1株当たり利益は1-3月(第1四半期)に前年同期比7%減少すると見通しで、これは2020年7-9月(第3四半期)以来の大幅減少だという。投資家は、利益率見通しや人工知能(AI)への言及、現金使用減少の証拠、中国経済再開による好影響の兆候の4つを注目していると指摘した。
労働法の壁
米大手テクノロジー企業は、歴史的な大規模レイオフ計画を発表したが、欧州で実際に人員を削減することの難しさに直面している。労働者保護の観点から、一部の国では労働者の利益団体と事前交渉を行わずに解雇することが事実上不可能だからだ。フランスでは、グーグルの親会社であるアルファベットが希望退職を通じた人員削減を交渉中だ。同社は十分な退職金パッケージを支給し、退職を促したいと考えていると、事情に詳しい複数の関係者が非公開情報であることを理由に匿名を条件に明らかにした。グーグルの広報担当者は、「法的要件は各地で異なり、内容も複雑で時間がかかる」と述べた。
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