7日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムト近郊で、榴弾(りゅうだん)砲を撃つウクライナ兵(EPA時事)
7日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムト近郊で、榴弾(りゅうだん)砲を撃つウクライナ兵(EPA時事)

 【ワシントン時事】英国防省は7日に公表したウクライナの戦況分析で、ロシア軍がウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムト周辺で「ここ数日、勢いを取り戻している」と指摘した。ウクライナ軍参謀本部も「敵はバフムトの完全支配を目指し、攻勢を続けている」と述べた。

【ウクライナ侵攻1年】戦況地図と記事で振り返る 365日間の攻防

 バフムトを巡っては激しい攻防戦が数カ月にわたり続いているが、ロシア軍の攻勢は3月下旬以降、停滞気味だった。春を迎え、両軍による戦闘が激しさを増す恐れがある。

 英国防省によると、ロシアはバフムト市中心部にまで進軍した可能性が高く、近くを流れるバフムトカ川の西岸も占拠したもようだ。このため、ウクライナ軍の補給路が危険にさらされているという。

 攻勢強化の背景として、これまで対立していたロシアの正規軍と民間軍事会社「ワグネル」の部隊が協力を始めたほか、正規軍のてこ入れも行われた可能性がある。ワグネル創設者エブゲニー・プリゴジン氏は今月2日、バフムト市庁舎にロシア国旗を掲げたと主張していた。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は7日の国民向け演説で、ロシアが2014年に「併合」したウクライナ南部クリミア半島に関し「クリミアにウクライナの国旗が戻り、自由がもたらされて初めて国際関係に秩序が戻ることを、世界は知るべきだ」と強調。奪還を改めて誓った。

 一方、トルコを訪問したロシアのラブロフ外相は7日、黒海経由のウクライナ産穀物輸出に関する合意について、自国からの輸出が進まない場合は「穀物合意が必要なのか問われる」と主張し、破棄を警告した。穀物輸出の合意は昨年7月に成立し、今年3月に2度目の延長が決まったばかり。

関連情報

▽ロシア、砲弾不足で攻勢減速か ウクライナ反撃に準備―米研究所<時事ドットコム>2023年04月10日07時04分

▽米、韓国政府を傍受か ウクライナ支援巡り<時事ドットコム>2023年04月09日21時11分

▽昨秋、ウクライナ原発奪還作戦 600人で渡河、ロシア軍が撃退し失敗―英紙<時事ドットコム>2023年04月09日20時35分

▽駅攻撃から1年で追悼 ウクライナ<時事ドットコム>2023年04月09日00時35分

▽軍事ブロガー「準国葬」 ワグネル創設者の姿も―ロシア<時事ドットコム>2023年04月08日23時51分

▽「赤の広場」ドローン攻撃を 賞金7000万円とウクライナ実業家<時事ドットコム>2023年04月08日23時15分