• 金融市場の緊張続いている、慎重さと忍耐が必要とシカゴ連銀総裁
  • 根強いインフレ、不動産ファンド300億ドル超調達、借り入れ一層困難
Students enter a building in this photo taken with a tilt shift lens at Harvard University’s Business School in Cambridge, Massachusetts, U.S., on Monday, Aug. 6, 2012. Photographer: Brent Lewin

ヘッジファンドのシタデル創業者で資産家のケン・グリフィン氏が、母校ハーバード大学に3億ドル(約400億円)を寄付しました。母校に同氏が寄付した額としては過去最高で、累計では5億ドルを超えたそうです。日本では10兆円規模の「大学ファンド」の運用が注目されますが、資金力で見劣りする日本の大学にとってこうした卒業生からの支援はうらやましい限りでしょう。「知的資本こそがハーバードのすべてだ」というグリフィン氏の言葉が胸にしみます。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

時期尚早

IMFは世界の金融システムを揺るがせた混乱について、リスクが全て去ったと宣言するのは時期尚早で、銀行の破綻は経済成長の重しとなる公算が大きいとの見解を示した。11日発表した半期に一度の金融安定報告では、一連の銀行破綻に対する政策当局の強力な対応が投資家の不安を緩和したものの、金融市場の脆弱(ぜいじゃく)性と緊張状態は続いていると分析。「世界の金融システムの耐性が厳しい試練にさらされた。これまでに取られた措置が市場と金融機関への信頼を完全に回復させるのに十分かどうかはまだ分からない」と指摘した。

慎重さと忍耐

米シカゴ連銀のグールズビー総裁は、政策金利を引き上げる上で米金融当局には「慎重さと忍耐」が求められるとの見解を示した。3月に起きた銀行セクターの混乱が融資環境の引き締まりにどの程度つながるのか、政策当局は見極めようとしている。同総裁は11日、「こうした金融面での向かい風について不透明感が多いことを踏まえると、われわれは慎重姿勢でいる必要がある」と発言。「インフレを押し下げる上でこの逆風がどの程度作用するのかが分かるまで、さらなるデータを集め、過度な利上げには慎重であるべきだ」と述べた。

根強いインフレ確信

ブラックロックはインフレ率が米金融政策当局の目標である2%を優に上回って推移するとの見方から、インフレ連動債に対してオーバーウエートのスタンスを強化した。同社のストラテジストがまとめた10日付のリポートによれば、構造的なトレンドが物価上昇圧力を持続させる可能性が高いとして、数年前からインフレ連動債を戦略的にオーバーウエートにしており、市場のインフレ期待を示す指数が低下した先月にはそのポジションを積み増した。12日発表の3月の米消費者物価指数(CPI)では根強いインフレが裏付けられると、ストラテジストらはみている。

300億ドル超調達

ブラックストーンは11日、大型の世界不動産ファンド「ブラックストーン・リアル・エステート・パートナーズX」向けに総額304億ドルの資本コミットメントを確保したと発表した。同ファンドは賃貸住宅やホスピタリティー、データセンターなどあらゆるセクターでのオポチュニスティックな案件を投資対象としている。ブラックストーン・リアル・エステートの世界共同責任者、キャスリーン・マッカーシー氏は「あらゆる形での資本引き揚げは機会をもたらす」と指摘した。

借り入れ一層厳しく

複数の銀行破綻が信用状況の一段の引き締まりにつながる中、米国では3月、融資を受けにくくなっている小規模事業者の割合が増加した。全米自営業連盟(NFIB)が11日公表した調査によると、高い頻度で資金を借り入れている経営者の差し引き9%が、3カ月前に比べて融資を受けにくくなったと回答し、2012年12月以来の高水準となった。次の3カ月に信用状況が一段と厳しくなるとみている経営者の割合も同じで、過去10年で最も高い水準。NFIBのチーフエコノミスト、ビル・ダンケルバーグ氏は「小規模事業経営者は将来の経済状況に悲観的だ」と指摘している。

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