[東京 12日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)は11日に公表したリポートで、日銀について、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)に一段の柔軟性を持たせれば、後の急激な政策変更を回避できるとの見解を示した。

日銀は昨年12月、YCCの下で長期金利(10年物国債利回り)の許容変動幅を拡大。市場では近くYCC再修正があるとの観測が根強い。

IMFは修正について、為替相場や国債のターム(期間)プレミアム(上乗せ金利)、国際的なリスクプレミアムを通じて金融市場に影響を及ぼす可能性があると指摘した。

「YCC政策の柔軟性を高めれば、世界の金融市場に幾分の影響を与える可能性があるものの、そうした変更は金融政策の目的を達成するために必要であるだけでなく、より大きな波及効果を引き起こす可能性のある急激な政策変更を防ぐことにもつながる」とした。

YCC修正の影響を分析した部分では、日本の長期金利がさらに上昇すれば、日本の投資家による資金還流(レパトリ)の動きによって主要な投資先であるオーストラリアや複数のユーロ圏諸国、米国の国債利回りが影響を受ける可能性があると論じた。

インドネシアやマレーシアなど一部の新興国市場も、日本の投資家の存在感が高いため「重大な」資本流出に見舞われる可能性があるとした。

市場参加者が日銀の発表や行動で意表を突かれた場合に、レパトリのペースや潜在的影響がさらに大きくなるリスクも指摘した。

「日銀の金融政策を調整する際に明確なコミュニケーションを図ることが、市場の激しい変動を避ける上で非常に重要」と強調した。