- ディーゼル油が発する警告、米メルクが大型買収、G7外相会合
- 岸田首相襲撃事件の余波、共同声明から消えた「GX」
米企業決算シーズンが本格化。先陣を切ったJPモルガン・チェースなど大手3行では、利上げを受けた純金利収入増加のほか、経営不安が高まった小規模行からの逃避資金流入も見られました。一方、足元ではオフィスなど商業用不動産市場への警戒が強まっています。金融不安は一巡するのか、それとも商業用不動産向け融資で再燃するのか。18日に予定されるバンク・オブ・アメリカ(BofA)とゴールドマン・サックス・グループの決算発表からも目が離せません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
警戒感高まる
景気減速のサインが世界のディーゼル油市場で点滅している。中国では幹線道路を走るトラックの数が過去数週間に著しく減少。S&Pグローバルによれば、米国の需要は今年、このままいけば2%減少する見通し。ネーションワイド・エコノミクスの米国担当シニアエコノミスト、ベン・エアーズ氏は「ディーゼル油需要はより広範な景気の先行指標となり得る」とし、「その需要減少が予想されていることは、経済全般の景気後退リスクと整合的だ」と述べた。
1.4兆円で買収
米メルクはバイオテクノロジー企業プロメテウス・バイオサイエンシズを約108億ドル(約1兆4450億円)で買収する方針。プロメテウス株の14日終値に75%上乗せした価格での提案となる。メルクは同社の主力抗がん剤が「特許の崖」に直面する中、買収によって免疫疾患治療薬を強化する。実現すれば、医薬品業界では過去数年で最大規模の買収の一つとなる。メルクによれば、買収手続きは2023年7-9月(第3四半期)に完了する予定。
中心議題は中国
主要7カ国(G7)外相会合では中国を巡る緊張が中心議題の一つになっている。会合を前に米国務省高官は記者団に対し、アジアの地政学的課題は日本がG7議長国を務める現在、より高い関心を集めると説明した。林芳正外相はワーキングディナーで中国との関係について、懸念を直接表明するよう主張。会合では台湾や人権、経済的威圧や先端技術への中国のアクセスを制限する米国の措置などの問題について、G7として共通の対中アプローチを模索する見通し。
襲撃事件の余波
岸田文雄首相の選挙遊説会場に爆発物が投げ込まれた事件は、23日投開票の衆参5補欠選挙に影響を及ぼす可能性がある。岸田政権に好ましい結果となれば、早期の衆議院解散に踏み切るシナリオも考えられると専門家は注視している。米ワシントンDCのランド研究所のアオキ・ナオコ氏は「事件は国内政治に影響を与え得る」と指摘。有権者の投票行動を変えて自民党にとって好ましい選挙結果が得られれば、「勢いのあるうちに総選挙に踏み切るとの臆測が増えるだろう」と述べた。
消えた「GX」
G7の気候・エネルギー・環境相会合が閉幕。日本政府が頻繁に使用してきた「グリーントランスフォーメーション(GX)」という言葉は国際社会に浸透するには至らず、共同声明に「GX」の二文字は盛り込まれなかった。日本の造語に対し、各国が必ずしも前向きな姿勢ではなかったことがうかがえる。フランスのクリストフ・ベシュ・エコロジー移行担当相は、GXという言葉について「イノベーティブだとは思うが、初めはそれが具体的に何を指しているのかは分からなかった」と語った。
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