氷河の縮小を示す2003年、12年、23年の比較画像(ニュージーランド国立水圏大気研究所提供・時事)
氷河の縮小を示す2003年、12年、23年の比較画像(ニュージーランド国立水圏大気研究所提供・時事)

 【シドニー時事】ニュージーランド(NZ)の氷河の消失が進んでいることが、NZ国立水圏大気研究所(NIWA)などの調査で分かった。かねて地球温暖化に伴い氷河は小さくなってきたが、最近の夏の猛暑で縮小が加速。専門家は、氷河の消失が洪水などを誘発し、気候変動を悪循環に陥らせる恐れがあると警告している。

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 NIWAは3月末、NZ自然保護局やビクトリア大学と合同で、氷河を上空から観測した。南半球の夏の終わりに当たる時期に毎年実施しており、今年で46回目。ここ2年、ラニーニャ現象で夏の気温が著しく上昇したことから、今回調査では、氷河が消えて山肌がむき出しになった場所が増え、氷河と土の境界の標高が上がったことが確認された。

 調査開始以降、既に氷河の約3割が消失し、大部分はこの10年間に急激に進んだという。NIWAが公表した比較画像からは、2003年に低いくぼ地の池に接近していた氷河が、12年に後退し、23年にはさらに遠ざかっていることが見て取れる。

 調査を指揮したアンドルー・ローリーNIWA研究主幹は「氷河の消失は、単に自然の美観を損なうだけでなく、人々の生活にも重大な影響を及ぼす」と指摘する。氷河は「貯水槽」の役割を果たしており、消失すれば飲料水や農業用水の確保が困難になるためだ。しかも、氷河が解けると海面上昇につながり、豪雨や洪水を引き起こす要因にもなる。

 気温上昇が現在のペースで進めば、今世紀末までに氷河の80%が消えるとの予測もある。調査に参加したオーストラリア・モナシュ大学のアンドルー・マッキントッシュ教授は「消失の勢いは衝撃的だ。温暖化を抑えることが緊急に必要だ」と訴えている。