[4日 ロイター] – 国際通貨基金(IMF)のスリニバサン・アジア太平洋局長は4日、日銀の金融政策の方向性を巡る「不透明感」に言及し、超低金利からの転換が世界の金融市場に大きな影響を与える可能性があると警告した。

韓国・仁川で開催中のアジア開発銀行(ADB)年次総会の会見で述べた。

局長は、先進国への輸出鈍化や中国の生産性低下、世界貿易の分断など、アジアの経済見通しを取り巻くリスクについても指摘。

「中期的に中国経済は生産性と投資の減速に見舞われ、2028年までに成長率が4%を下回ると予想する」と述べた。

「さらに、世界経済が複数の貿易ブロックに分断されるリスクもある」とし、輸出に依存するアジアに特に大きな打撃を与える可能性があるとの認識を示した。

また、「インフレ率が上昇する中、日本の金融政策の方向性に不透明感がある」と指摘。「日本の金融政策が変化し、国債利回りがさらに上昇すれば、海外債券に多額の投資をしている日本の投資家を通じて、世界的に影響が波及する可能性がある」と語った。

「これらの投資家のポートフォリオ調整が世界的な債券利回り上昇を引き起こし、一部の国でポートフォリオの流出が発生する恐れがある」と述べた。

インフレ率が目標の2%を超えていることから、市場では日銀が数カ月以内に長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)を調整する可能性があるとの観測が出ている。

局長はまた、新型コロナウイルス規制解除後の経済再開に伴う中国の急速な回復により、韓国など一部のアジア諸国の輸出が増加するとの見通しを示した。

「中国の初期の回復は消費とサービスが主導してきたが、今年後半には製造業の需要が増加するだろう」と語った。

韓国については、エネルギー価格下落により総合インフレ率が鈍化しているものの、食品とエネルギーを除いたコアインフレ率はまだ明確には低下していないと指摘。

韓国銀行(中央銀行)は早計な金融緩和を回避すると同時に、引き締めが過剰になるリスクも最小限に抑える必要があるとした。

「これらの点を考慮すると、韓国銀行は今後のデータに応じて追加利上げの選択肢を残しつつ、2月と4月の会合で適切に利上げを一時停止した」と述べた。