[ワシントン 4日 ロイター] – ムーディーズ・アナリティクスのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は4日、共和党が提示する今後10年間の大幅な歳出削減を伴う連邦債務上限引き上げ案について、雇用減や経済成長減速を招き、景気後退の確率を「有意に高める」という見解を示した。

ザンディ氏は上院予算委員会で、共和党案が成立した場合、2024年の米国内総生産(GDP)伸び率は1.61%となり、79万人の雇用減につながるという見通しを示した。共和党案が成立しない場合の24年GDP伸び見通しは2.23%とした。

下院が可決した共和党案が変更されることなく議会を通過すれば、米経済成長に大きな打撃を与えると指摘しつつも、債務不履行(デフォルト)を回避できなければ「壊滅的」な結果を招くと強調した。

さらに、議会が行動しなければ、6月1日━8月8日の間に政府が債務支払い義務を履行できなくなる恐れがあるものの、それが6月8日となる可能性が最も高いとし、「この『ドラマ』をできるだけ早く終わらせる必要がある。さもなくば景気後退に陥り、財政問題はさらに悪化する」と警鐘を鳴らした。

バイデン大統領は来週9日、ホワイトハウスで共和党のマッカーシー下院議長らと債務上限問題を巡り会談する予定となっている。

民主・共和による債務上限引き上げを巡る攻防への不安が強まる中、4日実施された1カ月物の米財務省証券の入札の最高落札利回りは過去最高に達した。