ここにきて日本の株価が堅調に推移している。日経平均はきのう3万円の大台をこえた。これがいつ以来のことか、にわかにはわからない。だがそんなことはどうでもいい。なんで株価は上がるのか、理由が大事だ。一言でいえば、米株が上がっているからだ。ではどうして米株はあがったのか?バイデン政権の経済政策がよろしきを得たわけではない。むしろ逆だ。難航する債務上限の問題を抱えイエレン財務長官は再三、米国債デフォルト(債務不履行)の可能性を訴えている。16日に行われたバイデン大統領と議会指導者の会談で、問題解決の糸口がほのみえた。これを受けて大統領が楽観的な見通しを明らかにした。危機が転じて見通しが明るくなった。これが米株上昇の推進力である。危機を演出し、それが解決に向かうとなれば楽観論が優勢になる。演出された株価の急騰、そんな気がしないでもない。
これに堅調な経済指標の発表が重なり、久しぶりに為替市場でドルが堅調に推移した。6月のFOMCでの再利上げの可能性も取り沙汰されはじめた。インフレと景気後退の綱引きがインフレ側に傾きかけたということだ。金利が上がればドル高になる。連れて円は円安に振れる。折から企業は決算発表の最中。予想外の円安で業績見通しが改善する。岸田政権の政策を無視して株価が上がりはじめたというわけだ。きのうロイターは「ミームコインの熱狂再燃」と題する記事を配信した。ミームコインは仮想通貨のことだ。Twitterを買収したマスク氏はドージコインを保有していることで有名。マスク氏が話題になるたびにドージコインが急騰した。それと同じことが「pepe(ペペ)」というコインで発生したことを伝える記事だ。4月16日にデビューすると、それから17日間で何と7000%近くも価格が跳ね上がり、5月5日までに時価総額が18億ドルに膨らんだ、というのだ。
ウキペディアによるとミームとは本来は、「脳内に保存され、他の脳への複製が可能な情報」を意味するとある。習慣や技能、物語といった社会的、文化的情報を指すことばだ。こうした情報は会話や人々の振る舞い、本、儀式、教育、マスメディアによって脳から脳へとコピーされる。ミームはそのプロセスを進化のアルゴリズムという観点で分析する概念を指しているとのこと。わかったような、わからないような概念だが、誤解をおそれず単純化すれば「面白そうな事象全般をさすことば」と言えばいいだろうか。「日本株はあがりそうだ」、これが株価急騰の理由だ。日本株急騰は「ミーム」だといっても間違いないだろう。株式市場のミーム株は、過去の例を見ると例外なく急騰後に急落している。日本株急騰がミーム現象だとすれば、いずれ急落する。この現象を日本経済の地力強化に繋げられれば急落はさけられる。さてどうする岸田政権・・・。