[23日 ロイター] – 代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインのブロックチェーン(分散型台帳)が活況を呈している。同ブロックチェーンで生まれたトークン(電子証票)、「BRC―20」の取引が急増したためで、新たなトークンを生む基盤として注目を集めている。

調査会社グラスノードのデータによると、ビットコイン・ブロックチェーンの1日当たりの取引は今月68万2000件に急増し、過去最高を更新。これまで最高だった2017年の水準から40%ほども増えた。1兆1600億ドルの仮想通貨市場に占めるビットコインのシェアは年初の38%から44%に上昇した。

ビットコイン・ブロックチェーンの取引急増は、ビットコインそのものに加えて、実験的な規格のトークンのBRC―20が取引されるようになったことが背景にある。BRC―20は年初来の発行が2万5000近くに達しており、これが取引を急増させた。

ジェネシスのトレーディング共同ヘッド、ゴードン・グラント氏は「BRC―20トークンのような現象を初めて目にした」と述べた。

ブロックチェーン・ドット・コムのデータによると、主にこうしたトークンの創出により、過去7日間の平均取引は53万1000件強と1カ月前から2倍近くに膨らんだ。

BRC―20のような新手のトークンはミームコインと同様、投機以外に実際の使い道がない。しかしビットコインは最近の人気の高まりから、価値の貯蔵や支払いの手段としてだけでなく新しいコインやアプリを開発する基盤として関心が高まっている様子がうかがえる。

投資家や開発者の間には、相場急落や交換大手の破綻など仮想通貨市場の混乱を経て、ビットコイン・ブロックチェーンはトークンやアプリの安全な基盤だとの見方が出てきた。

ただBRC―20の値動きは荒い。値動きを追跡するBRC―20.ioによると、時価総額が5月初旬には10億ドルを超えていたが、その後4億4600万ドルに縮小した。