[豊田市 14日 ロイター] – トヨタ自動車は14日、愛知県豊田市の本社で定時株主総会を開き、一部の機関投資家が事前に反対票を投じたことで注目されていた豊田章男会長ら取締役10人の選任は会社提案通り可決された。欧州の機関投資家らによる気候変動関連の株主提案は否決された。株主提案は18年ぶりで、こちらも関心を集めた。

各取締役や株主提案の賛否比率は15日に公表される予定で、株主からの支持がどの程度得られたかが注目される。

取締役は、社内から豊田会長、佐藤恒治社長、中嶋裕樹副社長など6人、社外は三井住友銀行の大島真彦副会長など4人。佐藤社長率いる新経営体制がこの日、正式に発足した。

佐藤氏は、株主に対し、豊田会長が積み上げてきた価値観を「しっかりと継承していきたい」と強調。大きく変化している社会システムに順応した車をつくり、「モビリティー・カンパニー」に変革し、電動化など「チャレンジしていく」と述べた。

14年ほど前からトヨタ株主となっており、東京から出向いて株主総会に出席した伊井さんは、取締役選任に賛成、株主提案には反対した。伊井さんは「佐藤新社長によるチーム経営になるとはいえ、これだけの巨大企業を佐藤社長1人で背負うのは大変だと思う」との考えで、豊田会長とは適度な距離を保ちつつ、「いざというときに佐藤社長が相談できたほうが経営の安定のためにも良い」と述べた。

取締役選任を巡っては、一部の海外機関投資家が「取締役会の独立性が不十分」だとして豊田会長ら取締役候補者の多くの選任に反対。株主の投票行動に影響力のある米議決権行使助言会社グラスルイスも、その責任を負う取締役会議長としての豊田会長の選任に反対を推奨していた。トヨタは、東京証券取引所の3分の1以上とする独立性基準を満たしており、新任取締役の独立性についても「東証から承認を得ている」と反論していた。

株主提案については、欧州の年金運用3社から気候変動関連の情報開示が不十分なため関連の渉外活動の年次報告書を作成するよう定款の規定追加を求められていた。トヨタはこれに対し、情報開示は適時に変化させる必要があり、会社の組織・運営の基本事項を定める定款の規定にはそぐわないことなどを理由に反対していた。