[ドバイ/パリ 16日 ロイター] – 米国がイランの核開発問題などを巡りイランと協議をしているもようだ。イランおよび米欧の当局者によると、イランの核開発の制限、イランで拘束されている米国人の解放、海外イラン資産の凍結解除に向けた措置を探っているという。

2015年のイラン核合意の復活交渉が実質的に頓挫し、米国はイランの核開発を阻止する策を検討している。米国内ではイランに対する懐疑論や反発が強いため、議会の承認を必要とする「合意」ではなく、「理解」という形を取ることを想定しているもようだ。

ある西側当局者は、米国家安全保障会議(NSC)の中東政策調整官のブレット・マクガーク氏とイランの核交渉責任者アリ・バゲリ・カニ氏の間接協議が中東オマーンで複数回行われたとし、「これはクールダウンと呼ぶべきものだ」と述べた。

構想されているのが、イランの核問題で全当事者が受け入れ可能な現状維持を形成することで、ウラン濃縮を米欧が越えてはならない一線と見なす90%まで高めず60%で止めることだ。

具体的な手順や、イランが拘束している米国人3人の解放にどのように関連付けるかは不明。米国人の解放については、当局者が以前、資産凍結の解除が条件になるとの見方を示している。

米国の主たる目的は、イランの核を巡る状況の悪化を防ぎ、イスラエルとイランが衝突する事態を回避することだ。「(イランが)誤算を犯し、イスラエルが強く反応する事態は避けたい」と西側当局者は述べた。

米政府は、イランとの合意を模索しているとの一部報道を否定している。ただ国務省のミラー報道官は、米政府はイランに対し、核開発抑制やウクライナに侵攻するロシアへの支援停止、拘束米国人の解放を望んでいると説明。具体的内容に踏み込まず「これら全ての目標を追求するため、引き続き外交的関与を活用する」と述べた。

イラン当局者は「暫定合意、相互理解など、名称は何であれ、双方が事態の深刻化は防ぎたいと考えている」と述べた。